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こんにちは、このかです。
 
今日は、吉田兼好こと、卜部兼好が書いた随筆『徒然草』についてお伝えします。
 
 
この作品は、約700年も前に書かれたものなのですが、今でも充分通用するところがすごいところです。
 
 
清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』とともに、「日本三大随筆」の1つと呼ばれますよ。

 
 

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卜部兼好は元サラリーマンだった

 

 
吉田兼好の本当の名前は卜部兼好(うらべ かねよし)です。吉田というのは、京都の吉田神社の縁者だということで、後世つけられた姓なのです。
 
 
もともと若い頃は、大納言・堀川家で官吏のような仕事をしていました。彼は鴨長明と違って、しっかり定職のある比較的恵まれた人だったのです。
 
 
でも、このようなサラリーマン生活は、自分の人生の先の先、最期まで見えてしまいます。
 
 
文才のあった彼は、30歳ぐらいのとき、こういう人生っておもしろくないな~と思い、出家でもして自由に生きようと考えます。
 
 
食べていくだけならちょっとは財産あるし、和歌や文学の才能があるから、フリーライターにでもなったら稼げそうじゃんという感じで、すっぱり退職したのでした。(はっきりした理由は、分かっていません)
 
 
ここら辺が、50歳になっても働き口を探していた鴨長明さんと、まったく違うところですよ。
 
 
「安易に辞めちゃって大丈夫だったの?」と思いますが、いつの世も、情報発信力があれば、1人で稼ぐ事は可能なのです。
 
 
フリーライターになった兼好さんは、大成功を治めました。
 
 
和歌の才を認められ、勅撰和歌集に選ばれ、和歌の添削の先生もしていました。
 
 
そんな自由な生活をしている兼好さんが書いた、シンプルライフはいいよ~というエッセー集が『徒然草』なのです。

 
 

シンプルライフ推奨の『徒然草』

 

 
『徒然草』は、最近また人気が復活しつつあるようです。最近の風潮に合致してるのでしょう。
 
 
この作品は、序段を含めて244段から成るかなりの長編なのです。
 
 
隠者文学というジャンルに入り、中心となる思想は、「仏教的無常観」といわれます。でも、鴨長明の暗い無常観とは違って、知人の話や自分の好みについてつらつら書いたり、ユーモアを効かせた遊び心のある逸話を紹介したりと、盛りだくさんでおもしろいです。
 
 
京都の仁和寺の近くに庵を構えたので、京都ネタ・仁和寺ネも多いですよ。
 
 
そんな彼の作品の中から、代表的なものをご紹介します。

 
 

(1)「家居のつきづきしく」

 

 
教科書に載ってる有名な段です。
 
 
なんといっても、この段には西行が登場するんですよ!
西行法師ですよ!(←しつこくてすみません、好きなだけです)
 
 
この段でへーっと思うのは、「隠者のくせに、かなり家にこだわるじゃないか」という面白さです。
 
 
「教養ある人が、穏やかに暮らしている家は、そこに差し込む月の光も、いっそう身にしみるように感じられるものです。」
 
 
「現代風なきらびやかさはなく、木立がどことなく古びて、特に手をかけているわけでもない庭の草も趣があって、簀の子や、すき間のある垣根の配置も趣深く、さりげなく置いてある道具も古風に感じられてよい雰囲気なのは、奥ゆかしいですね。」
 
 
などなど、清少納言ばりに自分の「住まい」に関する好みを綴っていますよ。
 
 
その後、後徳大寺の大臣が家にトビ除けの網を張ったのを見て、西行が心の狭い人だなーと言い、もうその家にはいかなくなったらしいよというような件(くだり)になっていきます。
 
 
西行法師、いろんなとこに登場するね♥
素敵です。
  ↓
「西行法師」の生き様が超絶クールなわけ!桜と月に魅せられた放浪の歌人

 
 

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(2)「ある人、弓射ることを習ふに」

 

 
これもとっても有名な段で、「知的生き方文庫」に入れてもいいような、真面目なことを書いています。
 
 
ある人が、弓矢を習うとき、二本の矢を持って、的に向かいました。
 
そのとき、師匠がこういったのです。
 
「初心者は、矢を2本持って的に向かってはいけません。まだ後1本あると残りの矢をあてにして、最初の弓をいい加減に射る気持ちになるからです。毎回、この1本の矢で射ぬこうという覚悟でのぞみなさい。」
 
 
どんなことも、これが最後のチャンスと本気で取り組めということです。
この師匠の戒めは、あらゆることに通じますね。
 
 
これは、吉田兼好の名言として、よく取り上げられますよ。
   ↓
「二つ矢を持つことなかれ。後の矢を顧みて初の矢になおざりの心あり」
                          (吉田兼好)

 
 

(3)「或者小野道風の書ける和漢朗詠集とて」

 

 
最後は、ユーモアあふれる小ネタです。
 
 
ある人が、これは小野道風(おののとうふう、めちゃくちゃすごい書の大家)が模写した「和漢朗詠集」なのだと宝物のように見せてくれました。
 
 
それを見た別の人が、
 
 
「和漢朗詠集は11世紀に藤原公任が選んだ和歌集だよ。それを10世紀に生きていた小野道風が書写したというのは、時代がちぐはぐでおかしいじゃないか。本物かどうか怪しいものだぞ」と言いました。
 
 
それを聞いた持ち主は「それじゃあ、もっと珍しいものなんじゃないか!」と言って、ますます大事にしたのでした。おしまい。

 
 

おわりに


 
『徒然草』は、吉田兼好が、思いついたことをつれづれに書き綴ったものです。
 
 
学校では「仏教的無常観」などと固い言葉を習いますが、適当に見聞きしたことを綴っている段もたくさんあるのですよ。
 
 
彼はどちらかというと人好きで、困ったら他人に頼ることもできたようですよ。(「お米ちょうだい」という和歌を友だちに送ってます。)
 
 
ですから、『徒然草』には、天皇、貴族、武士、庭師まで、いろんな階級の人たちが登場します。
 
 
好みについての描写は、一貫性のないところがあるのですが、そこがまた、本当につれづれに思いつくまま書いているんだろうなと思えて楽しいのです。
 
『徒然草』関連の本で、最近、とても読みやすいふんわりした雰囲気の本が出ています。堅苦しいのはいやだな、楽しく読みたいなと思う人におすすめです。

   ↓

 

 
 
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