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最近の夏は、暑すぎて日中は外出を控えなければ危ないほどですね。
日本の会社員の夏休みは、他の先進諸国と比べると少ないです。
今は、フレックス制になって夏休みも7~8月のうちいつでも取れるという人が増えましたが、以前は、お墓参りのためなどに「お盆休み」を取る人が多かったです。
お盆になると見られる、割り箸が刺さって四本足で立っているきゅうりとなすを、見たことがありますか?
私は、以前、情報番組で取り上げられているのを見て、すごくおもしろいなと思ったんですよ。私の住む地方には、あの風習がないのです。少なくとも、私は実物を、見たことがありません。
昔の人の想いが込められた意味のあるところが素敵だな~と思いました。
今回は、あの、四本足のきゅうりとなすの風習を、紹介しますね。
なすときゅうりの「精霊馬」
きゅうりとなすに割り箸が刺さってるあの形は、4本足の動物みたいに見えますね。まさにそのとおりで、あれはきゅうりが「馬」、なすが「牛」を表しています。
きゅうりはスラリとしているので「馬」っぽいし、なすはお尻がぷくっとしているので「牛」らしく見えますね。
2つで1対で、合わせて「精霊馬(しょうりょううま、しょうりょうま)」と呼びます。
この精霊というのは、スピリチュアルなものではなく、「亡くなった人の魂」を指しています。「精霊馬」は、お盆にご先祖様が戻ってきて帰る乗り物として作られたものなのです。
「精霊馬」の作り方は、簡単ですよ。
買ってきたきゅうりとなすに、それぞれ4本ずつ足のように、割り箸か串や爪楊枝を刺すだけです。太めの串は、先がとがっているので、一番簡単にさせます。
「精霊馬」は、お供え物なので、精霊棚を作って置くのが正式です。
「精霊馬」の意味と役割
きゅうりとなすが選ばれた理由は、まず、どちらも夏野菜だったということです。
どちらも、昔から、お盆の時期に収穫が望める野菜でした。
ご先祖様は、あの世からこの世へきゅうり(馬)に乗って戻り、お盆が終わると、なす(牛)に乗ってあの世へ帰ると考えられていました。
● きゅうり→足が速い→「馬」
● なす→歩くのが遅い→「牛」
つまり、足の速い馬に乗って、早く家に戻れるように、そして、少しでも長くこの世に留まれるように足の遅い牛に乗ってあの世へ帰るようにと考えて作られたものなのです。発想が、おもしろいですね。
また、あの世へ帰るときに、供物を持ち帰れるように、力のある牛で帰るといわれる場合もあります。
ただし、地方によっては、反対の意味の場合もあるそうですよ。
つまり、お迎えは、ゆっくり丁寧にしたいから「牛(なす)」で迎えて、急いで帰ってもらうために「馬(きゅうり)」をお供えするという発想です。
精霊馬を作る地域と時期?
まず、一般的に「精霊馬」は、作る地域と作らない地域があります。
★ 東日本――作る
★ 西日本――作らない
西日本、関西から九州にかけては、「精霊馬」を作る風習のない地域が多いのです。
だから、私は、見たことがないのでしょうね。
一般的に、7月12日が「お盆の入り」とされますね。
ですから、13日を「迎え盆」、15日、16日のどちらかを送り盆とする地域が多いです。
「精霊馬」はお盆にご先祖様を迎えるものなので、作る時期(日)はこのときなのですが、少し地域によって異なります。
★ 主に関東地方
13日の朝に精霊棚を作り、この棚の上になすやきゅうりで作った「精霊馬」を飾る
★ 主に北陸から東北・北海道地方
16日の送り盆に精霊馬を作り、精霊棚に供える
処分する日は、どちらも16日のようです。
精霊馬の処分の仕方
昔は、役目が終わった「精霊馬」は川や海に流していました。
精霊流しのようなものでしょうか。
土に返すという意味で、畑や家の敷地内に埋めて処分する地域もあります。
最近は、「塩」でお清めをした後に、半紙などに包んで可燃ゴミに出すことが多いです
「精霊馬」を食べるのはNGなのだそうです。
おわりに
「精霊馬」は、「精霊流し」や「燈篭流し」のような意味を持つ、お盆の風習だとわかりました。
本来は、古代からの「神式」の風習とも、「禅宗」の風習ともいわれます。
宗教色の強いものなので、浄土真宗のように、教義によって地域を問わず作らない信徒もいます。
私は、もとはきゅうりとなすという食べ物のお供え物なのに、食べずに捨てるというのに驚きました。
神仏へのお供え物は、たいていの場合、お下がりをいただくものと思っていたからです。
精霊を乗せるものなので、食べ物とはいえ「流すもの」と考えるのでしょうか。
いろいろな風習や考え方があって、興味深いです。
本来の意味で作られた「精霊馬」が飾られているのを、見てみたいと思うのでした。(きゅうりに串を指すだけなら簡単だけど、我が家にはそういう風習がないので、見かけ倒しな感じがしますから。)
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