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こんにちは、このかです。
 
俳句は、もともと俳諧の発句(一番最初の句)だったので、江戸時代の言葉づかいのものが、たくさん残っています。
 
特に、江戸三大俳人(松尾芭蕉・与謝蕪村・小林一茶)の俳句が有名なので、そういう言葉づかいが印象に残りますね。
 
でも、現代の私たちには、なじみがないので、ちょっと難しいと感じる場合もあります。では、俳句を作るときは、今どきの言葉で大丈夫なのでしょうか。
 
今回は、俳句で使う言葉づかいについて、お伝えします。

 

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「口語」「文語」ってどういうもの?

 

 
日本語の文体には、「口語」と「文語」があります。
そして、今では一般的に、「口語」は話し言葉で、「文語」は書き言葉ととらえられています。
 
でも、俳句の世界は、ちょっと違うのです。
 
俳句では、「口語」は、今私たちが使っている「現代語の文体」、「文語」は「平安時代の文法に基づく文体」という意味で使われることが多いのです。
 
つまり、俳句の文語は、古典で習う平安時代の文学で使われるような言葉のことなのです。
 
俳句を読むとき、また作るときに、あなたは、どちらの文体か気にしているでしょうか?
 
どちらがよいのかなと、気になる方もいると思います。

 

「文体」は自由なのでお好みで!

 

 
結論を先に言うと、俳句を作るときの文体は、口語でも文語でもどちらでもOKです。口語と文語が混在した俳句でもよい、という人もいるぐらいですよ。
 
口語は、普段使い慣れた言葉なので、思いつきやすいし、動詞や形容詞の活用なども、自然にわかります。
 
でも、文語は動詞や形容詞の活用が古典文法になるので、少し違います。
 
文体による俳句の雰囲気の違いを、「俳句」を用いて、読み比べてみましょう。

 

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「ちびまる子ちゃん」の俳句で考えよう


 
漫画の『ちびまる子ちゃん』を、ご存知でしょうか。
 
長くアニメ化されているので、よく知られていますが、さくらももこさんの作品は、漫画の中の鋭いツッコミがかなり笑えるし、エッセイの風刺も鋭くて面白いです。
 
漫画だけでなく、「俳句教室」など楽しみながら知識も増える「満点ゲットシリーズ」も、おススメですよ。(子供向けですが)
 
そんなまる子の祖父・友蔵は、趣味の1つが俳句なのでした。
たまに、「ともぞう・心の俳句」というのがあって、これが結構笑えます。
 
「口語」でも「文語」でも作っていますよ。

<口語>
「わしだって 生で見たいよ 芸能人」
「草むしり いいことなんて 多分ない」
 
<文語>
「ありがたや 心配じじいを 守る孫」
「だまされる おいぼれじじい ここにあり」

 
出典元『ちびまる子ちゃん』

おじいちゃんの「心の俳句」には、季語がありませんね。
これは、正確にいうと「川柳」です。
 
川柳は、口語の場合、俳句よりもっと身近な感じがします。
「サラリーマン川柳」も、口語が多くて同じような感じがしますね。
 
一方、2つの文語の句を見ると、川柳でも俳句っぽい雰囲気が漂うと思いませんか?
 
最後の句なんて、小林一茶のパロディ(本歌取り)です。
(やせ蛙 負けるな一茶 ここにあり)
 
どちらが良いというのではなく、好きなほうで作ればよいと思います。
趣味ですからね♪
 
私の場合、松尾芭蕉リスペクトで、古典好きなので、絶対文語!ですけど。
もちろん「人それぞれ」なのですよ。
 
でも、今でも、俳句で昔の言葉が使われ続けているのには、やはり理由があります。

 

「俳句」は平安時代の「和歌」から派生したもの


 
もともと俳句の定型(俳諧の発句)の「五七五」は、平安時代の和歌から派生したものでした。
 
これは、当時の言葉で作りやすいように考えられた「音数」なのです。ですから、今も文語で表現するほうが、乗せやすいリズムになっているのですね。
 
俳句らしい感動を伝える切れ字の「~や」「~かな」も、文語表現ですよ。
友蔵の文語の俳句でいうと、「ありがたや」「ここにあり」の部分です。
 
「や」は詠嘆の助詞で文語表現ですが、口語で表現しようと思ったら、「ありがたいなあ」と字余りになります。ニュアンスも変わりますね。
 
「ここにあり」の「あり」は口語の場合「いる」になりますね。
でも、「ここにいる」に変えると、「あり」の持つ「ここにいるぞ!」という強い存在感が出せません。
 
文語で感情を伝えられる言葉は、うまく現代語(口語)に置き換えられないものもあるのでした。

 

『歳時記』の「季語」も文語が中心

 

 
各季節の季語を集めた辞書のようなものを『歳時記』といいますね。
『歳時記』に載っている季語は、昔から使われてきた季語が多いので、文語のものが中心です。
 
例えば、春の季語では、春浅し・春惜しむ・春深し・夏近し・桜まじなどがあります。「時候」の季語が多いので、季節感がはっきり伝わりますね。
 
こういう季語を用いるなら、句全体も文語に合わせたほうが一体感が生まれます。
 
例えば、こんな感じです。↓
 
 
「春惜しむ 人や榎に かくれけり」(与謝蕪村)
 
 
全体を文語でまとめて、たった17字なのに、余韻を残す俳句になっていますね。
 
与謝蕪村の俳句は、多分私の先入観もあるのでしょうけど、その場の情景がまるで絵のようにイメージできるものが多いです。
 
蕪村は俳画の祖ともいわれますが、渋くてすごくかっこいい俳画をたくさん残しているのですよ。

 

おわりに


 
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
 
 
今回は、俳句には「口語」と「文語」の二つの表現方法があるということと、あなたが句作するときは、そのどちらを使っても問題ないのですよということを、お伝えしたかったのでした。
 
文語のほうに力を入れて書いていますが、それは「伝統的な言葉が使われ続けているのにはわけがある」と知っていただきたかったからです。
(そして、やっぱり私は、こちらの音のほうが好きだなーと思うからです。)
 
どちらにも良い点があるので、作りやすいほうを選んでもよいですし、雰囲気が好きな方を選ぶのも素敵だと思います。

 
 
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