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「因幡の白兎」は、日本神話のエピソードの1つです。
『古事記』の中でも、かなり有名な話です。
この白うさぎは、今も出雲に祀られています。
そして、主人公のオオナムチ(オオクニヌシノミコト)は、出雲大社のご祭神です。
今回は、「因幡の白兎」のあらすじを紹介します。
因幡の白兎
この物語の主人公は、「因幡の白兎」とそれを助けた「オオナムチ」です。
「オオナムチ」は、三貴子の一柱「スサノオ」から6代下った子孫です。
「オオナムチ」は、後に「オオクニヌシノミコト(大国主神)」と呼ばれる「国つ神」です。
日本神話の神は、名前が分かりにくいですね。
このことを、まず、覚えておいてください。
「オオナムチ」=「オオクニヌシノミコト(大国主命)」=「大黒天」
「オオクニヌシノミコト」のほうが知名度は高いですが、ここでは『古事記』に準じて「オオナムチ」と表します。
『古事記』の説明は、こちらにあります(^^)♪↓
出雲から因幡へ
オオナムチには大勢の異母兄弟がおり、彼らはまとめて「八十神(ヤソガミ)」と呼ばれます。
末っ子のオオナムチは、いつも八十神(ヤソガミ)にこき使われていました。
ある日のことです。
八十神(ヤソガミ)は、因幡(いなば)に「ヤカミヒメ」という可憐な美女が住んでいるという噂話で盛り上がります。
それならばと、みんなで「ヤカミヒメ」に求婚しに行こうと決めました。
善は急げということで、早速、「ヤカミヒメ」の元へ遠征します。
ですが、因幡(いなば)まで行くには、荷物も必要です。
そこで、八十神(ヤソガミ)は、オオナムチにみんなの荷物を持たせることにしました。オオナムチは、八十神(ヤソガミ)の大きな荷物を運ぶことになり、従者のように扱われます。
八十神(ヤソガミ)は、みんな手ぶらなので足取りも早く、さっさと歩き去ります。その後を、大きな荷物を背負ったオオナムチが、だいぶ遅れてついていきます。
白兎に出会う
八十神(ヤソガミ)に遅れて、オオナムチは、 「気多の岬(ケタノミサキ)」に着きました。
すると、どこからかシクシク誰かの泣く声が聞こえます。
その声の方をのぞくと、そこには皮が剥がれて赤くただれた、白いうさぎがいました。
オオナムチが
「一体、何があったんだい?」
と聞くと、うさぎは、話し始めました。
この白うさぎは、隠岐の島に住んでいたのですが、どうしても、広いこちらの陸地に行きたくなったのです。そして、あることをひらめき、ワニ(サメ)を騙しました。
(※この話の「ワニ」は、ハ虫類のワニではなく、サメ・フカの類です。)
うさぎは、ワニ(サメ)に向かって「この島に住むうさぎとワニ(サメ)、どちらの数が多いか比べよう!」と提案しました。
「ワニ(サメ)の数を数えるから、島の向こうから岸まで順番に並んで。」と言います。そして、数えるふりをしながら、島から岸までワニ(サメ)の背中をぴょんぴょん飛び渡って、橋の代わりにしたのです。
最後の1匹から、陸地にぴょんと飛び降りようとしたまさにそのとき、つい調子に乗って、うさぎは、
「お前たちは、騙されたんだよ。まだ気づかないのかい?」
と、口を滑らせてしまったのです。
それを聞いた、最後のワニ(サメ)がひどく怒って 、うさぎの皮を剥がしてしまったのでした。
その後、痛くて痛くて泣いていたら、八十神(ヤソガミ)がやって来て、
「その傷を治したければ、まず、海水でよく傷口を洗うんだ。
その後、風の当たる丘でよく乾かす。そうすれば、すぐに治るぞ。」
と、誤った治療法を教えていきました。
白うさぎは、教えてもらえたと喜んで八十神(ヤソカミ)の教えに従いましたが、かえって傷が悪化してしまったのでした。
その話が、こちらです。↓ ↓
オオナムチの教え
白うさぎをかわいそうに思ったオオナムチは、正しい治療法を教えてあげました。
「まず、川に行って真水で体を洗って、塩気を落とす。
それから、蒲(ガマ)の穂を集めて、その花粉を地面にしきつめる。
その上で、ぐるぐる転がり回れば、赤くただれた皮は、きっときれいに治るよ。
蒲の花粉は、血止めに効くからね。」
痛みがひいたうさぎは、喜んで、何度も何度もオオナムチにお礼を言いました。
「本当に、本当に、ありがとうございます。」
白うさぎは、本当にうれしかったのでしょう。
オオナムチにこんな予言を残します。
「八十神(ヤソガミ)は、誰一人としてヤカミヒメに選ばれません。
ヤカミヒメの夫に選ばれるのは、荷物運びをしているあなたです。」
そして、白うさぎは、ぴょんぴょん元気に森に走って行きました。
最終的に、「因幡の白兎」の予言は、現実のものとなります。
(でも、その前に、まだまだオオナムチの試練は続きますよ。 ^^;)
現在、この白うさぎは、出雲の「白兎神社」に「兎神」として祀られています。
おわりに
これは神話ですので、権力を握った側(オオナムチ)が統治者として相応しいものと正当化している話です。
それを阻止しようとする者(八十神)が「悪」とされるわけですね。
ちなみに、オオナムチ=オオクニヌシノミコト(大国主命)は、大黒天、通称「だいこくさん」とも呼ばれます。
大黒天は元はヒンドゥー教の神でしたが、室町時代にオオクニヌシノミコトとみなされるようになりました。(神仏習合)
大黒天は、七福神の1柱です。
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