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こんにちは。
 
 
夏目漱石は教師経験があり、イギリス留学もし、小説家になってからは多くの門下生に慕われていたこともあって、数多くの逸話を残した文豪です。
 
 
今回はその一部をご紹介します。
 
 

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夏目漱石の有名エピソード

 
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夏目漱石の生涯や作品、交友関係はこちらの記事にあります。(*’▽’)
  ↓  ↓


 
 

1.「漱石」はペンネーム

 

 
古代中国に「枕石漱流」という詩があります。
 
 
読み方は「流れに漱(くちすす)ぎ石に枕す」です。
 
 
「世俗から離れ、川の流れで口をすすいで、石を枕として眠るような隠居生活をする」という意味です。
 
 
晋(しん)のある人がそろそろ隠居をしたいと思ったとき、こう言うつもりが、「漱石枕流」と言い間違えてしまいました。
 
 
これでは「石で口を漱ぎ、流れを枕にする」という意味になってしまいますね。
 
 
友人がその間違いを指摘したのですが、その人はすごく負けず嫌いだったので、訂正せずにそれを押し通したのだそうです。
 
 
このことから、「漱石枕流」は「負け惜しみが強い、頑固者」という意味で使われる「故事」となりました。
 
 
「夏目金之助」は、この言葉が自分の性格を言い当てていると感じ、「漱石」というペンネームにしたのだそうです。
 
 
「漢詩」に精通している漱石らしいエピソードだなと思います。

 
 

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2.「脳」が東大医学部に保存されている

 
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漱石の「脳みそ」は、エタノール漬けにされて現在も東京大学医学部に保存されています。
 
 
漱石が亡くなったとき、松山中学時代の教え子・真鍋東大医学部教授が司法解剖を担当しました。
 
 
真鍋教授自身も、研究の為に漱石の脳を保存したかったようですが、そのときちょうど漱石夫人から解剖と保存の申し出があったので、それを了承したのだそうです。

 
 

3.ほとんどDV夫だった?

 
 
ロンドン留学から帰ってきた漱石は、いわゆる神経衰弱になり、妻や女中に常に見張られているだとか、誰かに監視されているとかいう妄想に取りつかれ、急にヒステリー発作を起こすようになりました。
 
 
そのときは、妻子を殴る蹴る、物は壊すと、大変だったそうです。
 
 
悪妻とも噂される鏡子夫人は「これはお父様の病気」と子供たちに言いきかせ、持ち前の大らかさで漱石を支えたそうですよ。

 
 

4.「甘党」すぎてヤバかった

 
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漱石はものすごい甘党で、特に羊羹(ようかん)には目がなかったそうです。
 
 
胃潰瘍だったので、医師や門下生にも止められていたのですが、どうしてもやめられなかったのでしょう。
 
 
43歳の「修善寺の大患」後はさすがにダメだということで、奥さんが甘いものを隠しました。それでも娘と一緒に家の中を探し回り、ついに見つけたときは、すごくうれしそうだったらしいです。

 
 

夏目漱石の名言

 
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1.名言「月が綺麗ですね」

 
 
漱石が英語教師だったとき、「I love you」を和訳せよという問題がありました。
 
 
生徒が「我、汝ヲ愛ス。」と訳したところ、漱石は「日本人はそんなことは言わない、『月が綺麗ですね』とでもしておきなさい。」と答えたという逸話です。
 
 
すごく有名なエピソードなのですが、実は、この話は典拠不明です。
 
 
まあ、英語の講義の中での会話なので、明文化されていなくても不思議はないですけどね。
 
 
漱石が言ったという保証はないのですが、この表現には何とも言えない情緒があります。もしも、本人が言っていなかったとしたら、いかにも先生が言いそうな表現だということで、広まったのでしょう。
 
 
お互いを見つめ合うのではなく、「月」という「共通の対象物」を見ることで、2人の間の「行間」が浮かび上がります。
 
 
「間接的に」愛情を表現する、日本の古典的な表現方法ですね。

 
 

2.手紙の中の名言

 

 
★「どうぞ偉くなってください。しかし、むやみにあせってはいけません。牛のように図々しく進んで行くのが大事です。」
(芥川龍之介に宛てた手紙)
 
 
★「君、弱い事を言ってはいけない。僕も弱い男だが、弱いなりに死ぬまでやるのである。」
(森田草平への手紙)

 
 

3.作品の中の名言

 
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★「精神的に向上心のない者は馬鹿だ。」『こころ』
 
 
★「自分に誠実でないものは、決して他人に誠実であり得ない。」『行人』
 
 
★「智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。『草枕』
 
 
★「恐れてはいけません。暗いものを凝って見詰めて、その中から貴方の参考になるものをおつかみなさい。」『こころ』
 
 
★「運命は神の考えるものだ。人間は人間らしく働けばそれで結構だ。」『虞美人草』
 
 
★「愛嬌というのはね、自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ。」『虞美人草』
 
 
★「自らを尊しと思わぬものは奴隷なり。『断片』

 
 

おわりに

 

 
芥川龍之介は『羅生門』を発表したとき、誰にも注目されなくてこのままでは小説家になれないと思い、林原耕三の紹介で漱石を頼ります。漱石にほめられたことが、芥川のモチベーションアップにつながったことは、間違いないでしょう。
 
 
漱石は、他の弟子からの質問や悩みの手紙にも、真摯に答える人だったそうです。
 
 
教師時代から破格の給与だったこともあり、問題児の弟子の借金の肩代わりをしたりなど、面倒見のよい先生でした。
 
 
生徒に好かれるのもナットクですね。
(家庭ではDV夫ですけど・・・。)(´Д`)

 
 
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