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今回のテーマは、「葛(くず)」です。
体によい日本の植物といえば、「葛」は、絶対に外せません。(*’▽’)
「葛」は、世界の多くの地域で生息している植物で、日本では1300年も前から薬草として用いられてきました。
7世紀には、「葛湯(くずゆ)」として飲まれていたと記録に残っています。
「和ハーブ」の中でも、最強かもしれない・・・。
私の大好きな「黒蜜きなこ」と相性のよい夏の和スイーツ「葛餅」は、のどごしもよく栄養価も高く、消化にも良いといい事尽くしですよ。(≧◇≦)
今回は、昔から滋養強壮の薬として重用されてきた「葛」の栄養と効能を紹介します。
目次
「葛」(くず)とは
「葛」は、マメ科のツル植物で、秋の七草の1つでもあります。
参考➾秋の七草の名前と覚え方・春の七草との違いは○○
葛は、紫色のきれいな花を咲かせます。
俳句の「秋」の季語でもあります。また、「葛餅」は「夏」の季語です。
ハーブの多くは雑草並みの生命力を持ちますが、この葛にも、ものすごい生命力があります。
葛は、繁殖力が強く、つるの生長も早く、他の植物に巻き付き枯らしてしまうという恐るべき生態を持つのです。上の↑画像を見ても、一面覆いつくしていて怖いぐらいです。
いろんな効能がありそうですね。イメージですけど・・・(´・ω・)?
葛粉は、葛の根っこから取れます。
葛は、山に自生していて、つるが地面を這い、他のものに巻き付きながら10m以上にも伸びます。根っこは木質化して、地下で肥大した長芋状になります。
大きいものは長さは3m以上、直径は20㎝以上にもなるそうです。
すごく大きな根っこですね。びっくりです(◎_◎;)
しかも、葛は、人が栽培すると品質が維持できないので、山で自生した葛の根を人の手で掘ったものが使われます。そして、デンプンを作るのに、ものすごく手間暇がかかります。ですから、どうしても価格が高くなり、スーパーなどでは、ほとんど販売されていません。
「本葛」を選びましょう
葛の効能はとても多いですが、100%の「本葛」のデンプンでなければ効果はありません。
そして、お店で売られている安価な「葛湯」や「葛餅」には、ジャガイモのデンプン、つまり片栗粉が混ぜられている場合が多いです。
葛は体を温めますが、片栗粉(ジャガイモ)は体を冷やします。
注意が必要ですよ。(´・ω・)
購入の際に、気をつけたいのは、まず価格です。
安価な物は疑わしいです。
「原材料」の記載をチェックすると、見分けがつきます。
葛100%の場合「本葛」と記載されています。
関西では、ほとんとが吉野(奈良県)の本葛です。
ですから、100%の葛の場合は「本葛」または「吉野本葛」と書かれています。
「葛」「吉野葛」と書かれているものは、100%ではありません。
原材料は含有量が多い順に書くように定められているので、「砂糖、本葛・・・」の順ならOKですが、「砂糖、澱粉、葛・・・」なんて並びの場合、葛粉の量が少なく、ほとんどが澱粉(片栗粉)という事もあり得ます。
「本葛」の葛湯や葛餅は、とろみや食感が全然違いますよ。(*’▽’)
「吉野本葛」は、関西ではすごく有名ですが、今では、葛の産出量が日本一なのは鹿児島県です。
葛粉を作るには、大変な手間がかかります。
葛の根っこを何度も何度も水に晒して、1年ぐらいかけて作るのです。
吉野には、「吉野晒(よしのさらし)」という独特の水晒し製法が伝えられていて、この方法で精製されたものを「吉野本葛」 あるいは「吉野葛」とよぶのだそうです。
山深い吉野は、染井吉野(ソメイヨシノ)の誕生の地といわれ、関西を代表する桜の名所の1つでもあります。
参考➾奈良のお花見スポット3選・奈良公園・吉野山・郡山城跡
葛の食べ方・飲み方
葛は、葛根で知られる根っこだけでなく、葉もつるも花もすべて使うことができます。ただ、飲食する場合、「根」のデンプンが使われることが多いです。
冬には、風邪の予防によいといわれる「葛湯」、関西では、夏には「葛餅」や「葛きり」として和菓子屋さんに並びます。
葛餅は、わらび餅に似ていますが、わらび餅よりも、ずっともっちりしていますよ。
冬には「葛湯」、風邪には「葛根湯」を
風邪薬として有名な「葛根湯」の主成分は「葛」です。
葛は、漢方では辛涼解表類(しんりょうげひょうるい)と分類されます。
体から余分な熱を取り去り(発汗作用)、体を潤わせる効果があるといわれます。
ですから、風邪の引き始めの生薬として、昔から「葛根」が用いられるのです。
「葛根」は、葛の根っこを水洗いして日干ししたものです。
(1)葛根(かっこん)の効能
葛根には、発汗作用の他に解熱・鎮痛作用があります。
風邪の引き始めの他、便秘・下痢などの胃腸の不良のときにも効果があります。
(2)葛湯(くずゆ)の効能
葛根を原料とした葛湯は、とろみがあって消化も良く、胃腸の負担が軽いため、体力が失われたときの滋養食として、昔から重宝されてきました。
熱いお湯でといた葛湯は、なによりも、体の冷えを改善する効果あります。
夏には「葛餅」「葛きり」で滋養強壮を
夏は、暑さで食欲がなくなったり、冷たい飲み物を飲むことが多くて、胃腸の調子が悪くなることが多いです。
葛には、発汗作用があり、体の熱を取る働きがあるので、夏に食べるのも向いています。
特に「葛餅」は、冷たい和スイーツで、黒蜜・きなこをかけて食べることが多いので、美味しいだけでなく、黒蜜ときなこの栄養も取り入れることができます。
きなこには、豊富な大豆イソフラボンが含まれ、黒密(黒糖)には、体を温める効果があります。
まさに、美肌スイーツといえるでしょう。(≧◇≦)
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葛の栄養素
葛には、多くの栄養素が含まれていて、効能も多すぎて何に効くのかわからなくなるぐらいです。
天然ものの本葛には、昔から極めて広範囲な優れた効用があるといわれます。
主な有効な成分は、10種類以上の「フラボノイド」と「サポニン」です。
(1)フラボノイド
フラボノイドは、血管を拡張する作用や神経系を安定させる働きがあります。
高血圧や動脈硬化など血管系の病気の予防に、効果が期待されます。
また、血行促進効果があるので、体を温める働きもあり冷え性にも有効です。
冷え性改善におススメするのは、生姜と一緒に摂ることです。
生姜葛湯を飲むと、体がぽかぽかと温まりますよ。
(2)サポニン
サポニンは、アンチエイジング効果のある成分で、若返り効果が期待できるといわれます。
血中コレステロールの除去や、血液中の脂質の量を減少させる働きもあります。
葛のデンプンは、体の生命活動に欠かせないエネルギーに変換されるので、胃腸が弱って食欲がないときに、栄養補給するのにとても効果的です。
(3)イソフラボン
本葛には、大豆のイソフラボンの5~10倍もの量があることがわかっています。
イソフラボンは、大豆の胚芽などに含まれるポリフェノールの一種です。
女性ホルモンと同じような働きをするので、大人の女性にうれしい効果があります。
更年期障害でお悩みの人に、おススメです。
おわりに
葛は、体によいのは分かっていても、習慣的に摂りにくいように思います。
葛湯や葛餅は、特別なときにという感じですね。
定期的に食べたいときは、葛粉を買って自分で作るのがよいと思います。
葛湯は、栄養◎!消化◎!なので、置き換えダイエットにもよく使われますよ。酵素ダイエットのような感じですね。(*’▽’)
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