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こんにちは。
 
 
日本には「雪見」という文化があります。
 
 
「花見」「月見」と同じく、雪もともに見て楽しんだのです。そうして、雪を歌に詠み、俳句を作り、楽を奏でました。
 
 
今回は、これ以上にない「冬」らしい題材「雪」をテーマにした俳句例をご紹介します。
 
 
明治以降の俳人の句です。

 
 

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(1)正岡子規の雪の俳句

 

 
正岡子規は現代俳句・短歌の祖と呼ばれます。
 
 
彼は万葉集のような写実風の俳句を好みました。「俳句」「短歌」という言葉を作ったのはこの正岡子規です。
 
 
こちらも合わせてどうぞ♪⇒★正岡子規はこんな人!
 
 
雁なくや 小窓にやみの 雪明り
 
有明に 雪つむ四絛 五絛かな
 
積みあまる 富士の雪降る 都かな
 
逢ふ人の 皆大雪と 申しけり
 
我菴(いお)や 上野をかざす 雪明り

 
 

(2)水原秋桜子の雪の俳句

 

 
水原秋桜子(しゅうおうし)は、本名は水原豊という男性の俳人です。
 
高浜虚子に俳句を学んでいましたが、後に離反しました。
 
ホトトギス派の代表といわれた「ホトトギス四S(シーエス)」の1人です。
 
 
「ホトトギス四S」は、水原秋桜子、山口誓子、阿波野青畝(あわの せいほ)、高野素十(すじゅう)の4人ですよ。
 
 
うごめくに 雪降り積むや 蟹の甲
 
橿鳥の こぼす粉雪の 光り舞ふ
 
まんさくや 小雪となりし 朝の雨

 
 

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(3)山口誓子の雪の俳句

 

 
山口誓子(せいし)は京都の俳人で、本名は山口新比古(ちかひこ)という男性です。
 
 
ホトトギス派を代表する「ホトトギス四S」の1人でしたが、後に水原秋桜子についてホトトギスを離脱しました。
 
 
降る雪に 太陽光の 通路あり
 
降る雪に 汽笛船底を うち貫けり
 
降る雪の 空つづきにて 海も降る
 
降る雪を 見る眼差の みな同じ
 
ずり落ちず 聖樹に積みし 綿雪は
 
遠き燈の そこにのみ雪 降り集ふ
 
炎天に 妄執の雪 降らしたり

 
 

(4)山口青邨の雪の俳句

 

 
山口青邨(せいそん)は岩手県出身の俳人で本名は吉朗といいます。本職は鉱山学者で、師匠は高浜虚子でした。
 
 
書庫までの わが足あとや 牡丹雪
 
牡丹雪 ジルベスターの 夜をこめて
 
牡丹雪 重しと伏すや おかめ笹
 
ひとりゐの 牡丹畑に 牡丹雪
 
けふはふる 牡丹畑に 牡丹雪
 
干柿の 八ツ岳新雪の かがやきに
 
みちのくは 雪深き国 ゆきつばき
 
旧正や 雪深き国 けふも雪
 
マフラーの 新雪のごと 肩にゆたか

   ↑
現代っぽい俳句です。これは、いろいろアレンジできそうですよ。

 
 

(5)飯田蛇笏の雪の俳句

 

 
飯田蛇笏(だこつ)は山梨県出身で、同じく俳人の飯田龍太は蛇笏の息子です。
 
 
ふるさとの 夜半降る雪に 親しめり
 
あすしらぬ こともをかしや 雪つもる
 
帰りつく 身をよす軒や 雪明り
 
雲のまに 新雪きそふ 嶺三つ
 
音をたえて 寒流のゆく 雪げしき

 
 

(6)日野草城の雪の俳句

 

 
日野草城は東京出身の俳人で、本名は克修(よしのぶ)、ホトトギスで俳句を学びました。
 
 
俳句雑誌にフィクションの新婚旅行の俳句を10句載せて師匠の高浜虚子に激怒され、「ホトトギス」を除名されました。
 
 
当時の俳句は、フィクションやエロティシズムの句はダメと厳しかったようです。
 
でも、虚子とは晩年に和解できたそうですよ。
 
 
てのひらに 熱き火桶や 雪景色
 
ほうじ茶の 熱しかんばし 雪景色
 
御扉に ふとも日のさす 暮雪かな
 
いつも見る 景色が雪を かうむりて
 
逢ふ宵の 大雪ふりと なりにけり
 
深雪晴 たばこのけむり 濃むらさき

 
 
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