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こんにちは。
 
最近の夏は暑すぎるので軒下に風鈴で涼むどころではなく、窓を閉め切ってクーラーだと思いますが、やはり夏の風物詩として風鈴は可愛らしくて素敵です。
 
 
工芸品としては南部風鈴が有名ですが、ギヤマン製(ガラス)や陶器製のものも涼しげですね。私はギヤマンが好きです。

 
 

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風鈴は夏の季語

 

 
 
「風鈴」は夏の季語ですが、「秋の空」など明らかに秋の季語が使われている句の場合は、「秋の俳句」になりますよ。
 
 
日本らしい物なので、古典的な雰囲気の俳句が作りたいときにもってこいです。
 
 
「風鈴や」「風鈴の」「風鈴に」で始めの5文字、「風鈴の音」「風鈴の風」などと組み合わせると中7文字になりますよ。
 
 
涼しさを感じる生活の「夏の季語」は、最近は「扇風機」「冷房」「日傘」「噴水」などもあります。
 
 
例)「扇風機 大き翼を 休めたり」(山口誓子)
扇風機の羽を「翼」と表現しているところが素敵ですね。
 
 
「季語」はこちらの「歳時記」を参考にしてます。
   ↓
⇒今はじめる人のための俳句歳時記 新版 (角川ソフィア文庫)
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(1)正岡子規の風鈴の俳句

 

 
近現代俳句の祖・正岡子規は生涯にたくさん俳句や短歌を残しています。
子規についてはこちらをどうぞ⇒正岡子規はこんな人♪
 
 
正岡子規の俳句は最後が「・・・哉」が多いです。読み方をとまどう事が多いと思うので、「・・・かな」と平仮名で表記しました。 
 
・涼しさを 風鈴一つ そよぎけり
 
・風鈴の ほのかにすずし 竹の奥
 
・風鈴の みだれそめけり 夕桜
 
・風鈴を 動かして居る 涼かな
 
・風鈴に 涼しき風の 姿かな
 
・風鈴の 音にちりけり 雲の峯

             ↑
「雲の峯」というのは、いわゆる積乱雲のことです。もくもく入道雲ですね。これも夏の季語です。
 
 
その雲の様子を模した「雪の峯」という名の和菓子もあるんですよ。

       ⇓
【京都とらやの「雲の峰」出典元:https://www.pictasite.com/】
 
「とらや」さんの「季節の和菓子」は、毎年変わります。
 
 
この「雲の峰」は以前のもので、2018年は「富士山」を模した羊羹など数種用意されていますよ。

 

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(2)水原秋櫻子の風鈴の俳句

 

 
水原秋櫻子(しゅうおうし)、名前に「秋桜(コスモス)」が入って美しいですが、本名は水原豊という男性の俳人です。
 
 
高浜虚子に俳句を学んでいましたが、後に離反しました。
 
 
ホトトギス派の代表といわれた「ホトトギス四S(シイエス)」の1人です。
 
 
ちなみに、「ホトトギス四S」は、水原秋櫻子、山口誓子、阿波野青畝、高野素十の4人です。
 
 
本業は産婦人科医で、実家が皇室御用達の産科だったたため、彼もたくさんの皇族の赤ちゃんをとりあげたそうです。
 
 
・五十まりの 風鐸寂びつ 薄紅葉
 
・姿見に 見ゆる風鈴 鳴りにけり
 
・風鈴や 船乗込の 噂して

 
 

(3)山口青邨の風鈴の俳句

 

 
山口青邨(せいそん)は岩手県出身の俳人で本名は吉朗といいます。本職は鉱山学者で、師匠は高浜虚子でした。
 
 
・鈴の迦陵 頻伽の わが昼寝
 
・ぼろぼろの 松毬風鈴 原爆忌
 
・みちのくの 南部風鈴 つたなき音
 
・みちのくの 風鈴まつり 山の風
 
・みちのくの 風鈴吊つて 軒傾く
 
・風鈴の いづこともなく 鳴るいほり

 
 

(4)飯田蛇笏の風鈴の俳句

 

 
飯田蛇笏(だこつ)は山梨県出身で、本名は飯田武治といいます。同じく俳人の飯田龍太は蛇笏の息子です。
 
 
・くろがねの 秋の風鈴 鳴りにけり
 
・風鈴屋 老の弱腰 たてにけり
 
・風鐸の かすむとみゆる 塔庇
 
・鈴を吊る 軒ふかく 梅雨ぐもり
 
・風鈴の 夜陰に鳴りて 半夏かな
 
・万緑に なじむ風鈴 昼も夜も

 
 

(5)日野草城の風鈴の俳句

 
 

 
日野 草城(そうじょう)は東京都出身の俳人で、本名は克修(よしのぶ)といいます。
 
 
エロ系俳句(と言っても当時の俳壇が厳しかっただけで大したことないです)と無季俳句という季語のない俳句の代表的俳人です。
 
 
・風鈴の 遠音きこゆる 涼しさよ
 
・月の隈 風鈴ありて 鳴り出づる
 
・夕風や 風鈴吊れば すぐに鳴る
 
・風鈴や 月光かくも 更けわたり
 
・風鈴や 遠くどよもす はたゝ神

 
 

(6)種田山頭火の風鈴の俳句

 

 
自由過ぎる流浪の俳人・種田山頭火(だねださんとうか)
 
 
自由律俳句を代表する人なので、字数ルールは無視しまくりで、区切れもどこにあるのかよくわからん俳句を多数残しております。
 
 
こんな俳人もいるぐらいなので、思い切って自由に作るのもおもしろいかもしれません。(先生の添削を受ける場合は叱られるかもしれないので、気を付けてください)
 
 
・あんたが 来てくれさうな ころの風鈴
 
・初孫が うまれたさうな 風鈴の鳴る
 
・山から風が風鈴へ 生きてゐたいと 思ふ
 
・風鈴の 鳴るさへ死の しのびよる

 
 

おわりに


 
最近は、風鈴を飾る軒下がない家が増えましたね。かくいうわが家もそうなのです。夏は閉め切って冷房入れてますし・・・
 
 
でも、風鈴は各地方の工芸品で昔からの日本の夏の風物詩なので、すたれてしまうのはちょっと悲しいです。
 
 
そういう住宅事情も考慮して、最近はこういう「卓上の風鈴」もあるんですよ。
 
 
かわいいですね。

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