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こんにちは~、このかです。
 
以前、平安中期の一条天皇が、すっごい猫好きだったというお話をしました。
一条天皇は、清少納言が宮中にいた頃の天皇だったので、『枕草子』に登場しているのです。
 
猫は、その後、江戸時代に入ると、庶民の間で大ブームになるんですよ。
今回は、平安と江戸の文化芸術の中の猫、特に、江戸っこパンク絵師・歌川国芳の猫アートについてお伝えします。
 
一条天皇の猫バカぶりは、こちらです。↓
 
『枕草子』でわかる平安の猫ブーム!一条天皇は「猫派」だった!
 
 

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平安時代の猫は、貴族の高級ペットだった

 

 
平安時代、猫は、唐物(からもの)と同じく、中国から渡ってきた、とても高級なものでした。ですから、贅沢三昧できる貴族限定のペットだったのです。
 
めったに地面に足をつけることなく、オシャレな首紐をつけて、大切に飼われていたようですよ。
 
『枕草子』だけでなく、『源氏物語』にも『更級日記』にも登場します。

 

(1)『更級日記』の作者の「姉」の猫

 

 
『更級日記』の作者は、少女時代、猫を飼っていました。
彼女は、「源氏物語オタク」の妄想少女だったのですが、その姉もボケボケ不思議系で、おもしろいエピソードが残っています。
 
ある日、姉が急いでやってきて、
「ねえねえ、聞いて~~! 今日、夢の中にこの猫ちゃんが出てきて、私は侍従の大納言の姫君がこうなったものなのですって言って泣くのよ~~!!!」
(原文:おのれは侍従の大納言殿の御むすめのかくなりたり)
 
「この猫の正体は、お姫様よっっっ!」
呪いがかけられたとかゆう、アレですかい?
 
それを聞いた妹・菅原孝標女は、「まあ、どうりで気品があること!」
 
え?止めないの?
 
びっくりした姉妹は、お父様にお知らせしなければということで、それを聞いた父は・・・
 
「それは大変だ! すぐに大納言様にお知らせせねば~!!」
 
おいいーーーっ!
お前も止めないんかいっ!
 
ボケばっかりの一家じゃないか。
だれか止めて~!( ̄▽ ̄)
 
・・・・という感じで、「ボケボケ一家の日常日記」に登場したのでした。
 
 
「更級日記」の作者の「源氏物語」オタクを極めた少女時代

 

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(2)『源氏物語』の「女三宮」の猫

 

『源氏物語』の中でも何度か登場しています。
 
一番重要な役は、めっちゃシリアスな巻です。
 
女三宮と柏木の、いけない恋の引き立て役として出て来ちゃうんですね。
 
女三宮がだっこしていた猫が欲しくて欲しくてしょうがなく、やっとのことで手にいれた柏木が、彼女の代わりにその猫を「むぎゅぎゅぎゅ~っ」と抱きしめていたという女々しい、じゃない、あわれなシーンがあるのです。
 
そんなこんなで、平安時代の文芸作品にも、たくさん登場している猫ちゃんなのでした。

 

江戸時代にネズミ駆除と猫アートで大ブームに

 

 
平安時代は、貴族の高級ペットだった猫ちゃんたちですが、江戸時代になると、一般庶民のもとへやって来ます。
 
江戸時代は、経済や治安が安定したため、野良ネコちゃんたちが、飢えずに暮らしやすい環境が整ったのでした。
 
そして、江戸のような大都市では、ネズミの害が増えていきます。
古今東西、猫ちゃんの得意技は、「ネズミ捕り」ですね。
トムジェリ見てると、わかりますね~。
 
つまり、社会の中で、猫ちゃんのお仕事、活躍の場ができたのです。
 
それで、多くの庶民の家で飼われるようになり、猫を扱った文化芸術作品も、どんどん増えていきました。
 
猫ちゃんは、ネズミ捕りの救世主として絵に描かれ、その絵を家に飾るとネズミが寄ってこないとか言い出す、怪しい商売をする絵師も現れました。
 
縁起物の「招き猫」ができたのも江戸時代ですよ。
  ↓
縁起物の招き猫にはどんな福が?右手・左手で異なるご利益
 
 
そして、当時、有名な絵師が猫好きで、たくさん描いたことから、爆発的な大ブームとなったのでした。

 

歌川国芳の「猫アート」は、斬新で超クール!

 
 
(出典元:wikipedia)歌川国芳の自画像↑
 
江戸時代の有名な浮世絵師に歌川国芳という人がいます。
すごく細やかでありながらダイナミックな構図で描く、私のすっごく好きな変態浮世絵師さんです。
 
この上の自画像、猫ちゃんがまったりくつろいでいて、一見癒し系っぽいですが、着物の柄は「地獄変」です。この着物は、国芳が実際に着ていたもので、お気に入りだったそうですよ。
 
彼が活躍したのは、ちょうど水野忠邦の「寛政の改革」が行われていた頃です。幕府は、質素倹約と言っていろんな条例を出して、庶民をぎゅーぎゅー締め付けていました。
 
幕府の政策に大いに不満を持っていた江戸っ子たちは、それを強烈に皮肉って、文学やアートで表現したのです。
 
歌川国芳は、そんな熱い江戸っ子気質を持つアーティストの1人でした。
 
そして彼は、大の猫好きだったのです。
 
10匹以上の猫を飼っていて、猫をだっこしながら作品を描いていたといわれます。猫が亡くなったら、お寺で供養して戒名をもらい、仏壇にきちんと位牌を置いていたそうですよ。
 
猫好きアーティストは、作品にすごくうまく猫を取り入れますね。現代では、私の大好きな影絵作家の藤城 清治さんも、そんな感じです♪
 
好きな人が描くと、猫らしいちょっとした仕草が、とても生き生き表現されて素敵ですね。
 
それでは、彼のポップでパンクな楽しい作品を見ていきましょう。

 

(1)擬人化

 
(出典元:wikipedia
 
お題は、『猫のけいこ』。
 
この頃、男性の間で「浄瑠璃」のおけいこが流行したそうなんです。
これは、そんな風景を猫モチーフにして描いた団扇絵です。
 
女性の猫師匠と男性の弟子猫2匹で、着物の柄が、猫の大好物という茶目っ気のある作品ですよ。
 
真剣に練習している感じが、かわいいです♡
 
師匠の着物は、鈴に小判、猫の足跡、目刺しが並び、手前の弟子はフカヒレ、奥の弟子はタコの柄です。

 

(2)猫の当て字

 
(出典元:wikipedia
 
『猫の当て字』は、シリーズものとして描かれています。
こちらは、その1枚で、「なまづ」です。
 
「なまづ」という字を猫文字で表現したものです。
アクロバティックな形になっている猫ちゃんもいて、おもしろいです。

 

(3)猫づくしの「地口」

 
(出典元:wikipedia
 
こちらは、現代女子にも受け入れやすい絵で、人気があります。
でも、すごい深い意味があっておもしろいのです!
 
お題は、『其のまま地口・猫飼好五十三疋』(そのままじぐち・みょうかいこうごじゅうさんびき)。
 
「地口」というのが、ダジャレの一種なのです。
つまり、これは、「東海道五十三次」のパロディなのでした。
 
「東海道五十三次」に登場する宿場を、猫に関するダジャレに置き換えた戯画で、「53宿場町+出発地・日本橋+到着地・京」の55匹が、描かれています。
 
例えば、右上の角っこ、1番の猫は、江戸・日本橋です。
日本橋(にほんばし)➾二本だし(かつお節二本)
 
一番下のちょうど真ん中のかごに入った猫ちゃんは、藤川です。
藤川(ふじかわ)➾ぶちかご(かごに入ったブチ猫)
 
そして、到着地の「京」は、左下の角っこのトラ猫ちゃんです。
京(きょう)➾ぎゃう(ギャウ!)
猫が威嚇するとき、「ぎゃう」って表現したんですね~。
「このネズミは、渡さないぞ」という感じです。
 
この絵柄は、今でも人気ですよ。

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猫に関する記事は、こちらにもあります。ご一緒にどうぞ♪
 
 
猫カフェに行って猫ブームに納得!猫は見てるだけで癒される
 
 
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