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こんにちは。
あなたは「丑の刻参り」という呪詛について、耳にしたことがありますか?
京都の貴船神社の伝説なので、関西ではかなり有名です。
憎くて憎くて仕方のない深い恨みを持つ人を呪う儀式ですよ。
伝説や逸話、時代劇などに出てくるので紹介しますが、決して実行しないようにしましょう。
その理由は、人を呪わば穴二つだからです。
「丑の刻参り」の伝説
「丑の刻参り」の呪詛は、『平家物語』に登場する「宇治の橋姫伝説」から生まれたといわれています。
橋姫は浮気をした恋人とその相手の女性を怨み、生きたまま鬼になりたいと貴船大明神に祈願し、大明神のお告げの通りにしたところ、ついに生きながら鬼となってしまった女です。
私は男絡みで嫉妬をしたことなんてないので、このういう恨みの気持ちは、さっぱり理解できません。哀れというより変な人と思ってしまいます。
その橋姫伝説については、こちらに書いています。
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【関連記事】⇒宇治の橋姫★貴船神社で丑の刻参りをし鬼となった女の末路
このときの橋姫の服装や呪詛の仕方が、「丑の刻参り」の作法の原型になったようですよ。
「怪談」に登場する「丑の刻参り」の作法が完成されたのは、江戸時代といわれます。
「丑の刻参り」の服装
「丑の刻参り」は、一見してそれとわかる恰好をしています。
まず、白装束を身にまとい、顔に白粉をぬっています。そして、髪の毛はおろして振り乱し、頭に五徳(鉄輪)をかぶって、そこに3本のろうそくを立て火をつけているのです。また、高下駄をはいて、胸には鏡をつるしています。
・白装束
・ぼさぼさ髪
・頭に五徳に3本のろうそく
こんな恰好は、江戸時代の人々の服装として尋常ではありません。
深夜にこんな恰好の人が神社を徘徊していたら、まず「丑の刻参り」だと分かったでしょう。
丑の刻参りの手順
「丑の刻参り」で人を呪う儀式は、先程の服装で神社で行います。
神社のご神木に、呪う相手に見立てたわら人形を、五寸釘で打ち込むからです。この「わら人形に五寸釘」のシーン、数々の「怪談」に登場するので、ご存知の人も多いですね。
この儀式を7日間欠かさず行うと、呪詛が完成するのだそうですよ。
呪われた相手は、わら人形に釘を打たれた部分に強い痛みを感じそのまま発病して死ぬ、狂い死にするなど死因はいくつか説がありますが、呪い殺されるのは確かなのでした。
また、わら人形に呪う相手の体の一部(髪や血など)を入れる必要があると、伝わる地方もあるようです。こちらのほうが、より呪術っぽいですね。
「丑の刻参り」は、呪われた人を死に至らしめるという怖ろしいものですが、他にも恐れられている理由があります。
それは、「丑の刻参り」を目撃したら、追いかけられて殺される恐れがあるからです。
「丑の刻参り」には、参っているのを他人に見られたら、呪詛は失敗し、その呪いが参っていた本人自身に跳ね返る(呪詛返し)というルールがあるのです。
でも、目撃者を殺すと、見られたことがリセットされるので、成就させるために、本気で襲ってくるでしょう。
そもそも、本気で人を呪い殺そうとする人は、すでに普通の精神ではないので、怖ろしいですよ。
なぜ「丑の刻」なのか?
「宇治の橋姫伝説」では、「丑の刻参り」をしたのは、貴船神社でした。
もともと、貴船明神が貴船山に降臨した時刻が「丑の年、丑の月、丑の日、丑の刻」だったという由緒があって、呪いとは関係がなかったのです。それが、時代の移り変わりとともに、呪詛をかける時間と考えられるようになったのでした。
ちなみに、「丑の刻」とは、午前1時~午前3時のことです。
でも、江戸時代に確立した伝承では、参詣の刻限は、厳密には「丑三つ時」とされていたともいわれます。
「草木も眠る丑三つ時」って、いったい何時のことでしょう?
「丑の刻」1時から3時までを、さらに30分ごとに4等分して、一つ時、二つ時、三つ時…と細分するのです。
ですから「三つ時」は、午前2時から2時30分を、指すのでした!
おわりに
古典によくでてくる「宇治の橋姫伝説」について書いたので、今回はその「丑の刻参り」がどのような物か説明しました。
人を呪い怨む気持ちは、誰の心にも巣くうものです。
現に、貴船神社には、今もたまに、わら人形が打たれていることがあるそうです。シャレならともかく、本気で実行してはいけませんよ。
人を呪わば穴二つ・・・
自分の分の墓穴も、掘ることになるのです。
そもそも神社のご神木に、恨みを込めて釘を打つなど、ご神木(神様)に対して失礼極まりない行為です。せっかくのパワースポットなのに、台無しですよ。
「怪談」で登場したときの知識として、知っておくにとどめましょうね。
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