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江戸三大俳人の1人、小林一茶とその代表的な俳句をご紹介します。
   
 
小林一茶は 生前もそこそこ俳人として認められていましたが、作品からは極貧生活だったのかもと思えます。彼は明治の俳人・正岡子規が認めて一躍有名になった俳人です。
 
 
小林一茶の俳句は、小難しい理屈を並べて評価するより、素直に感情にうったえてくるものを楽しみたいです。
 
 
子供たちに人気があるのは、そういうところなのでしょう。

  
 

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小林一茶の簡単プロフィール!

 
小林一茶は、江戸時代後期に、長野県の農家の長男として生まれました。 実母が早くに亡くなって、継母や異母弟と折り合いが悪く、15歳で江戸へ奉公に出ます。
 
 
そして、25歳のころ俳諧を学び始めました。
 
 
39歳のときに、病に倒れた父の看病で一度信濃に戻りますが、父はそのまま他界しました。
 
 
父の死後、継母・異母弟と遺産相続争いが起こってしまいます。(12年後に、遺産の半分をもらえることで和解)
  
 
50を過ぎてから数回結婚しますが、子供のほとんどは病気などで亡くなってしまいました。 江戸での暮らしも、貧しかったようです。
 
 
家庭運のなさそうな人生ですね。(享年65歳)
 
 
「おらが春」、「一茶発句集」という俳句文集を残しましたよ。
 
 
一茶の作品は小さなものに対する優しさがにじみ出る、情のあるものが多いです。

 
 

小林一茶の春の俳句

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雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る
 
道に遊んでいるすずめの子よ、そこを早くおのきよ。お馬が通るからあぶないよ。
 
 
雪とけて 村いっぱいの 子どもかな
 
雪国の長い冬終わり、ようやく雪が解け出した。家の中にいた子どもたちがいっせいに外へ出て遊んでいて、村じゅう子どもたちでいっぱいだ。
 
 
われと来て 遊べや親の ない雀
 
親のない子すずめよ、私も親のないさびしさは、身に染みている。こっちへ来て、さあいっしょに遊ぼうじゃないか。
 
 
悠然と して山を見る 蛙かな
 
一匹の蛙が悠然と、はるかかなたの山を眺めていることだなあ。
 
 
やせ蛙 負けるな一茶 これにあり
 
かえるがけんかをしている。やせガエルよ、がんばれ負けるな。一茶がここについているぞ。

 
 

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小林一茶の夏の俳句

 
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大蛍 ゆらりゆらりと 通りけり
 
大きな源氏蛍が、大きな弧を描きながら ゆらりゆらりと飛んでゆくなあ。
 
 
やれ打つな 蝿が手をすり 足をする
 
 
おい、蝿を打ち殺してはいけないよ。よく見ると、手をすり合わせて命乞いをしているではないか。
 
 
蟻の道 雲の峰より つづきけん
 
黒い蟻がえんえんと行列を作って歩いている。この行列は、ひょっとしてあの雲の峰から続いているのではないだろうか。
 
 
昼顔や ぽつぽと燃える 石ころへ
 
かれんな昼顔が 何も知らずにぽっぽと燃える溶岩に巻きつこうと、つるを伸ばしている。
 
蝉鳴くや 我が家も石に なるやうに
 
蝉が鳴いているなあ。その声を聞いていると、自分の住む家そのものが固まって石になってしまうような感じがする。

 
 

小林一茶の秋の俳句

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名月を とってくれろと 泣く子かな
 
名月を取ってくれとわが子が泣いてねだる。それにこたえてやれないじれったさを感じるなあ
 
 
けふからは 日本の雁ぞ 楽に寝よ
 
海を渡ってきた雁よ。今日からは日本の雁だ。安心してゆっくり寝りなさい。
 
 
秋風に 歩いて逃げる 蛍かな
 
夏の風物詩だった蛍も、秋風が吹くころになると飛ぶ力もない。秋風に追われて逃げるようによろよろ歩く姿は、何とも哀れでならないよ。
 
 
仰のけに 落ちて鳴きけり 秋の蝉
 
秋の蝉が、木にとまる力を失い、土の上に仰のけに落ちてジージー鳴いているなあ。
 
 
猫の子の ちょいと押さえる 木の葉かな
 
猫の子が、風に動く木の葉をちょいちょいと押さえているよ。

 
 

小林一茶の冬の俳句

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うまさうな 雪がふうはり ふうはりと
 
空の上から、うまそうなぼたん雪が、ふうわりふうわりと降ってくるよ。
 
 
● 椋鳥(むくどり)と 人に呼ばるる 寒さかな
 
故郷を出てきたものの、あいつはこの寒い冬に出稼ぎに行く椋鳥みたいなやつだなと人が陰口をたたく。寒さがますます身にしみるなあ。
 
 
● 大根引き 大根で道を 教へけり
 
畑で大根を引き抜いている人に道を尋ねたら、今抜いたばかりの大根で道を指して示してくれたよ。
 
 
● ともかくも あなたまかせの 年の暮
 
あれこれ考えたところでどうにもならない。この年の暮れも、すべてを仏さまにお任せするよりほかにないなあ.。
 
 
● うつくしや 年暮れきりし 夜の空
 
今年もいよいよ暮れていく。なんと美しい夜空なのだろう。

 
 

おわりに

 

 
小林一茶の俳句は、一見すると子供向けのようにも感じますが、そんなことはないとわかります。
 
 
自然の中の生き物を詠んだ句からは、まるでそれを見ているような情景が目に浮かびますね。
 
 
人情を伝えながら写実的でもあるところが、一茶の素晴らしいところだと思います。(´・ω・)

 
 
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調べもの用の書籍はすぐに手に取れるのが大事なので、私は電子書籍(Kindle)をスマホに入れてます。