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こんにちは。
 
ひな人形は、今は、親王2人だけのものから7~13段の段飾りまで、いろいろなタイプがありますね。私は和ダンスの上におけるコンパクトで豪華なものが好きです♪
 
 
どのひな飾りも、当たり前ですが、一番上は婚礼の主役2人ですね。
 
題名に「お内裏様」と「お雛様」と書いていますが、これは正確には誤りなのですよ。「内裏(だいり)」というのは、天皇が住まれている京都御所の中の紫宸殿(ししんでん)のこと、つまり「場所」を指す言葉だからです。
 
 
ではなぜこう書いたかというと「お内裏様とお雛様~♪」という例の童謡・「うれしいひなまつり」のフレーズが広く知れ渡っているので、この表現が一番分かりやすいと思ったからです(今後も記事の中では、「お内裏様」という言葉を使うことにします)。
 
 
彼らは、ゆくゆくは天皇・皇后になるカップルです。
まだ若いので、親王・内親王です。
 
 
関西では、男雛・女雛とよばれるのが一般的ですが、地域によって、武家風にお殿様・お姫様とよぶこともあるようですよ。

 
 

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男雛(お内裏様)の服装と持ち物

 
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(1)お内裏様の頭部の飾り

 
お内裏様の頭には、平安貴族独特の「ある物」が飾られています。
ひとつずつ見ていきましょう。

 

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冠(かんむり)

 
お内裏様の頭には「冠(かんむり)」が飾られています。
 
「冠(かんむり)」というのは、平安時代の貴族にとって、とても大切な装飾品でさした。
宮廷に出仕する際や、主要行事に出席する際には、必ずかぶらなければいけないものだったのです。
 
「冠(かんむり)」は「烏帽子(えぼし)」と似ていますが、別物なのです。
「烏帽子」は通常のお仕事の際などにかぶる物なので、親王の婚礼のような特別な儀式には相応しくないものでした。「烏帽子」は普段着(の帽子)、「冠」は正装時(の帽子)という扱いだったようです。

 

纓(えい)

 
「纓(えい)」というのは、冠の後ろに付いている薄くて細長いものです。
 
「冠」と「纓(えい)」はセットで身につけます。
天皇(親王)だけが身につけられるものを、特別に「立纓(りゅうえい)」とよびます。
 
「纓(えい)」は、他に「随身」が使用する「巻纓」など、身分によっていくつかの種類があるのでした。

 

巾子(こじ)・笄(こうがい)

 
髪を上にあげてまとめた髪型を髻(もとどり)といいます。(俗称は「ちょんまげ」)
立てた髻(もとどり)を納めるものを「巾子(こじ)」と呼びます。
 
髪と冠(かんむり)を留めるための棒が「笄(こうがい)」です。
ちょうど冠(かんむり)の左右にはみ出して見えますよ。

 

(2)お内裏様の服装

 

 

束帯衣裳(そくたいいしょう)

 
お内裏様は、「束帯衣裳(そくたいいしょう)」とよばれる皇族や身分の高い人が着る服を着ています。これは、中国の唐の着衣が日本に伝来し、日本で発展したものなのです。
 
 
「束帯」は、貴族の正装にあたります。
 
 
何枚も重ね着をしているのですが、一番上に着ている上着が「縫腋袍(ほうえきのほう)」とよばれます。「袴(はかま)」は重ねて着るようになっていて、表の部分を、「表袴(おもてばかま)」といいます。
 
 
身分や年齢によって「袴」の生地は決められていましたが、色は全て白だったそうです。つまり、「袴」の生地を見ると、身分や年齢が分かるということです。
 
お内裏様は、腰に「石帯」とよばれる革で作った帯を巻いています。これは省略されていることが多いので、きちんと付いているひな人形は、かなり正式なよいものと分かるのです。

 
 

(3)お内裏様の持ち物

 

 
お内裏様が手に持っているものと、装飾で身につけているものを説明します。
 

笏(しゃく)

 
お内裏様が持っている細長い棒のようなものを、「笏(しゃく)」とよびます。
 
「笏(しゃく)」を持つのは「意義を正す」という意味らしいのですが、実は、棒(笏)の裏側にその日の儀式の順番や必要事項をメモするスケジュール帳だったのです。
 
発言内容を忘れないようにメモすることもあったようです。カンニング用ですね。
 
これがあると儀式のときに、うっかり度忘れして恥をかかなくて済んだのでしょう。かなり大事なものだったと思われます。
 
でも、我が家のひな人形の中で、飾るときに一番落ちやすい(しっくり持ってくれない)アイテムはこれです。
 
毎年、「邪魔だなあ、お内裏様、しっかり持ってよ!」と思っていたのですが、お内裏様にとっては必須アイテムだったのですね。(´・ω・)

 

飾剣(かざたち)・平緒(ひらお)

 
「飾剣(かざたち)」は、儀式用に身につける剣で刀身に刃をつけていません。
正装のときは必ず身につけるもので、珠などが装飾されたものもあります。
 
「飾剣(かざたち)」を腰に下げるために、細い前掛けのような帯を垂らします。
それが「平緒(ひらお)」と呼ばれるものです。現代人にはなじみが薄いので、ややこしくなってきましたね。

 

女雛(お雛様)の服装と持ち物

 
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(1)お雛様の頭部の飾り

 

釵子(さいし)平額(ひらびたい)

 
お雛様の髪型=「おすべらかし(大垂髪)」にするには、髪留めが必要です。
 
その髪上げ具として「釵子(さいし)」という金属板が使われます。お雛様の頭には、たいてい金色に輝くキラキラした綺麗な飾りが乗せられていますね。そのキラキラ和風ティアラのようなものが、「釵子(さいし)」なのでした。
 
また、紫の紐と3本の簪(かんざし)で髪を止めて、額櫛(ひたいぐし)をつけて髪を後ろに流しています。

 

(2)お雛様の服装

 

十二単衣(じゅうにひとえ)

 

 
お雛様の衣裳は、「十二単衣(じゅうにひとえ)」です。これは有名ですね。
 
でも、十二単というのは俗称で、正式名は「五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)」とよばれるものなのです。
 
この衣装は、「五衣(いつつぎぬ)+唐衣(からぎぬ)+裳(も)」で構成されています。
 
「五衣(いつつぎぬ)」というのは、表衣(うわぎ)・打衣(うちぎぬ)・袿(うちき)・単衣(ひとえぎぬ)・袴(はかま)のことです。
 
実際に着ると10~20㎏ぐらいの重さだそうですよ。動くのも大変そうですね…。

 

(3)お雛様の持ち物

 

檜扇(ひおうぎ)

 
お内裏様が手に持つ「笏(しゃく)」に対するように日本で生まれたのが「檜扇」です。
 
「檜扇(ひおうぎ)」は、宮中行事の際の必需品でした。
 
お雛様の場合は、「笏」のようなメモ用ではなく、主にお顔を隠すために用いられたものです。

 

おわりに


ひな人形の中で主役の2人の装いを確認しました。
 
ひな人形を選ばれるときは、特に「お雛様の衣裳」に注目してください。
 
なぜなら、衣裳の生地や重ねる枚数などで、雛飾りの格や値段が違うといわれるのです。
 
お内裏様(男雛)は現代では、西陣織などの豪華なキラキラした衣裳で作られていますね。でも、平安貴族(親王)の正装は、実は「黒色」だったのです。
 
ひな飾りが現在の形になったのは江戸時代なのです。
つまり、公家の正装を知らない江戸の庶民が、きっと親王の結婚式は豪華なものなんだろうな~と想像して作ったのではないか、と考えられています。

 
 
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