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こんにちは。
 
 
『坊っちゃん』は、夏目漱石の前期の作品で、何度も映画化されているので、見た人も多いと思いのではないかと思います。
 
この作品は漱石が「松山中学校」で教鞭をとったときの体験をもとに描いたといわれます。松山中学校は、漱石の友人で俳人の正岡子規の母校でもありました。
 
 
文章は、「おれ」という「一人称形式」で書かれていて割と読みやすいラノベみたいです。
 
 
なぜ「おれ」が「坊ちゃん」なのかというと、年老いた使用人の女性「清(きよ)」がそう呼ぶからです。タイトルが「清(きよ)」目線なんですね。
 
 
ちなみに、漱石の表記は「坊っちゃん」と「っ」が入ります。
 
 
テストに出そうな場合は、気をつけてくださいね~。

 

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あらすじ

 

 
すごく簡単にあらすじを説明すると、
 
 
「東京から松山に中学教師(数学科)として赴任した「坊っちゃん」が、学校で生徒や教師と問題を起こして、結局、教師を辞めて東京に戻ってくる話」
なのでした。
 
 
<<冒頭>>
 
 
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。」
 
 
全部で(一)から(十一)の章に分かれています。

 ↓
『坊っちゃん』青空文庫
 

(一)・(二)

 
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「坊ちゃん」は子供のころから無鉄砲で、気性の荒い性格です。そのせいで、両親にうとまれ、兄ばかりがかわいがられます。うーーん、いわゆる兄弟格差ってやつですね。
 
 
でも、下女として世話をしてくれるおばあさんの「清(きよ)」だけは、いつも坊っちゃんの味方をしてくれます。「清(きよ)」は、いつも坊っちゃんをほめてくれて、「真っすぐでいい性格」だと言います。こういう人の存在って、すごく大切ですよね。
 
 
そのうち、坊っちゃんの母親が亡くなり、数年後に父親も他界します。
 
 
兄は家を売り払って九州に行き、坊っちゃんはその遺産で物理学校(現・東京理科大学)に通うことにしました。そして、卒業後、数学科教師として四国の中学校に就職したのです。
 
 
家を売り払ったので、清(きよ)は、甥の家に身を寄せることになりました。
 
 
四国に着くと、都会育ちの坊っちゃんの目には、そこはすごい田舎に映ります。村人の気質も田舎者なので、江戸っ子の「坊っちゃん」とは、気が合いません。
 
 
学校に着いた「坊っちゃん」は、知り合った教師たちにあだ名をつけ、「清(きよ)」宛ての手紙に記しました。
 
 
校長は「狸」、教頭は「赤シャツ」、英語の教師は「うらなり」、数学は「山嵐」、画学は「のだいこ」です。
 
 
なんかね、ほんとに結構ラノベ感が強いですよ。

 
 

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(三)・(四)

 

 
「坊っちゃん」は、教壇に立ちますが、生徒たちとよい関係を築くことができませんでした。
 
 
「坊っちゃん」がお店で天ぷらそばを4杯も食べているのを生徒に見られ、「天麩羅先生」とあだ名をつけられたり、温泉の浴槽で遊泳したことをいたずらのネタにして笑われます。
 
 
人に変なあだ名をつけて遊ぶのが、流行ってたのかな?
 
 
また、当番の宿直で学校に泊まったとき、寝ている部屋に50~60匹ものイナゴを入れられるといういたずらをされます。
 
怒った「坊っちゃん」が問いただすと、生徒は、自分たちがいたずらをしたと認めません。そういう卑怯な態度は、「坊っちゃん」には許せない卑怯な事でした。

 
 

(五)・(六)

 
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ある日、釣りに行きませんかと「赤シャツ」と「野だ」に誘われて、「坊ちゃん」は釣りに行きます。
 
 
そこで、2人はひそひそと話をして、「坊っちゃん」にわざと聞こえるように「イナゴ」「天麩羅」などと言って笑います。「坊っちゃん」は気を悪くして、この2人に強い嫌悪感を抱きます。確かに、感じ悪いですよね。
 
 
また、別の日には、「山嵐」に、「坊っちゃん」に紹介した下宿をすぐに出るようにと言われます。「坊っちゃん」が乱暴で、その宿の亭主が困っているのだとと言うのです。
 
 
乱暴な事などしていない「坊っちゃん」は、言いがかりだと「山嵐」に腹を立てます。
 
 
「坊っちゃん」は松山に来てから怒ってばっかりです。

 

(七)・(八)

 

 
下宿を引き払った「坊っちゃん」は、「うらなり」の紹介で新しい下宿先を見つけました。
 
 
その下宿先で「坊っちゃん」は「うらなり」と結婚の約束をしていた「マドンナ」が「赤シャツ」に奪われたことを知ります。
 
 
その後、「赤シャツ」の策略で「うらなり」が転勤させられることになります。それを知った「山嵐」が「狸」に抗議したことから、「山嵐」と「赤シャツ」の仲がこじれたという話を聞きました。

 
 

(九)・(十)・(十一)

 

 
「うらなり」の送別会のとき、「山嵐」が「坊っちゃん」に謝罪しました。下宿で乱暴をしたという話は、下宿の亭主の作り話だったと分かったからです。そして、2人は仲直りしました。
 
 
その後、中学生と師範学校生がケンカを起こします。「坊っちゃん」と「山嵐」がそれを止めに入りましたが、ケンカを止めることはできませんでした。
 
 
そして、その責任を取らされて「山嵐」が学校をやめる事になります。「赤シャツ」に、邪魔な「山嵐」を追い出すきっかけとして利用されたのです。
 
 
「坊っちゃん」は、その処分に全く納得がいきません!
 
 
こそこそと悪口を言ったり、人を陥れる策略家の「赤シャツ」をこらしめなければと考え、「山嵐」と計画を練ります。
 
 
「坊っちゃん」は「山嵐」と共に待ち伏せして、芸者遊びを終えて帰る「赤シャツ」と「野だ」をこらしめました。そして、そのまま辞表を出して、学校を辞めたのです。
 
 
東京に戻った「坊っちゃん」は街鉄(がいてつ)の技手になって、「清(きよ)」と共に暮らします。それからしばらくして、「清」は肺炎で亡くなります。

 
 

感想文のコツ

 
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感想文に書くときは、
 
 
(1)「坊っちゃん」と「赤シャツ」の敵対関係
(2)「坊っちゃん」と「山嵐」の友情
(3)「坊っちゃん」と「山嵐」がした「天誅」についての是非
(4)「坊っちゃん」と「清(きよ)」の愛情

 
 
このあたりを「軸」にするとよいと思います。
 
 
いろいろな視点で読めるところが、漱石先生のすごいところですね。
 
 
(1)は、天敵(大嫌いな人)がいる人は書きやすいです。「赤シャツ」のように、策略家で腹黒いのに、世渡りがうまい人って、確かにいますよね。
 
 
(2)は、自分の親友(悪友でもOK)との例を挙げて書くとよいですよ。実際に、一緒に力を合わせて何かをした「体験」を書くことがポイントです。
 
 
(3)は、社会的な目線になります。←少し高度です。「坊っちゃん」は、結構、毒のあるキャラクターなので、「坊っちゃん」の独りよがりの「正義」で暴力(天誅)が許されるのか否かが焦点になります。「是非の主題」として書いていきましょう。
 
 
私が書くなら断然(4)です。おばあちゃんっ子だったので、「清」がおばあちゃんとかぶりまくりです。(*^^*)
 
 
「赤シャツ」たちには敗れたけれど、「坊っちゃん」には帰る場所がありました。
 
 
東京に戻って真っ先に「清(きよ)」を訪ねたことからも、それは明らかです。四国にいるときも、度々「清(きよ)」のことを、何度も思い出していますしね。
 
気性が荒くて、人付き合いが下手な「坊っちゃん」は、両親に疎まれて育ちました。そんな「坊ちゃん」を100%受け入れ、肯定してくれる人が「清(きよ)」だったのです。
 
 
「清(きよ)」の大きな愛情が、この話を温かくしているように思いますね。
 
 
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