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こんにちは。このかです。
 
 
旅を好んだ歌人・俳人はたくさんいますね。その中でも、私がいちばん好きなのは「西行法師」です。
 
 
西行法師は、とにかく生き方がクールなのです。彼は、もともとは、文武両道の超エリート武官だったのですよ。
 
 
エリートなのは確かにすごいですけど、私的にはそれだけでは素敵とは言えません。彼がカッコいいのは、そんなキラキラした現在も未来もぜーんぶ捨て去って、山にこもって自分を見つめる暮らしにてっした所なのです。
 
 
そんな西行法師に憧れた人は、数知れず・・・。
多くの歌人、俳人、茶人などが、その「寂び」の生き方に影響を受けています。
 
 
松尾芭蕉は、この西行法師に憧れて、旅に人生を投じた俳人でした。
 
 
今回は、百人一首の札のつるつる坊主をイメージしてしまうあなたに、西行の生き様のかっこよさをお伝えしたいと思います。

 
 

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西行は美形エリート親衛隊「北面の武士」だった!

 

 
西行法師・本名は佐藤義清(のりきよ)
 
 
西行法師と言えば、花(桜)と月をこよなく愛した放浪の大歌人として知られています。「新古今和歌集」に、94首という最多の和歌が治められている人でもあります。
 
 
西行の歌は、定家のような技巧に凝った歌とは異なり、あくまで自然体です。旅先の自然を素直に言葉につむぎ、内面の孤独や寂しさを素朴な言葉で飾らずに詠みました。めっちゃネガティブな歌が多くて、すごく好き。。。
 
 
彼は、藤原鎌足の子孫として、名門の裕福な武士の家に生まれました。そして、幼くして父を亡くしたため、早くに跡を継いで18歳で朝廷の警護兵となりました。
 
 
西行が配属されたのは、「北面の武士」です。
 
 
北面の武士とは、鳥羽院直属の親衛隊・名誉ある精鋭部隊で、文武両道はもちろんのこと、容姿端麗も採用条件に含まれていました。
 
 
西行は、公家・武家両社会の代表的スポーツである「蹴鞠」の名手で、疾走する馬上から弓矢で的を射る「流鏑馬(やぶさめ)」の達人でもありました。
 
 
さらに、ひんぱんに開催された「歌会」でも、西行の和歌は高く評価されました。
 
 
顔よし、頭よし、センス抜群、スポーツ万能、もちろんお金持ちで、家柄もよかったわけです。
 
 
ちなみに、同僚には、同い年の平清盛がいました。( ̄▽ ̄;)
そう、あの平氏の棟梁になる彼です。
 
 
文武両道で美形の西行の名は、天皇はじめ朝廷のトップ層にもよく知られていました。もう華やかな将来は約束されたようなもんです。
 
 
しかーし!
 
 
西行は、約束されたエリートコースをサッパリ捨て去り、1140年、23歳の若さで出家したのです。

 
 

地位名声の一切を捨てた潔さ

 

 
西行出家のうわさは、朝廷内に瞬く間に広がりました。
 
 
それは、彼が若かったということもありましたが、出家の仕方が他の多くの人と違っていたからです。
 
 
実は、当時の上流階級の人たちにとって、出家は特に珍しい事ではありませんでした。
 
 
でも、西行は官位を持っていて、しかも妻子がいました。
 
 
そして、大きな寺院に迎え入れられたのではなく、どの宗派にも属さず、地位も名誉も求めず、ただ旅に出ては山籠もりし、和歌をとおして自分の人生に向き合おうとしたのです。
 
 
全てを捨て去り、富も地位も名誉も求めず、山に籠ったところに感銘を受ける人々は多く、内大臣の藤原頼長は、「人々はこの志を嘆美しあった」と記しています。
 
 
彼の出家の理由は、いろいろ考証されています。よく取り上げられるのはこういう理由です。
 
 
1.親友が急死して世の無常を感じたから
2.皇位継承をめぐる朝廷への失望
3.待賢門院(鳥羽帝后)との失恋
4.仏に救いを求める気持ちが高まったから
 
 
真実は、西行本人でなけば分かりません。
 
 
失恋話はともかくとして、いろんな要因が絡み合っていたとは思います。当時は、皇位継承で醜い争いをしていましたし、浄土思想が高まった時代でもありました。
 
 
私は、小林秀雄が示唆している、西行の出家は、外的要因ではなく内的要因、つまり、「よりよい自分を発見し自己を高めるという目的」だという考え方がしっくりきます。
 
 
なんだか小林秀雄らしい堅苦しい言い方ですが、西行は生まれながらの歌人、芸術家の魂を持った人でした。
 
 
世俗の地位や名誉より、自分自身を高めるほうがずっとずっと価値あることと、考えていたのではないでしょうか。

 
 

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おわりに


 
西行法師の逸話は、「能」や「落語」の題目になってますし、上田秋成の『雨月物語』「白峯」など物語にも、よく使われています。
 
 
『雨月物語』は、おススメですよ。おもしろいです。それだけ、多くの人々を惹きつける生き方をした人なんだなと分かりますね。
 
 
そんな西行法師の旅の逸話は、こちらに書きました。

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「桜」と「月」の大歌人・西行法師がよくわかる旅の逸話を2つ紹介
 
 
雪月花を詠んだ西行法師の和歌は、こちらの記事でお伝えしています。
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平安の大歌人・西行法師の和歌を「山家集」から15首紹介