この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
暑い夏には、のど越しの良いさっぱりした食べ物が一番ですね。
そんなときに真っ先に頭に浮かぶのが「そうめん」や「冷や麦」です!
この「そうめん」と「冷や麦」
普段、当たり前のようにスーパーなどで並んでいますが、きちんとその違いを知っているでしょうか?
実は、先日、動画配信で何気なく「和風総本家」を流し見していたら、説明していたんですね。
私は、太さが違うだけかと思っていたのですが、もう1つ違いがありましたよ!
今回は、そうめんと冷や麦の違いについて、はっきりさせます。
そうめんと冷や麦の違い
違い1:麺の太さ
機械で作る場合は、
1.3㎜未満のものは「そうめん」
1.3㎜以上1.7㎜未満のものは「冷や麦」
と、規格で決まっています。
そうめんより冷や麦のほうが太いということですね。
でも、手延べの場合は、
1.7㎜未満は「そうめん」でも「冷や麦」でもOK!
と、決まっています。
機械製法よりは、ゆるい感じです。
手作業の場合、細かく規格を決めるのは難しいのでしょうね。
後は、昔ながらの手仕事の場合は、「手延べ」と明記しなさい!という決まりがあります。
違い2:製法過程
「そうめん」は、腰の強い小麦粉を練って、ごま油を塗りながら細長く引き伸ばしたものです。
製麺段階で、できるだけ細く作るため「極細麺」になります。
製造作業をすべて手作業で行う「手延べそうめん」は、1~2年ほどじっくりと熟成させた方が、作りたてよりも美味しいそうですよ。
「冷や麦」は、小麦粉をこねたものをめん棒で延ばし、いったん平状の生地にしてから、それを均等の大きさに切ります。
つまり、油を使わずに生地を伸ばしてから切るので、そうめんより太くなるということです。
そうめん・冷や麦の由来
★ そうめん
そうめん、冷や麦、うどんは、この順に太さが太くなり、どれも奈良時代に中国から伝わったものです。
ルーツは、小麦粉を練って縄状にした「麦縄」といわれます。
そうめんは、昔は「索麺(さくめん)」と呼ばれていました。
「索」という文字には縄を縫うという意味があり、ちょうど細い紐を編んで束ねた縄に似ていることからそう呼ばれたようです。
ちなみに、そうめんは、「七夕の行事食」としても知られていますね。
七夕は、日本ではもともと裁縫や芸事が上達するようにと願う行事でした。
その裁縫で使う「糸」にそうめんが似ているため、代わりにお供えしたのではないかと、いわれていますよ。
【関連記事】
★ 冷や麦
冷や麦は、もともとうどん一種、細うどんのようなものと、分類されていました。
うどんをより細く切って作ることから、切麦(きりむぎ)と呼ばれるようになりました。
そして、この切麦を温めて食べるものが「熱麦(あつむぎ)」、冷やして食べるものが「冷麦(ひやむぎ)」と呼ばれました。
その後、熱麦はあまり食べられなくなっていって、冷麦だけが残ったのです。
そうめんも冷や麦も、昔は、寒い時期の「寒の水」を使って保存用に作られ、夏の時期に食べる食材でした。
ですが、今では季節に関係なく、一年中食べられるようになったのです。
そうめんの「色付き麺」の正体は?
私が子供の頃、そうめん1束の中に、数本、ピンクと緑の麺が入っているのを、よく見かけました。
珍しいので、自分の食べる分に入っていると、うれしかったんですよ!
これ、最近、見かけないなあと気になっているんですけど。
あの色付き麺、どういう意味があると思いますか?
実は、あの色付き麺は、もともと冷や麦だけにあったものなのだそうなのです。
その理由は、「そうめんと冷や麦を区別するため」だったとか‼
機械化が進んで商品管理が容易にできるようになると、だんだん色で区別をする意味がなくなってきました。それで、次第にそうめんにも色付き麺が入れられるようになったのです。
でも、これも、1990年代後半から廃れて、今では、あまり見かけなくなりました。
ピンクと緑の麺、あったら楽しいのにね♪
なぜこの2色なのかというのは、「色合い」と「風味付け」の理由があったのですよ。
もともと
ピンク=「梅」
緑=「抹茶」
を使って、風味付けをして楽しんでいたのです。
でも、「食紅」が発達してからは、人工着色料で色付けされることが多くなったようです。
それなら、ないほうが健康にもよいですね。
ちなみに愛媛県・松山には「五色素麺」という5色のそうめんがあります。
これが、色付きそうめんの元祖といわれていますよ。
赤・黄色・茶・緑・白の五色です。
「五色素麺」は、赤色は梅肉、黄色は鶏卵、茶色はそば粉、緑色は抹茶を使ってます。
そして、今でも人工着色料を一切使用せずに作られている郷土料理なのです。
まとめ
「そうめん」と「冷や麦」の違い
(1)麺の太さ
機械製法の場合
そうめん: 1.3㎜未満
冷や麦: 1.3以上~1.7㎜未満
手延べの場合
1.7㎜以下はどちらの名で売ってもよい。
ただし、「手延べ」と明記すること。
※ それ以上太い麺は、うどん。
(2)製造過程
そうめんーごま油を塗りながら、細く細くのばしていく。
冷や麦ー油を使わずに、平に伸ばしてから均等にカットする。