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日本が誇る古典王朝ラブ浪漫「源氏物語」
紫式部が書いたこの王朝絵巻は、54帖にも及ぶ大長編作として知られます。
 
古典の中で、小説ではもっとも大切といってよい作品です。
なぜなら、よく受験問題に出るから~(´Д`)
そして、おもしろいから^^♪
 
でも、すっごく長い話なのに、ず~っとつながっている長編小説なので、登場人物の設定を知らないと、理解できないという難しさがあります。
 
内容は、宮中の恋愛模様中心です。
基本、恋愛小説なので、普通の現代語訳の文章で読んでも、退屈なんですよね。
 
やたらとたくさん女の子が出てくるし、やたらと和歌が詠まれます。
 
しかも、宮中の様子や風習は、当時は当たり前の事なので書かれていません。
私たちが読んで理解するには、詳しい注釈か説明が必要なんです。
 
それを一気に解決してくれるのが
ビジュアルに訴える「漫画」です。
 
「源氏物語」は、実は、いろんな人が漫画化しています。
でも、54帖丸ごと詳細に描いているのは、この「あさきゆめみし」だけ!
大和和紀さんは、すごく手間暇かけて、研究して描いています。
そして、絵が、確かに古くはありますが、すっごく美しい・・・♪
 
但し! 原作と異なる部分、アレンジしている箇所もあります。
 
そういうのを、見つけるのもおもしろいですよ。
私が高校生の頃から、すでに受験古文の必読書といわれていたこの作品の、見どころを紹介します。
 
「源氏物語」のあらすじは、こちらにあります。

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「あさきゆめみし」は「源氏物語」入門書

 
「あさきゆめみし」は、講談社漫画文庫で全7巻あります。
他に「完全版」なども販売されていますが、私が今持っているのは、この文庫版です。このサイズが読みやすくて好きです。
 
ロングセラーでベストセラーなので、中古品もたくさん出ています。
文庫版では、主人公「光源氏」の物語は5巻までで、6、7巻は「宇治十帖」です。
 
京都御所内の建物や調度、平安貴族の衣裳の描写がかなり細部まで正確に描かれていて、とにかく、話の大筋がわかるというのが、長所ですよ。(*‘∀‘)
 
この「あさきゆめみし」のおもしろさについて、私なりに考えてみました。

 

(1)平安女子の理想の男性像がわかる!


 
理想の男子の条件は、今も1000年以上昔も意外と同じなんだな~と思います。当時の「源氏物語」の読者は、平安貴族、それも天皇に近い極々一部の特権階級の人たち、才媛たちでした。主人公は、そういう女性たちの思い描く理想の男性像です。
 
「源氏物語」の主人公「光源氏」は、容姿端麗で、天皇の息子という最高の血筋、富も権力も持っています。
 
そして、頭がよく芸術の才能があり、スポーツ(蹴鞠など)もうまい!
一昔前の少女漫画に出てきそうな才色兼備のイケメンです。
 
そういう感覚は同じなのですが、一方で、現代とは大きく違っているところもあります。
 
昔は、結婚観や結婚生活のあり方が、今とはかなり違っていました。
 
まず、平安時代は「一夫一婦制」ではありません。
ですから、男性の女性遍歴が多いのは当たり前のことです。
これを、今の常識に当てはめて考えてはいけないんですね。
 
当時の結婚は、男性が女性の家に3日(3夜)間通い続けることで成立したのだそうです。
 
離婚もはっきり決まっていたのではなく、なんとな~く男性が通わなくなったら離婚成立~!という、いい加減なものでした。
 
ですから、女性の実家が裕福でない場合、男性が来なくなると、援助が絶たれて困窮する事が多かったのです。Σ( ̄ロ ̄lll)
 
そういう社会の中で、「光源氏」は、一度、縁になったほとんどすべての女性を「六条院」という御殿に住まわせて、後々までしっかり面倒を見ているんですよ。
 
それだけ養える財力があったからだと思いますか?
 
昔の権力者の多くは、女性をとっかえひっかえして、飽きたらポイっと捨てていますよ。
 
そういう意味でも、すごく人情のある素敵な人♥と当時の読者に思われたのは、間違いないでしょう。
 
また、彼は、関係した女性を傷つける発言は、あまりしていないんですね。
女性が嫉妬して苦しむというのは、たくさんありますけど・・・ね。
 
女性に限らず、人のよい面に目を向けられる人って、確かにステキだなと思います。
 
 

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(2)平安時代の衣食住がわかる


 
平安時代の貴族の装束って、どんな感じか目に浮かぶでしょうか?
なんとなく思い浮かぶのは、十二単やひな人形の衣裳ですね。
 
漫画は「絵」として形が完成しているので、それが一目瞭然なんです!
 
それも、高貴な姫と身分の低い女性の違い、宮中行事の際の正装としとねでくつろいでいるときの恰好の違い、また冬と夏の衣服の違いなど、かなり細かく描き分けられています。夏はさすがに暑いので、自室ではシースルーのような薄絹をまとっていたんだな~とかわかります。
 
男性の装束も、出仕するときと普段着(?)との違いや、従者の衣裳など、いろんな違いがわかります。
 
建物や調度も同じです。
 
調度のしつらえや衣裳の選び方で、「趣味がよい」というのがどういうものなのか、また色や文様の合わせ方など、いろいろ出てきておもしろいです。
 
また、平安貴族は、よく「和歌」を詠んで心情を伝えますが、どういう状況のときに詠むのか分かります。(和歌は、漫画の中ではごく一部しか使われていません。)
 
こういう事は、文章で説明されても、なかなかピンとこないと思います。
漫画のよいところですね。

 

(3)大勢登場する女性キャラを区別できる


 
「源氏物語」には、様々な魅力ある女性が、登場します。
 
女性なら、自分に似ている人や憧れる人など、共感するキャラクターが見つかると思いますよ。
 
理想の女性
優しい女性
しっかりした女性
艶やかな女性
嫉妬深い女性
聡明な女性
家庭的な女性
不細工だけどピュアな女性
などなど・・・・・
 
盛りだくさんです‼
これを小説で読むと、一回読んだぐらいでは、なかなか頭に入りません。
 
でも、漫画だと分かりやすい!
 
み~んな黒髪長髪女性なので、描き分けにも限界がありますが、しっかり読めば混乱することはないと思いますよ。

 

おわりに


 
歴史も文学も、小説や漫画を読むことで理解が深まります。
「あさきゆめみし」は古典ですが、歴史系の漫画などもおもしろいですよ~♪
 
私は、小説ですが、中国の漢帝国成立期の様子は、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」でバッチリイメージできました‼
 
この漫画は、「源氏物語」の小説(現代語訳)を読破できなかったという人、とりあえずあらすじを知りたいという人に、特におススメです。
 
これを読んでも、「古典」の成績には直結しないけど、話の大筋をとらえられるので、とっても学習しやすくなります。
 
大和和紀さんは、かなりきちんと研究して描いているので、単なる「学習漫画」とは一線を画していますよ。
 
もちろん、古典に興味のある大人も、十分楽しめます♪ヽ(^o^)丿

 
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