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こんにちは。
秋の俳句はいいですね~♪
私は、四季の中では、断然「秋が好き」です!!!
まだ冬になり切っていない、肌寒さや秋風を感じるメランコリックな雰囲気がたまりません。
今回は、秋の俳句で、生き物の「季語」を使ったものを、ご紹介します。
目次
秋の季語「動物」
◎ 秋の季語「動物」
シカ(鹿)・イノシシ(猪)・馬肥ゆる
渡り鳥・燕帰る・稲雀 モズ(鵙)・ツグミ(鶫)・ヒヨドリ(鵯)
ヒワ(鶸)・セキレイ(鶺鴒)・連雀・ヒタキ(鶲)・ムクドリ(椋鳥)
ウズラ(鶉)・キツツキ(啄木鳥)・カリ(雁)・鶴来る・山雀・日雀
落鮎・紅葉鮒・落鰻・カジカ(鰍)・ボラ(鰡)・スズキ(鱸)
秋サバ(秋鯖)・イワシ(鰯)・サンマ(秋刀魚)・鮭
秋の螢・秋の蝶・秋の蚊・秋の蠅・秋の蜂・秋の蝉・ヒグラシ(蜩)
トンボ(蜻蛉)・赤蜻蛉 ・カゲロウ(蜉蝣)・ウスバカゲロウ
コオロギ・鈴虫・松虫・草雲雀・カマキリ(蟷螂)・キリギリス
馬追・バッタ・蓑虫・芋虫・秋蚕・秋繭
秋の季語「動物」を使った俳句
動物を使った俳句は、観察力が試されますよー!
今回も江戸三大俳人の俳句を中心に、ご紹介します。
(1)「鹿」「猪」の季語を使った俳句
びいと啼(な)く 尻声悲し 夜の鹿
猪(いのしし)も ともに吹かるる 野分かな
<作者> 松尾芭蕉
「鹿の子」は夏の季語でしたが、「鹿」は秋の季語です。
そして、「鹿が鳴く」というのは、俳句や和歌では、牡鹿が牝鹿を想って鳴く寂しさを、表現しているというお約束なんですよ~。秋の寂寥感と相まって秋らしさが、すごく出ると思いませんか。
叙情的で、かつ写実的な美しさも感じるいい題材だと思います♪
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押しあふて 月に遊ぶや 鹿ふたつ
神さびて 鹿鳴く奈良の 都哉(かな)
鹿聞いて 淋しき奈良の 宿屋哉(かな)
<作者>正岡子規
正岡子規は、よく奈良を訪れています。
故郷の松山と住んでいる東京を行き来する間にあるので、大阪や奈良に、よく立ち寄ったようです。
滞在したのは、ほとんどいつも一流旅館でした。
奈良で詠んだ俳句は、たくさんありますよ。
「鹿」の俳句も多いし、有名な「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」も奈良ですね。
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(2)「魚貝類」の季語を使った俳句
鮎おちて 焚火ゆかしき 宇治の里
鮎落ちて いよいよ高き 尾上かな
<作者> 与謝蕪村
蛤(はまぐり)の ふたみにわかれ 行く秋ぞ
<作者> 松尾芭蕉
ふたみが蛤の「蓋と身に分かれる」ことと、地名の「二見ヶ浦」の掛詞になっていますね。
「わかれゆく」と「ゆく秋」も掛けられています。
芭蕉が二見ヶ浦に向けて大垣を旅立つとき、人々との別れを惜しんで詠んだ句なのでした。
この俳句は、一見「季ちがい」にも見えますね。
「蛤」は春の季語で「ゆく秋」は秋の季語です。
でも、ここでは、「ゆく秋ぞ」のほうが、ずっと強い印象なので、「蛤」は季語として機能していないと考えられます。なので、秋の俳句となるのです。
この俳句は『奥の細道』の結句(最後の句)なので、有名ですよ~。
↓
松尾芭蕉『奥の細道』の旅・最後の俳句(結句)はハマグリです!
(3)「鳥」の季語を使った俳句
雁(かり)聞きに 京(みやこ)の秋に 赴(おもむ)かん
稲雀(いなすずめ) 茶の木畠(ばたけ)や 逃げどころ
<作者> 松尾芭蕉
秋の小鳥 はらはらと枝に 飛び移る
啄木鳥(きつつき)の つつき落すや せみのから
<作者> 正岡子規
木曽川の 今こそ光れ 渡り鳥
<作者> 高浜虚子
(4)「昆虫」の季語を使った俳句
むざんやな 甲(かぶと)の下の きりぎりす
【季語】 きりぎりす
この俳句は『奥の細道』の小松(金沢の次)で作ったものです。
ここは、源平の合戦の折り、老いてなお戦場から引くことなく、最期まで奮戦した斎藤実盛を忍ぶ地なんですよ。
実盛は、幼少時に育ててあげた木曽義仲に討たれます。哀しい巡り合わせだったのです。
実盛の死を悼んだ義仲は、祈願状を添えて遺品の見事な兜を、この小松のお寺に奉納したのでした。この悲劇のエピソードは謡曲にもなっていて、『平家物語』にも書かれています。
これは、小松の多太神社を訪れた芭蕉が、その兜を見て読んだ一句です。
芭蕉は、源氏びいきで、特に木曽義仲が好きだったので、感慨深かったでしょうね。
「むざんやな」に、深く同情する想いが表れています。
淋しさや 釘にかけたる きりぎりす
<作者> 松尾芭蕉
赤とんぼ 筑波に雲も なかりけり
<作者> 正岡子規
秋蝉も 泣き蓑虫も 泣くのみぞ
蓑虫の 父よと鳴きて 母もなし
<作者> 高浜虚子
霧島や 霧にかくれて 赤とんぼ
ふるさとの 土の底から 鉦たたき
<作者> 種田 山頭火
おまけ~種田山頭火は面白い!
今回、ご紹介した中に、種田山頭火(たねださんとうか)という人の俳句があります。
「自由律俳句」「無季俳句(季語のない俳句)」という、自由過ぎる俳句を作った人です。
めちゃくちゃ面白い、味のある俳句を詠む人なのですよ。
すごく覚えやすくて、「これ俳句なの?」という、一行日記かSNSのつぶやきみたいな句もあります。
とりあえず、ご紹介しますね。
↓
★分け入つても分け入つても青い山(←教科書に載ってる代表作)
★うしろ姿のしぐれてゆくか(←これ好きです!)
★今日の道のたんぽぽ咲いた
★山あれば山を観る
★何が何やらみんな咲いてゐる
★酔うてこおろぎといっしよに寝ていたよ
★ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない
★もりもり盛りあがる雲へあゆむ(←辞世の句といわれます)
とにかく自由な形です。
彼は、放浪の旅に出て、托鉢生活をしていました。
ですから、いつも孤独の中で旅をし、食べるものにも事欠いていたのです。
哀愁漂う味のある俳句に、はまります。
でも、この辺りになると、もはや、どこをどう突っ込んだらよいのかわからないレベルです。是非、味わってください。↓
★はだかで話がはづみます
★蛙になり切つて飛ぶ
★月夜あるだけの米をとぐ
これを、俳句と言ってよいのか?
お弁当日記?シリーズ
↓
★けふのべんとうは橋の下にて
★けふのべんたうも草のうへにて
★けふのべんたうは岩のうへにて
★けふのべんたうは野のまんなかで
★空たかくべんたういただく
★けふも大空の下でべんたうをひらく
★おべんたうをひらく落葉ちりくる
亡くなる年に、彼は日記に
「無駄に無駄を重ねたような一生だった、それに酒をたえず注いで、そこから生まれたような一生だった」
と書いています。
種田山頭火・・・
一見面白いだけの俳句のようですが、なかなかどうして奥深い俳人なのでした。