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「秋」の味覚の代表「栗」を題材にした俳句を紹介します。栗は身近なものですし、秋の季語としても分かりやすいですね。
明治時代以降の俳人中心です。
(1)正岡子規の栗の俳句
近現代俳句の祖・正岡子規は生涯にたくさん俳句や短歌を残しています。
子規についてはこちらをどうぞ⇒正岡子規はこんな人♪
・いが栗の はぢける音や けふの月
・雜談の 間に栗の 焼けるべく
・毬ながら 栗くれる人の まことかな
・かち栗も ごまめも君を 祝ひけり
・勝ちさうに なつて栗剥く 暇かな
・栗飯の 月見は淋し 秋の暮
(2)水原秋櫻子の「栗」の俳句
水原秋櫻子(しゅうおうし)、名前に「秋桜(コスモス)」が入って美しいですが、本名は水原豊という男性の俳人です。
高浜虚子に俳句を学んでいましたが、後に離反しました。
ホトトギス派の代表といわれた「ホトトギス四S(シイエス)」の1人です。
ちなみに、「ホトトギス四S」は、水原秋櫻子、山口誓子、阿波野青畝、高野素十の4人です。
本業は産婦人科医で、実家が皇室御用達の産科だったたため、彼もたくさんの皇族の赤ちゃんをとりあげたそうです。
・雨くらき わびしさに栗 茹でてをり
・栗焼けば 寝そびれあそぶ 末子かな
・鳴く虫を あらはに見つゝ 栗拾ふ
・都より 疲れもどりて 栗を焼く
(3)山口誓子の「栗」の俳句
山口誓子は京都の俳人で、本名は山口新比古(ちかひこ)という男性です。
ホトトギス派を代表する「ホトトギス四S(シイエス)」の1人でしたが、後に水原秋桜子についてホトトギスを離脱しました。
「ホトトギス四S」は、水原秋櫻子、山口誓子、阿波野青畝、高野素十です。
・栗の木の 情と賜ひし ひとの情
・栗の句を 案じて吾等 おし黙る
・栗飯を 炊けばこころは 満ち足らふ
・青栗の 刻一刻に ゆふまぎる
・青栗の とげあるを持つ 淑女にて
(4)山口青邨の「栗」の俳句
山口青邨(せいそん)は岩手県出身の俳人で本名は吉朗といいます。本職は鉱山学者で、師匠は高浜虚子でした。
・いのちの森 栗をひろひぬ 人遠く
・待つことは 長し栗の実 落つることも
・栗も食べ 松茸も食べ ありがたし
・栗干して いまこそ山家 ゆたかなれ
・栗の毬 まだやはらかく 人にあふ
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