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茶道を習っていると、新年に「初釜」のお誘いを受けるようになります。
 
 
初釜というのは茶道の行事の一つで、いわゆる新年の「お稽古始め」にあたるものです。
 
 
同じ先生に習っている人たちが集まって、新しい年をお祝いをする、一般の新年会のようなものでもあります。
 
 
「初釜」は「茶会」の一つなのですが、その内容はやはり新年ということもあって少し特別で大掛かりです。
 
 
お手前を拝見して、お濃茶やお薄茶、点心をいただきます。
 
 
茶道のお茶会ではいくつか決まり事があり、初釜に招待されたときはそれにふさわしい服装や髪型、持って行かなければならない物があります。
 
 
毎年恒例の行事なので、一回経験すると次の年からは余裕を持って出席できますよ。

 
 

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「初釜」の日程は?

 

 
初釜の行われる時期は、新年の挨拶が終わる1月10日頃が多いです。
 
 
でも、最近では「三が日」が終わってすぐ、または元日(1月1日)に行うところもあるようですよ。
 
 
時代とともに、少しずついろんなことが変わっていきますね。多少時期にばらつきはあるけれど、今でもほとんどは「元旦から1月10日の間」に行われています。

 
 

平均的な「お礼」の金額

 

 
初釜に参加するとき、「お礼」が必要な場合があります。慣例で「お礼」という言葉を使いますが、要するに新年会の「会費」のようなものです。
 
 
ですから、教室によって金額は様々なのですが、懐石料理の出る初釜の平均的なお礼の金額は、1人5,000~20,000円ぐらいといわれます。
 
 
最近は、あらかじめ「金額」が決められている場合が多いです。そのほうがスッキリしますね。
 
 
教室によって、懐石料理を省略して、濃茶・薄茶のみの初釜もあります。この場合も教室によりますが、通常のお稽古代の1~2カ月分、あるいは「お祝」いということで社中全員で5,000~10,000円をお渡しすることが多いようです。
 
 
茶道や和のお稽古事で使われる「社中」という言葉は、その教室の先生の弟子・生徒を指します。
 
 
もともと「社中」は「共通の目的で集まった人々の組織的な仲間」を意味しました。

 
 
初釜を含めた茶会は教室によってさまざまなので、社中の先輩方にその教室の慣例を教えていただくのが一番です。
 
 

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のし袋の選び方と表書きの書き方

 

 
現金をお渡しする時は「祝水引」の「のし袋」を使うという決まりがあります。
 
 
お祝いの水引は、赤色と金色または銀色の5本か7本の水引が用いられていて、中央の結び目は「花結び」とよばれる蝶結びになっています。
 
 
表書き(献辞)は新年の行事なので、「御年賀」が適当ですが「御礼」とする場合も多いです。
 
 
名前書きは水引中央結び目の下に献辞よりやや小さめにして、フルネーム、または連名で書き入れます。

 
 

初釜での服装と髪型は?

 

 
初釜は「寿ぎ」の会でもあるので、「ハレの着物」を着るという慣例があります。
 
 
でも、ハレとはいえお茶の席なので、華美なものは避けて清楚で爽やかな感じにするとよいです。この匙加減が難しく、いつも悩みの種になります。そして、無難な色無地でいいかとなってしまったりします。
 
 
原則は師(先生)よりも「格下」なので、多少控えめにしたほうが良いと思います。
 
 
一般的には「訪問着」か「付け下げ」、または「一つ紋の色無地(黒以外)」を選びます。カジュアルな会の場合は、華やかな「小紋」でもよいでしょう。教室次第です。
 
 
未婚女性の場合、第一礼装の「振袖」がよいという意見もありますが、師より控えるという心がけを忘れないようにしましょう。
 
 
成人式に参加するときのような変わり結びの帯や派手なヘアスタイルは控えて、清楚かつ華やかという難しいさじ加減にチャレンジしてみてください。
 
 
あまり目立ちたくなければ、大人しめの「訪問着」や「付け下げ」をおすすめします。
 
 
帯は「袋帯のお太鼓」です。
半襟、足袋は「白色」が原則です。
 
 
着物を持っていない場合は、事前に一言、洋服でもよいか確認しておきましょう。
 
 
洋服の場合は長めのフレアースカートが座ったときに楽なのでおすすめです。正座をしたときに膝頭が見えるスカート丈はNGです。65cmぐらいからの長さがの丈がよいと思います。
 
 
髪型は、髪が長ければアップにしてまとめます。
 
 
アクセサリー類や時計は、茶器や道具を傷つける可能性があるので、お茶室にはふさわしくありません。外しておきましょう。
 
 
男性の場合は、洋服なら無地のダークスーツにネクタイ着用です。
着物の場合は「紋付袴が原則」です。

 
 

初釜に必要な「持ち物」

 

 
初釜には、必ず持っていかなければならないものが、いくつかあります。
 
 

 
こちらは、私の普段用の鳥獣戯画の楽しい懐紙入れ(帛紗ばさみ)です。
 
 
シブいサーモンピンクなので、意外と大人っぽいですよ。でも、こういうのはお稽古用でお茶会には持っていきます。
 
 
お茶会用は、こういう感じのを使っています。

    ↓

 
白っぽいので夏向きかもしれませんが、淡い色と鳳凰がキラキラ美しく気に入ったのでした。
 
こちらは正絹、上の鳥獣戯画のは交織です。

 

◆懐紙・懐紙入れ・菓子切り

 
 
懐紙(かいし)は、お菓子の取り分けや食事のときの敷物として使います。
 
 
また、作法でお茶碗や口を拭うときにも使います。ティッシュペーパーの代わりにもなります。

 
 

◆手ぬぐい

 
 
手ぬぐいは、食事の際に汚れないように膝の上に敷いたり、手を拭うのに使います。大きめのハンカチで代用できます。
 
 

◆替え足袋

 
外の汚れを茶席に持ち込むのは大変失礼なこととされています。そのため、茶室に入るとき替えの足袋に履き替えます。
 
 
入室する前に脱げばよいだけの「足袋カバー」を、足袋の上に履いていれば便利ですよ。足袋と同じような形で200~300円で手に入ります。寒い時期ですので防寒にもなりおすすめです。
 
 
洋服の場合は(男性も含め)、白い靴下を持っていきます。

 
 

お礼状は書いた方がいい?

 

 
初釜に限らずお茶事やお茶会に招かれたら、なるべく早いうちに手書きでお令状を送るとよいでしょう。
 
 
手書きであることに意味があるので、電話やメールはいけません。
 
 
一般的な手紙の書き方にそって、できるだけ毛筆(筆ペン)で感想を書きまちょう。
 
 
普段とは違う雰囲気の中で、たくさんの事を学ばせていただきましたというような内容で充分です。
新年ですので、最後は今年のお稽古の抱負などで結ぶとよいでしょう。

 
 

おわりに

 

 
茶道は作法やしきたりなど、覚えることがたくさんあって、始めは悩むことが多いです。でも、一緒に学んでいる人(社中の先輩)と仲良くなると、気軽に質問できるようになりお茶の話も弾むようになるでしょう。
 
 
お茶会は決まり事が多いですが、楽しむことが一番大切です。茶会に招く主人(師)も、それを一番望んでいると思いますし、そうでなければ、続けたいと思えませんから。
 
 
「茶道」とはどういうものか、こちらにも書いています。合わせてどうぞ♪↓


 
 
学校茶道で始めに必要なお道具類の記事はこちらです^^♪↓