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宮澤賢治の代表作・「雨ニモマケズ」
この詩は、宮沢賢治が病気で死亡する1年前に書かれた作品です。
宮澤賢治の死後、公表されました。
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今回は、詩「雨ニモマケズ」について、お話しします。
※ 「雨ニモマケズ」の全文は、この記事の一番下にあります。
「雨ニモマケズ」全文・現代風表記
病床にいる宮沢賢治が、「理想の自分」を詩にした「雨ニモマケズ」。
この詩の最後の言葉は、「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」です。そういう人に自分はなりたいという事は、いまだそのようになれていないということですね。
利他の精神に徹することは、いつの時代も難しいものです。
丈夫な体ではない病弱な自分・・・。
自分の利益を考えずに、人に尽くしきれない自分・・・。
だからこそ詩の中の「理想」が、読み手の心に響きます。
「雨ニモマケズ」は読みにくいので、少し分かりやすく現代風に表しました。
※ 「雨ニモマケズ」の全文は、この記事の一番下にあります。(*’▽’)
雪にも夏の暑さにも負けない
丈夫な体を持ち
欲はなく 決して怒らず
いつも静かに笑っている
1日に玄米4合と味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを自分を勘定に入れず
よく見聞きし 分かり そして忘れない
野原の林の下のかげの
小さなかやぶきの小屋にいて
東に病気の子供がいれば
行って看病してやり
西に疲れた母がいれば
行ってその稲の束を背負い
南に死にそうな人がいれば
行って怖がらなくてもよいと言い
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろと言い
日照りのときは涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
皆にデクノボーと呼ばれ
ほめられもせず 苦にもされず
そういうものに 私はなりたい
「雨ニモマケズ」のモデル?斉藤宗次郎
「雨ニモマケズ」にはモデルがいたと考えられています。
実は、宮澤賢治の交遊関係の中で、この詩の内容にしっくりはまる人物がいるのです。それは、斉藤宗次郎という人物でした。
ただ、このことは宮沢賢治が断定しているわけではないので、あくまで推測なのです。
斉藤宗次郎は小学校の教師をしていた人で、23歳で洗礼を受けました。彼は、岩手県花巻市で最初のキリスト教徒と伝わります。
当時、キリスト教徒は「国賊」とののしられ迫害されていました。洗礼を受けた斉藤宗次郎に対して、花巻の人々はものすごく冷たい目を向けました。
彼は他人だけでなく身内からもののしられ、親から勘当されました。
彼の娘(9歳)は学校でいじめられてお腹をけられ、その数日後に腹膜炎を起こして亡くなってしまったのです。9歳でリンチ殺人の犠牲ですよ。ひどすぎます。
また、日露戦争に反対したため岩手県の教育会から追放され、小学校教師の職を解かれてしまいました。
その後、宗次郎は新聞配達をして生計を立てながら、病人を見舞い人のために祈り続けたそうです。
彼は雨の日も風の日も雪の日も暑い夏の日も、休むことなく町の人たちのために祈り働き続けました。
そんな生活をしながら、宗次郎は宮沢賢治と農学校で親交を深めていったのです。
やがて、20年余の歳月が過ぎたころ・・・
師と仰いでいた内村鑑三からの要請があり、宗次郎は上京する決心をしました。
東京へ行く汽車に向かうとき、宗次郎は自分を見送ってくれる人は1人もいないだろうと思っていました。
ところが、駅には花巻の人々がたくさん見送りに来ていました。そこには、一般の人だけでなく、町長をはじめ町の有力者、教師、祭主や僧侶の姿も見えたのです。
町の人々は宗次郎が自分たちのために奉仕の精神で尽くしてくれていたことを、きちんと見ていたのでした。
おわりに
斉藤宗次郎の生き方を見ながら、宮沢賢治はこういう人になりたいと思って、この詩を書いたのでしょうか。
東京へ行った斉藤宗次郎の元に、花巻から届いた最初の手紙は、宮沢賢治からのものだったそうです。
「雨ニモマケズ」全文 (宮澤賢治)
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ※(「「蔭」の「陰のつくり」に代えて「人がしら/髟のへん」、第4水準2-86-78)ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
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