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こんにちは。このかです。
 
『銀河鉄道の夜』は、宮沢賢治の代表作の1つ、というか、これこそが彼の代表作といえる大事な命題を含んだ作品です。
 
この作品は、実は完成されていません。
ですから、「未完の名著」とも呼ばれる作品なのです。
宮沢賢治は、これを何度も(大きく4回は改訂)書き直しましたが、やはり完結できなかったのでした。
 
そして、作家や芸術家に影響を与えている作品でもあります。
 
例えば、ジブリの宮崎駿監督は、『千と千尋の神隠し』で、この作品の「銀河鉄道」のイメージを入れたかったとインタビューで語っています。でも、残念ながら、全体との兼ね合いで、自分が想像したようには表現できなかったのだそうですよ。でも、この話から「千と千尋」の電車に乗り合わせた人々は死者だと分かりますね。
 
今回は、是非知っておいていただきたい名作『銀河鉄道の夜』のあらすじと感想文を書くときのポイントを、お伝えします。

 

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「銀河鉄道の夜」のあらすじ

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このお話をすごーく簡単に説明すると・・・
 
孤独感を感じている主人公が、ぼんやりしていたら、「不思議な世界(銀河鉄道に乗る)」に入り込んで、そこでいろいろな体験をして、最後に元の世界に戻ってくる話です。
 
ファンタジーの定番の構成ですね。
 
『注文の多い料理店』もそうですし、『不思議の国のアリス』などもこの構成です。
 
でも、この作品は、単なる娯楽作品ではなく、「本当の幸せとは何か」という哲学的な命題を与えています。その点で、ものすごく深みのある作品になっているのです。
 
宮沢賢治は日蓮宗の信者でしたが、キリスト教の影響を受けているとわかる物語でもあります。
 
それでは、もう少し詳しく内容を見ていきましょう。

 

起・ケンタウルス祭の夜

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主人公はジョバンニという少年です。
 
ジョバンニの父親は漁に出たきり戻らず、母親は病気で働くことができません。
ですから、ジョバンニは生活を支えるため働かなければいけないのです。
 
勉強も遊びもしっかりできないジョバンニは、クラスメイトからいじめられるようになり、幼なじみのカムパネルラとも、遊ぶ時間がなくなっていました。
 
ある日の放課後、みんなはその夜の「ケンタウルス祭」(星祭り)の計画で盛り上がっていましたが、ジョバンニは仕事に出かけます。
 
仕事が終わって家に帰ると、配達されるはずの母親の牛乳が届いていなかったので、その牛乳を取りに出かけます。でも、店主がいなくて後で来るように言われ、仕方なく「ケンタウルス祭」を見物しに行きました。
 
そこで、学校の友達の集団に出会ってしまい、また嫌なことを言われます。
ジョバンニは、その集団の中にカムパネルラがいるのを見て、悲しくなりました。
 
ジョバンニは、1人でさびしく丘にのぼり、「天気輪の柱」の下で星を眺めていました。
 
すると、汽車の音が聞こえ、列車が小さく見えてきます。

 

承・不思議世界の中へ「銀河ステーション」

 
どこかから「銀河ステーション」という不思議な声が聞こえ、まぶしい光に包まれます。
 
気がつくとジョバンニは、列車の中にいました。
そして、前の座席にはカムパネルラが座っています。
 
2人は「白鳥停車場」で途中下車し、「プリオシン海岸」に行ったりして楽しく過ごします。
 
鳥を捕まえて売る商売をしている「鳥捕り」に雁を分けてもらい食べますが、ジョバンニは、これはお菓子だと思います。
 
「アルビレオの観測所」の近くで検札がありました。
ジョバンニは、そこで自分の切符だけが天上のどこまででも行ける特別な通行券だと知ります。
 
「鳥捕り」がどこかに消えると、次に、2人の子供の姉弟を連れた家庭教師の青年が隣に来て座ります。
 
その女の子とカムパネルラが楽しそうに話しているのを見て、ジョバンニはかなしい気持ちになります。
 

 

転・旅の途中でカンパネルラが消える

 
赤く光る火を見て、カンパネルラが「蠍(さそり)の火だな。」と言い、女の子がその由来を教えてくれます。
 
「サウザンクロス」に到着すると、 女の子たちの一行は降りようとします。
ジョバンニは引き止めますが、母親のいる天上へ行くのだと言って、彼らは去ります。
 
二人きりになって、ジョバンニは、カムパネルラに「どこまでもどこまでも、一緒に行こう。」と言います。
 
しかし、「石炭袋の穴」に列車が近づいたとき、カムパネルラは天上にいる母親を見つけて、消えてしまいました。
 
ジョバンニは、カムパネルラに裏切られたと思って、叫び泣き出します。

 

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結・現実世界に戻る

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気がつくと、ジョバンニは、元の丘の草むらに戻っていました。
 
牛乳を受け取って戻ると、川に落ちたザネリを助けて、カムパネルラが流されたと知らされます。
 
ジョバンニは2人の最後の会話を思い出し、カムパネルラに裏切られたのではなかったのだと分かります。
 
カムパネルラの父親は、息子のことはもうあきらめていました。そして、ジョバンニに、今日にでも君の父親が帰宅すると便りが来たことを告げます。
 
ジョバンニは、母親に牛乳を持っていき、父親が帰ることを知らせるために、一目散に街の方へ走りました。

 
 
『銀河鉄道の夜』 青空文庫
 

感想文を書くときのポイント

 
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ジョバンニは、現実に戻ってからカムパネルラの死を知りますが、一緒に乗り合わせた人たちとの会話から、読者は途中から「乗客は死者」だと分かります。
 
「銀河鉄道」を走る列車は、死んだ人が「天上」に行くための列車でした。
 
感想文のポイントは、この話で宮沢賢治が伝える「思想」を表し、それについて自分の意見を深く書いていくとよいですよ。
 
一つは、「みんなの幸せのためなら、自分の犠牲をいとわない」という考えに賛成できるかという点です。
 
もう一つは、「あなたの考えるほんとうのさいわいとは何か」という点です。

 

(1)「みんなのさいわい」のために犠牲になれるか

 
 

僕はもうあの蠍のように
ほんとうにみんなの幸のためならば
僕のからだなんか百ぺん灼いても
かまわない

 
出典元『銀河鉄道の夜』

 
この思想に、あなたは賛成できますか?
 
この命題は、宮沢賢治が他の作品でも訴えている大きなテーマです。
童話『グスコーブドリの伝記』の主人公は、この思想にそって、みんなのために命を落とします。
 
でも、私の場合、この考えにまるまる賛同はできないなーと思います。
文学者や宗教家なら、こんな理想を掲げてもよいと思いますが、現実社会は、そんなに甘くはなからです。
これは、すごい理想主義的な考え方です。
 
それに、もしも実際に友達が目の前でおぼれていたら、本当にカンパネルラのように自らの命を投げ出せるでしょうか?
 
「賛成」なら、その立場で書いてくださいね。
「美しき自己犠牲」に対する、あなた自身の意見を書くことが大切ですよ。

 

(2)「ほんとうのさいわい」とは何か

 

うん、僕だってそうだ。
けれども、ほんとうのさいわいは一体何だろう。

 
出典『銀河鉄道の夜』

これはもう、哲学の命題ですね。
難しいです。
 
宮沢賢治は、「ほんとうのさいわい」とは何だと言っていると思いますか?
 
彼は、はっきり答えを出せませんでした。
その答えがはっきりしていたら、この作品は完成していたと思います。
でも、この命題は、とても難しい、絶対的な答えのないものです。
 
例えば、1つの事柄が、Aさんにとって「さいわい」でも、Bさんにとっては「さいわいでない」ということは、世の中にたくさんあります。
 
 
「ほんとうのさいわい」「みんなのさいわい」
 
それは、「こういうものだ」と提示するものではなく、みんながそれを考えながら目標にして生きていくものなのではないでしょうか。
 
みんなの「ほんとうのさいわい」とはなんでしょう。
ヒントは、このあたりにありそうです。↓

 

誰だって、
ほんとうにいいことをしたら、
いちばん幸なんだねえ。

 
出典:『銀河鉄道の夜』

 
「ほんとうにいいこと」が何かというのが、難しいのですけどね。
 
それについて、あなたは、どう考えるでしょう。

 

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