この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。


 
今回は、秋の季語として分かりやすい「秋の空」の俳句を紹介します。
 
 
明治時代以降の俳人・正岡子規、山口誓子、高野素十、山口青邨ら5人の俳句です。

 
 

スポンサーリンク

「秋の空」は天高く美しい?

 

 
「秋の空」は、天高く清々しいイメージがありますね。
 
 
「秋の空」「秋の雲」「秋の風」などで5文字、「秋空」「秋天」は4文字なので「秋空の」「秋空に」「秋空や」などと平仮名1文字足して5文字になります。
 
 
いろいろ工夫してみてください。

 
 

(1)正岡子規の秋の俳句

 

 
近現代俳句の祖・正岡子規は生涯にたくさん俳句や短歌を残しています。
子規についてはこちらをどうぞ⇒正岡子規とは?
 
 
「写実」に特化した素直な俳句なので、句作の参考にしやすいと思います。
 
 
・もみち葉の 色もかわるや 秋の空
 
・すさまじき 雲の走りや 秋の空
 
・井戸堀の 星や見るらん 秋の空
 
・大水の 引て雨なし 秋の空
 
・椎の木を 伐り倒しけり 秋の空
 
・湖の 上に置きけり 秋の空
 
・湖の 空を吹きけり 秋の風
 
・澄む時は あくまで澄んで 秋の空
 
・秋の空 凌雲閣に 人見ゆる
 
・秋の空 清水流るゝ 思ひあり
 
・秋の空 物干竿の 高さかな
 
・秋の雲 湖水の空を 渡りけり
  
・秋の雲 鳴門の空を 渡りけり
 
・絶頂や 頭の上に 秋の空
 
・絶頂や 鳥下を舞ふて 秋の空

 
 

スポンサーリンク

(2)山口誓子の秋の俳句

 

 
山口誓子は京都の俳人で、本名は山口新比古(ちかひこ)という男性です。
 
 
ホトトギス派を代表する「ホトトギス四S(シイエス)」の1人でしたが、後に水原秋桜子についてホトトギスを離脱しました。
 
 
「ホトトギス四S」は、水原秋櫻子、山口誓子、阿波野青畝、高野素十です。
 
 
・その秋天に 爆音ひびく 雲ひとひら
 
・その深さ いづれ鏡と 秋天と
 
・秋の雲 はてなき瑠璃の 天をゆく
 
・秋の雲 わが後頭の 天に満てり

 
 

(3)高野素十の秋の俳句

 

 
高野素十は茨城県出身の俳人で、本業は医師でした。
 
 
東京帝国大学医学部在学中に先輩だった同じく医師の水原秋櫻子に出会い、秋櫻子のすすめで句作を始めました。
 
 
「ホトトギス四S(シイエス)」の1人です。
 
 
花火の俳句は、素朴な句が多いので、句作の参考になりますよ。
 
 
・新しき 町新しき 秋の天
 
・一院の 閑散にして 秋の空
 
・ふるさとを 同うしたる 秋天下
 
・僧達に 大本山の 秋の天
 
・秋天に 大揚羽蝶 現はれし
 
・秋天の 下に小さき 仮の宮
 
・秋天の 下の四五歩を 楽しみし
 
・秋天の 明かなれば 我は泣く
 
・秋天に 謝す寺に謝す 僧に謝す
 
・秋天の ひろきところに 居をトし

 
 

(4)山口青邨の秋の俳句

 

 
山口青邨(せいそん)は岩手県出身の俳人で本名は吉朗といいます。本職は鉱山学者で、師匠は高浜虚子でした。
 
 
・きはみなく ふかき秋天 御声あり
 
・この庭の 松に秋天の 城をおく
 
・旗雲と 飛行機雲と 秋の空
 
・瀬の音の 浮かみ上りぬ 秋の空
 
・杉の梢 見上げ秋天に 顎入るる

 
 

(5)飯田蛇笏の秋の俳句

 

 
飯田蛇笏は山梨県出身で、本名は飯田武治といいます。同じく俳人の飯田龍太は蛇笏の息子です。
 
 
・はなやかに 秋空ふかき 山泉
 
・秋空や 子をかずつれし 鳶の笛
 
・山なみに 高嶺はゆがむ 秋の空
 
・晴れくもる 樹の相形や 秋の空
 
・朴(ほお)の葉や 秋天高く むしばめる
 
・杣の火に ゆく雲絶えて 秋の空

 
 

【関連記事】
   ↓