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こんにちは、このかです。
福沢諭吉といえば・・・・一万円札ですね。(違います?)
・・・つまり、お札になるほどの人なんですね。
「一万円札」というのは、お札の中でも、一番大きな単位ですよ。
それに選ばれるってことは、本当に相当スゴイ偉人だということじゃないですか?
ちなみに、この一万円札、福沢諭吉の前は、聖徳太子です。
福沢諭吉の代表作『学問のすすめ』は、明治初期、日本が新たな道しるべを模索していた時代に、彼が日本の国民に向けて書いた啓蒙書です。
明治という新しい時代は、日本が欧米に追いつくためには、どうしていけばよいか、いろんな知識人が考えていた時代です。
福沢諭吉も、多くの体験をして、大切なのはどういうことなのか自分が考え出したことを、日本のみんなに伝えようとしたのです。
今回は、そんな宮沢諭吉の『学問のすすめ』の中の「学問」についてお伝えします
目次
『学問のすすめ』
明治時代は、欧米が帝国主義政策というのをとって、アジアなど他の地域を次々に武力で制圧して植民地化していた物騒な時代でした。
そんな世の中で、福沢諭吉が表した『学問のすすめ』は、当時の日本が欧米の植民地にならずに独立国家として保ったまま、欧米と肩を並べられるような国力を身につけるためどうすればよいか提唱した書だったのです。
全部で17冊の小冊子からなるこの書籍は、350万部という大ベストセラーとなります。
350万部って、ちょっとビビりますよ、この数字!
当時(明治5年)の日本の人口は、約3,500万人だったのですよ。
つまり、単純に考えて、国民の10人に1人は手に入れていたということです。
空前絶後の大ヒット作ですね。
でも、なんでそんなに人気があったのでしょう。
その書の内容を、見ていきましょう。
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといえり
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといえり
よく「名言集」に載っているこの言葉、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
これだけ読むと、「人間は、生まれたときから平等なんだよ~」という意味かなと思います。
それはその通りなんです。
が、
実は、これには続きがあるんです。
「人はみな平等だとは言うけれど、仕事や身分によって違いがあるのはどうしてだろうか。」
そう、人は平等だとよく言われるけれど、社会を見回すと、今だって格差だらけですよね。
じゃあ、その格差、貧富の差は、どこで決まるのか?
福沢諭吉は、それについて、こう言っています。
賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとによって出来るものなり。
と言い切っています。
つまり彼は、世の中の格差は生まれ持った才能や富なんかではなく、学ぶか学ばないかで決まるのだと、言っているのです。
ここ、すごく大切なところですよ。
あなたも私も、頭では理解できている事だと思うんです。
でも、実際に実行できているかというと、難しかったりしますね。
私はすぐに怠け心が出るので、諭吉さんにはっぱをかけてもらいたいです。
「実学」こそが重要‼
福沢諭吉の言う「学問」とは、難しい字を知って、理解しにくい古文を読み、和歌に親しんで詩を作るなどという「実のない文学」、つまり「座学」のことではありません。
彼は、学問というのは「実学」、座学ではない世渡りの勉強や、商売の帳簿をビシッと作ることや、時代の流れを読むことなどだと断言しています。
「学ぶべきは、人間の実生活に役立つ学問」=「実学」。
そして、その「実学」は、自分の利益だけでなく、世の中のためになる学問であるべきと考えました。
なんかこれ、ビジネスの基本ですね。
この時代に提唱しているところが、すごいです。
学びて富み、富みて学ぶ
この言葉も、スゴク深いですね。
稼いだお金は、消費に使ったり貯蓄に回すのではなく、自己投資に使うべき(再投資)という教えです。
なんかこれ、現代の投資家や実業家が、そろって口にしている言葉ですよね。ビジネス書に、必ずといってよいほど書かれていることです。
実際、お金持ちほど、自分に投資する勉強熱心な人が多いです。
知識が増えれば増えるほど、お金も稼げるようになるし、人間としても成長できることを経験上わかっているのでしょうね。
彼らは、自己投資することで、より多くのお金が稼げるようになり、それをまた知識に投資(自己投資)する、そしてまた成長するという良いサイクルを作っているのです。
見習わなければ・・・・・!
一身独立して、一国独立する
国民は、何かというと、政府の政策を批判することが多いです。
でも、政治の停滞の一番の原因は「国民自身だ!」と述べています。
文明を起こすのは 民間人(国民)であり、それを保護するのが政府だという考え方です。
この一説、 安倍首相が、第183回国会における施政方針演説で、引用しています。↓
「『強い日本』。それをつくるのは、他の誰でもありません。私たち自身です。『一身独立して一国独立する』。私たち自身が、誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で、自ら運命を切り拓こうという意志を持たない限り、私たちの未来は拓けません。」
男尊女卑・身分制度の批判
福沢諭吉は、下級氏族出身だったので、差別された体験があります。
彼は、固定化された身分制度は、とんでもなく卑怯で尊大なものだと考えていました。
また、当時、男性と比べて差別されていた女性の社会的地位の向上に目もを向け、その差別の解消に努めたのです。
なんか、いろんな点で、時代を先取りしていますね。
演説は大切
「speech」に「演説」という訳語を当てたのは福沢諭吉です。
当時は、英語を一言で言い表す日本語訳が確立していませんでした。
なので、福沢諭吉や夏目漱石、森鴎外など知識人の考えあた訳語をそのまま当てることが多かったのです。
福沢諭吉は、学問というのは、観察したり読書したりして、たくさん知識を持つだけではだめだと考えました。
議論してその知識を人と取り交わし、書物を書いたり、演説をしたりして、自分の知見を人に広めることこそが大切なのだと、記しています。
議論して知識を他の人と深め合ったり、演説して人の心を動かすことは、めっちゃ大切と言いたかったのですね。
個人の心の持ちようを説く
17冊の小冊子の後半は、個人的な精神論を述べた内容が多くなります。
例えば、「嫉妬、妬みは人間最大の不道徳で、諸悪の根源だ!」と、例をあげて批判してます。
ごもっともです。
嫉妬心をコントロールするのは、すごく大事なことですね。自分のためにも。
また、懐疑的精神を持つこと、つまり、なんでも鵜呑みにせずに、本当に正しいの?と自分で考えることが大切だと書いています。
なんでもかんでも西洋文化はスゴイ!とまねせずに、日本の優れたところもしっかり認識すべきと説いているのです。
人間には誠実さが大切で、言葉を選んで、多くの人と交流しようとも言っています。
いちいち、ごもっともです。
おわりに
『学問のすすめ』は、現代のビジネス書としても十分すぎるほど通用する、優れた啓蒙書だとわかります。
だからこそ、日本の人口が3500万人だった時代に350万部も売れる大ベストセラーになったのでしょう。
福沢諭吉が『学問のすすめ』で伝えた学問とは、「実学」です。
福沢諭吉は、慶応義塾大学を作った思想家と思われがちですが、彼は、マルチな才能のある人間でした。
思想家であり教育者であり翻訳家であり作家であり、そして起業家でもあったのです。
『学問のすすめ』を読みんでいくと、諭吉が「一万円札」なのが、すごく納得!できたのでした。
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