この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。


 
秋の季語「鹿」を題材にした俳句をご紹介します。
 
 
「鹿」は「秋の季語」ですが、「子鹿」「鹿の子」は「夏の季語」なんですよ。
 
 
おもしろいです。
 
 
体験を俳句にする場合は、奈良公園に行った人限定になってしまうテーマかもしれません。でも、修学旅行で奈良・京都コースの人は多いと思うので、訪れた人は是非作ってみてください。
 
 
夏でも秋でもいけるってことですよ。(夏は子鹿、秋は鹿を季語で使う)

 
 

スポンサーリンク

「鹿」は秋の季語だけど「鹿の子」は夏の季語

 

 
「鹿」を季語で使う場合、「鹿の○○」「○○の鹿」で5文字になりますね。
 
 
また、「鹿の声」「鹿の音(しかのね)」「鹿笛」「鹿鳴く」など、「鳴いている鹿」が題材になることが多いです。これは、秋になると牡鹿が牝鹿に求愛して鳴くことを指しているんです。
 
 
つまり、鳴く鹿はオスで、秋にプロポーズするから鹿が秋の季語になったのでした。
 
 
奈良公園にも自然の中にも、鹿は年中いますが、秋の季語なのはそういうわけなのです。
 
 
そして、鹿の子供は夏の季語と決まっています。「子鹿」「小鹿」「鹿の子(しかのこ・かのこ)」などの言葉で使われることが多いです。

 
 

(1)松尾芭蕉の鹿の俳句

 

 
松尾芭蕉は、俳聖と呼ばれる江戸時代の俳諧師(俳人)です。
 
旅に出ていろんな俳句(当時は俳諧といった)を詠んでいますよ。
 
芭蕉についてはコチラを参考に⇒松尾芭蕉はこれでバッチリ!
 
 
・さぞな星 ひじき物には 鹿の革
 
・秋来ぬと 妻恋ふ星や 鹿の革
 
・びいと啼く 尻声悲し 夜の鹿
 
・武蔵野や 一寸ほどな 鹿の声

 
 

スポンサーリンク

(2)正岡子規の鹿の俳句

 

 
 
正岡子規は、近代俳句・短歌の祖と呼ばれる明治時代の俳人です。
 
 
なぜそう呼ばれるのかというと、江戸時代まで俳諧と呼ばれていたものを「俳句」という名称にし、平安時代に失われていた和歌とは別の「短歌」という言葉を復活させたからです。
 
 
それについては、こちらの記事でくわしくお伝えしています。
   ↓
⇒近代俳句・短歌の祖・正岡子規とは?
 
 
・町へ来て 紅葉ふるふや 奈良の鹿
 
・有明や 寝ぼけてしらむ  鹿の顔
 
・奈良阪や 鹿追ひのけて 畠打つ
 
・をりをりに 鹿のかほ出す 紅葉かな
 
・奥殿に 鹿のまねする 夕かな
 
・押しあふて 月に遊ぶや 鹿ふたつ
 
・烏帽子きた 禰宜(ねぎ)のよびけり 神の鹿
 
・鹿を放ち 向ふの森に 鳴かせばや
 
・行く秋を すつくと鹿の 立ちにけり
 
・奈良の宿 御所柿くへ ば鹿が鳴く

 
 

(3)高浜虚子の鹿の俳句

 

 
高浜虚子は、明治から昭和にかけて活躍した俳人です。
 
 
喀血して自分の寿命を悟った正岡子規に後継者として指名され、それを拒否した人でした。(道灌山事件)
 
 
1897年に正岡子規の友人の柳原極堂が創刊した雑誌「ホトトギス」を引き継ぎました。
 
 
「ホトトギス」は俳句の他にも短歌、散文などを加えた総合文芸誌で、夏目漱石などから小説の寄稿を受けました。
 
・鹿を聞く 三千院の 後架かな
 
・鹿に乗る 神もまします 旅路かな
 
・鹿の声 遠まさりして 哀れなり
 
・鹿寄せの 鹿帰りゆく 鳴きながら

 
 

(4)夏目漱石の鹿の俳句

 

 
夏目漱石は、ロンドン留学から帰ってきてしばらく神経衰弱になって心身共に弱っていました。
 
そのとき、小説でも書いてみないかと友人の正岡子規らにすすめられ、高浜虚子の「ホトトギス」で文壇デビューを果たしたのです。そのデビュー作が「吾輩は猫である」でした。
 
夏目漱石は正岡子規に俳句を習っていたので、俳句もかなり残しています。
 
 
・蕎麦太き もてなし振や 鹿の声
 
・宵の鹿 夜明の鹿や 夢みじか

 
 

【関連記事】
   ↓