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俳句の季語の中には、「動物」というグループがあります。
 
 
「動物」を季語に使うのは、子供でも比較的作りやすいと思います。小学生の夏休みの「俳句の宿題」に、おススメの季語ですよ。
 
 
俳句の季語は、7つのグループに分かれています。
 
 
おさらいすると、
時候・天文・地理・人事・行事・動物・植物です。
 
 
伝統的な季語から現代生まれのものまで、たくさんあります。
 
 
とてもすべては紹介できませんが、代表的な季語とそれを使った俳句をご紹介します。

 
 

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夏の季語「動物」

 
 
◎ 夏の季語「動物」
 
アマガエル(雨蛙)・ヒキガエル(蟇蛙)・夏ガエル(夏蛙)
ヤモリ(守宮)・トカゲ(蜥蜴)・サンショウウオ(山椒魚)
蛇・ 蛇衣(へびきぬ)を脱ぐ・マムシ(蝮蛇)
 
 
ハヌケドリ( 羽抜鳥)・ホトトギス(時鳥)
ヨタカ(夜鷹)・ネリヒバリ(練雲雀)・バン(鷭)
オイウグイス(老鴬)・カッコウ(郭公)・鴨の子
ヨシキリ(葭切)・カワセミ(翡翠)・クイナ(水鶏)
シラサギ(白鷺)
 
 
ヒゴイ(緋鯉)・ナマズ(鯰)・アユ(鮎)・金魚
メダカ(目高)・アジ(鯵)・ハツガツオ(初鰹)
カツオ(鰹)・ツバス(津走)・ウナギ(鰻)
アワビ(鮑)・カニ(蟹)・クラゲ(海月)
 
 
夏の蝶・ 夏虫・ヒトリムシ(火取虫)・ガ(蛾)
毛虫・ 蛍・・蝉・マイマイ(鼓虫)・ノミ(蚤)
アメンボウ(水馬)・ハエ(蠅)・カ(蚊)
ウツセミ(空蝉)・ボウフラ(孑孑)・ブト(蚋)
シミ(紙魚)・アリ(蟻)・ハアリ(羽蟻) 
クモ(蜘蛛・ナメクジ(蛞蝓)・カタツムリ(蝸牛)
ヒル(蛭)・ミミズ(蚯蚓)テントウムシ(天道虫)
カブトムシ(兜虫)・コガネムシ(黄金虫)・・・・・

 
 

夏の季語「動物」を使った俳句

 
 
動物を使った俳句は、観察力が試されますね。
 
 
私が紹介するのは、芭蕉や蕪村、子規など、明治時代ぐらいまでの割と有名な人の俳句です。
 
 
現代俳句には、あまり関心がないので、ご了承ください。

 

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(1)「鹿の子」の季語を使った俳句

 

 
・大仏の 扉をのぞく 鹿の子かな
 
・うつとりと 人見る奈良の 鹿子かな
 
・ころがつて 腹を見せたる 鹿子かな

 
【作者】正岡子規
 
 
・赤い花 くわへて寝たる 鹿(の)子かな
 
・鹿の子の 枕にしたる つつじかな
 
・鹿の子の 人を見ならふ 木陰かな

 
【作者】小林一茶
 
 
「鹿の子」の俳句は、とってもかわいらしいです。鹿は「秋の季語」ですが、鹿の子は「夏の季語」なのです。
 
 
ついついたくさん選んでしまいました。(≧◇≦)
 
 
 
正岡子規も小林一茶も、写実的な俳句を好みました。「小鹿」の様子が、生き生き描かれていますね。
 
 
一茶のシカは、くすりと笑えるかわいらしさを感じます。
 
 
奈良公園に行ったら、同じように作れそうですよ♥

 

(2)鳥の季語を使った俳句

 

 
・京にても 京なつかしや ほととぎす
 
・ほととぎす 声横たふや 水の上

 
【作者】松尾芭蕉
 
 
・五月雨の 雲やちぎれて ほとゝきす
 
・お茶壷の 上を鳴き行く 時鳥
 
・時鳥 なくや夜明の 善光寺
 
・郭公 何の夢見る 陰陽師
 
・郭公 はてなき海へ 鳴て行く

 
【作者】正岡子規
 
 
伝統的な和歌や俳句の世界では時鳥・不如帰・子規・郭公は、全て「ホトトギス」と詠みます。
 
 
郭公は、理科的に分類すると、いわゆるカッコウのことですね。
 
 
実際には、ホトトギスと似てますが、別の鳥です。でも、和歌や俳句の世界では、特に古代は、「郭公=ホトトギス」として詠まれていました。
 
 
そして、ホトトギスといえば、この人を外せません。正岡子規、まさにホトトギスを意味する「子規」を名乗る俳人です!
 
 
ホトトギスは、血を吐くほど激しく鳴き続けるという伝説があり、それを若くして結核におかされ喀血する自分になぞらえたといわれます。彼は、「ホトトギス派文学」の創始者でした。
 
 
「夏の和歌」の記事で、とにかく「ホトトギス」を詠んだものが多いと書きましたが、俳句でも、やはり多いです。鳥といいながら、すべてホトトギスの句になってしまいました。(´・ω・)

   ↓↓↓
「夏の和歌」10首~日本人なら知っておきたい有名な歌
 
 
正岡子規の俳句を5つ紹介!「近代俳句の祖」といわれるわけ

 

(3)魚の季語を使った俳句

 
・鮎くれて よらで過ぎ行く 夜半の門
 
【作者】与謝蕪村
 
 
・落ち鮎や 日に日に水の おそろしき
 
【作者】加賀千代女

 
 

(4)昆虫の季語を使った俳句

 

 
・閑さや 岩にしみ入る 蝉の声
 
・やがて死ぬ けしきは見えず 蝉の声

 
【作者】松尾芭蕉
 
 
・短夜や 毛むしの上 に露の玉
 
・金亀子 なげうつ闇の 深さかな

 
【作者】与謝蕪村
 
 
・やれ打な 蝿が手をする 足をする
 
・夕されば 蛍の花の かさいかな
 
・大蛍 ゆらりゆらりと 通りけり
 
・蟻の道 雲の峰より つづきけん
 
・蝉鳴くや 我が家も石に なるやうに

 
【作者】小林一茶
 
 
芭蕉の「閑さや~」は、たいへん有名な俳句ですね。
 
 
「生き物」は、やはり一茶の句が楽しいです。子供の目で見たような、新鮮さを感じます。(´・ω・)

 
 
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