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こんにちは。
 
 
先日、京都の四条界隈で買い物していたとき、ベビーカーを押した30代ぐらいの和装の男性とすれ違いました。
 
 
今どきそういう恰好は、他の街でしていると浮きまくりますね。私ぐらいの歳(40代)になると、お茶や着付けのお稽古をしている人がちらほらいるので、女性は見かけますが・・・。
 
 
そう思うと、和装が来たくて、和の生活がしたくて京都に住むというのは、立派な動機になるなーと思ったのでした。
 
 
その男性、チャコールグレーの紬のアンサンブル(着物と羽織)で、素敵な感じでしたよ。ベビーカー引いてたから目に留まりましたが、一人で歩いていたら、河原町では珍しい事ではありません。
 
 
祇園近くはレンタル着物のお店の多いエリアなので、観光客がたくさんレンタル着物を着て歩いています。
 
 
そんな光景を見ていて、春休みには娘と着物でお出かけしようかしらんと思ったのでした。
 
 
着物着て自転車乗れないから、家から最寄り駅までどうしようかなと考えると億劫なんですけど。着物でママチャリに乗れる強者(つわもの)もいるようですけど、私はとてもできません。
 
 
先日、奈良の旅館に泊まった時、浴衣を着ようとして娘が、「どっちが先だっけ?」と言っていたのを思い出しました。
 
 
着物の最重要マナーといってもよい「右前」というルール、反対にすると死に装束になるというすごく大切なルールなのですが、着物なんてめったに着ないから、あやふやになりますね。
 
 
このルールの成り立ちと覚え方を、紹介します。

 
 

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着物は男女ともに「右前」が大原則!

 

 
着物の着方に、男女別はありません。女性も男性も「右前」です。浴衣の場合も、もちろん同じです。
 
 
でも、その「右前」ってのが、混乱の元なのですね!
「右前ってどういうことよ!」って思うのです。
 
 
これが、ややこしいんですよ。
 
 
これ「相手から見て右が前」という意味なんですね。着物姿の画像を見ると、しっかり「右が前」になっています。つまり、自分から見ると逆なのです。
 
 
自分で着るときは、「右を先に左を後で体にまく」と覚えておくとよいです。
 
「右前」=「右が先」ですよ!!
 
 
不安になって確認したいときは、「右手で胸元に懐紙を入れることができるか」と考えてみてください。
 
 
私は左利きなのですが、日本人は右利きの方が多いです。その右手で懐紙やハンカチのような薄っぺらいものを合わせた襟元にスッと入れることができたら正解です。
 
 
左を後でまくと、左身頃が外側にくるので、スムーズに入れられます。左手で入れようとすると狭くてすごく入れにくいはずです。
 
 
まとめると、「右前とは本人からみて左前」、「右を先に左を後でまく」のが正解、不安なときは「右手で胸元(襟元)に手をスッと入れられるか」確認するということでした。
 
 

 
 

「右前」に決まったのは1300年も前からだった!

 

 
この着物を「右前で着る」という作法、マナーとして決まったのは、なんと1300年も前の奈良時代でした。
 
 
奈良の大仏を作った聖武天皇の時代です。
 
 
そのころ、着物を着て天子さま(天皇)に謁見するときの礼儀として、中国から取り入れられ定着した思想なのでした。
 
 
そして、このとき同時に入ってきたのが「左上位の原則」です。
 
 
「左」>「右」
 
 
平安時代も、左大臣のほうが右大臣より偉かったです。
今でも、和室では左が上座、右が下座とされますね。(床の間との位置関係が重要ですが)
 
 
だから「右前」というのは、天皇より位が低い「臣下」であることを示す着方だったわけです。だから「天皇から見て右前」となるのでした。
 
 
奈良時代に決まった着方を、今もずーっとルールとして守り続けているというのが、おもしろいなーと思います。
 
 

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死に装束が「左前」なのは死者を敬う心からだった

 

 
若い頃、母に着付けを教えてもらったとき、「左前」にすると、死者に着せる死に装束になるから不吉だと聞きました。
 
 
でも、「左上位」の考えからきているとすると、この解釈は間違いです。
 
 
死者に「左前」で着物を着せるのは、生きている間は「身分」や「格差」があったけど、西国浄土(あの世)に旅立った人たちに身分の違いはないという意味なのだそうですよ。
 
 
死者を敬う心から、「左前」で死に装束を着せるようになったということです。

 
 

おわりに


現代でも和室のルールや伝統芸能で残っている「左上位の原則」
 
 
その大元が奈良時代だったというのが、まずびっくりですね。
もともとは、中国の陰陽五行説に基づいたものだそうです。
 
 
でも、現代の国際的なルールでは「右上位」となっています。
「西洋」は考え方が逆なんですよ。それもまた面白いです。
 
 
ですから、日本でも大正以降は、国際ルールに準じて、「右上位」に変更されている事が多いのでした。