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新年を迎えて見上げる朝の空は、お天気がよければ、一段とすがすがしい清らかな感じがしませんか?
 
 
お正月の句作の代表的な気候の季語に「初空」があります。
 
 
今回はその「初空」を季語にした俳句をご紹介します。

 
 

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「初空」とはいつの空?

 

 
「初空」とはその字のとおり新しい年の初めての空、つまり、元旦の朝の空を指します。
 
 
昔から元旦の晴れ晴れしい空は、瑞兆として喜ばれました。
 
 
でも、「じゃあ、雨や雪だったら?」と心配になりますね。
 
 
実は、雨空や雪空の場合も、豊穣の瑞兆とみなされてきたんです。
 
 
つまり、どんな天気でも「縁起がよい」ということなのでした。
 
 
めでたしめでたし(*^^*)
 
 

(1)小林一茶の「初空」の俳句

 

 
小林一茶(こばやしいっさ)は、江戸時代後期に長野県の農家の長男として生まれました。
 
「おらが春」、「一茶発句集」という俳句文集が有名です。
 
 
初空の 行き留りなり 上総山
 
初空へ さし出す獅子の 首哉
 
壁の穴や 我初空も うつくしき

 
 
 

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(2)正岡子規の「初空」の俳句

 

 
近現代俳句の祖・正岡子規は生涯にたくさん俳句や短歌を残しています。
 
子規についてはこちらを⇒正岡子規と5つの有名俳句
 
 
初み空 去年の眼を 開きけり
 
初空に 去年の星の 殘りかな
 
初空へ つゝとのべけり 鶴の首
 
初空や 初日初鷄(はつとり) 初鴉(はつがらす)
 
初空や 日の本明くる 櫻色
 
初空や 江戸は火の子の 花の春
 
初空や 鳥は黒く 富士白し
 
目にさはる 塵一つなし 初みそら

 
 

(3)高浜虚子の「初空」の俳句

 

 
高浜虚子は愛媛県出身ですが、長く神奈川県鎌倉市で暮らした俳人です。
 
 
柳原極堂が創刊した俳誌「ホトトギス」を引き継いで、俳句だけでなく和歌、散文などを加えて俳句文芸誌として発展させました。夏目漱石など小説家からも寄稿をうけています。
 
 
初空や 大悪人虚子の 頭上に
 
傷一つ 翳一つなき 初御空

 
 

(4)山口青邨の「初空」の俳句

 

 
山口青邨(やまぐちせいそん)は岩手県出身の俳人で、本名を吉朗といいます。
 
本職は鉱山博士でした。俳句の師匠は高浜虚子です。
 
 
初御空 多摩の横山 松を並め
 
初空の 藍と茜と 満たしあふ
 
初空の 雲黄龍と なりとべり

 
 

(5)山口誓子の「初空」の俳句

 

 
山口誓子(せいし)は京都の俳人で、本名は山口新比古(ちかひこ)という男性です。
 
 
ホトトギス派を代表する「ホトトギス四S(シイエス)」の1人でしたが、後に水原秋桜子についてホトトギスを離脱しました。
 
 
「ホトトギス四S」は、水原秋櫻子、山口誓子、阿波野青畝、高野素十です。
 
 
初御空 千木を開きて 受け給ふ
 
初御空 峰を守れる 孤つ松

 
 

(6)飯田蛇笏の「初空」の俳句

 

 
飯田蛇笏(だこつ)は山梨県出身の俳人です。本は武治(たけはる)、別号は山廬(さんろ)です。
 
高浜虚子に師事し山梨の山村で暮らしながらも格調の高い句を作り続け、大正時代の「ホトトギス」隆盛期の代表作家として活躍しました。
 
俳誌「雲母」を主宰しています。山梨県出身で、同じく俳人の飯田龍太は蛇笏の息子です。
 
 
初空の 光ひかり盈ひかりつゝ 温室のみち
 
凍港の 歛まる雲や 初御空

 
 

(7)日野草城の「初空」の俳句

 

 
日野草城(ひのそうじょう)は東京出身の俳人で、本名は克修(よしのぶ)、ホトトギスで俳句を学びました。
 
俳句雑誌にフィクションの新婚旅行の俳句を10句載せて師匠の高浜虚子に激怒され、「ホトトギス」を除名されました。
 
虚子とは、晩年に和解できたようですよ。
 
 
初空の 大青空は 見れど飽かず
  
初空に 日かげ満ちたり まさやかに
 
初空や 一片の雲 燿きて
 
初空や これはこれわが 草の庵
 
初空を 既に翔りし 一機あり

 
 
 
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