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こんにちは。
俳句の「季語」には、紛らわしいものがありますね。
現代の感覚と、ちょっとずれてるなあと感じるものです。
それは、季語の表す季節が「旧暦」にもとづいているからですね。
江戸時代まで、日本の暦は旧暦でしたが、今は、明治時代に改暦されて「新暦」のカレンダーを使っています。
それで、今の季節と旧暦の季節の間に感覚的なズレが生じて、ややこしくなったのですね。
夏の季語は、現在の暦では、5・6・7月になります。
今より1カ月ほど先取りと考えるとよいのかなと、思います。
目次
これが夏の季語? そうなのです
まずは、「え? これ夏の季語なの?」と思える季語についてお伝えします。
今の「5月・端午の節句から梅雨」の事象は「夏」だと思ってください。
五月・五月晴れ・五月雨
若葉・新緑・葉桜
梅雨・紫陽花
鯉のぼり・柏餅・ちまき
緑が育ちつつある様子や、「五月」とつくもの、「子供の日」に関するもの、梅雨どきのこれらの季語は、「夏」の季語です。
そして、植物の「昼顔」「夕顔」は夏の季語ですが、
「朝顔」は秋の季語なのです!
これは、本当に今と感覚がズレますね。
さすがにややこしいのではないかと思った現代俳句協会という団体が、これまで旧暦に従っていた季語を、新暦に基づいて区分けしようと試みました。
それが、出版された「現代俳句歳時記(学研)」なのですが、それによると「盆踊り」や「朝顔」が夏の季語に変わっています。
でも、これは俳句界からは批判されています。
中途半端なことをすると、余計にややこしくなりますね。
【五月】
「五月」が季語の俳句は、だんだん夏らしく日差しが明るくなってくる様子を詠んだ句のほかに、梅雨の雨を表す俳句も多いです。五月雨は梅雨の雨のことです。どちらかというと、ザーザー激しく降る長雨のイメージです。
★ 五月雨を 集めて早し 最上川
<作者> 松尾芭蕉
★うすうすと 窓に日のさす 五月かな
<作者> 正岡子規
★さみだれに 持ちあつかふや 蛇目傘
<作者> 夏目漱石
※文豪・夏目漱石は、正岡子規の親友で、子規から俳句を習っていました。
【若葉】
★ざぶざぶと 白壁洗ふ 若葉かな
<作者> 小林一茶
★三井寺は 三千坊の 若葉かな
<作者> 正岡子規
【端午の節句・端午・柏餅・ちまき・鯉のぼり】
端午の節句に関係する俳句は、柏餅やちまきといったスイーツ俳句が美味しそうですね。菖蒲湯などにする菖蒲(しょうぶ)も夏の季語になります。
★風吹けば 来るや隣の こいのぼり
<作者> 高浜虚子
★重の内 暖かにして 柏餅
<作者> 高浜虚子
【紫陽花】
梅雨と言えば「紫陽花」というほど、この季節を印象付ける題材です。
じめじめした季節に、爽やかな紫陽花カラーが生えますね。
多くの俳人が、詠んでいます。
★正直に 梅雨雷の 一つかな
<作者> 小林一茶
★紫陽花や 藪を小庭の 別座舗(べつざしき)
<作者> 松尾芭蕉
★紫陽花や きのふの誠 けふの嘘
<作者> 正岡子規
★紫陽花の 花に日を経る 湯治かな
<作者> 高浜虚子
夏らしいけど夏じゃない「秋の季語」
秋の「季語」は、現代のカレンダーでは、 8・9・10月あたりです。
ですから、現代の感覚では、まだ夏じゃないの?と思えるものが秋になる場合があるのですね。
七夕やお盆のお墓参りは、今では、夏の風物詩ですが、
「秋の季語」なので、気をつけたいです。
【七夕・天の川】
旧暦の七夕は、今の8月にあたります。
ですから、完全に「秋の季語」です。
間違いやすいので、気をつけたいですね。
★うれしさや 七夕竹の 中を行く
<作者> 正岡子規
★七夕に 団扇をかさん 殘暑哉
<作者> 正岡子規
【朝顔】
先程述べたように、「朝顔」は秋の季語です。
夏休み頃に咲く花なので、夏の花のイメージが強いですね。
★暁の 紺朝顔や 星一つ
<作者> 正岡子規
★朝顔の さまざま色を 尽す哉
<作者> 正岡子規
【お盆・墓参り・送り火】
お盆に関する人事も、夏休みですが、8月なので「秋の季語」です。
「送り火」は、風情のある言葉ですね。
★夕月や 涼がてらの 墓参り
<作者> 小林一茶
★送り火や 今に我等も あの通り
<作者> 小林一茶
「夏の季語」まとめ
間違いやすい「夏の季語」について、お伝えしました。
具体的には、夏らしくないけれど「夏の季語」のものと、夏らしいけれど「秋の季語」のものを、ご紹介しました。
紛らわしいですが、整理すると、少し分かりやすくなるのではいかと期待しています。
★夏らしくない「夏の季語」
五月・五月晴れ・五月雨・若葉・新緑・葉桜
梅雨・紫陽花・鯉のぼり・柏餅・ちまき
★夏っぽいけど「秋の季語」
七夕・天の川・短冊・お盆・お墓参り・送り火・朝顔
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