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こんにちは、このかです。
「よだかの星」は、童話ですが、とても切ないお話です。そして、宮沢作品の多くに見られるはっきりしたテーマのある話です。
短いお話なのですが、よだかはこういう救われ方しかできなかったのかなと、いろんな事を考えさせられます。
今回は、そのあらすじとその解釈を、お伝えします。
目次
『よだかの星』のポイント
★『よだかの星』青空文庫
みにくい外見をして他の鳥たちからいじめられている「よだか」は、鷹から改名しなければ殺すと脅され、また、たくさんの虫を食べて生きている自分が嫌になります。
そして、もう星になってしまいたいと思い、空高く舞い上がって「よだかの星」になりました。
短いお話なので、朗読は10分ほどです。
結構、いい声のお兄さん(?)です。(*^^*)
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「よだかの星」のあらすじ
「冒頭」
よだかは、実にみにくい鳥です。
顔は、ところどころ、味噌(みそ)をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。
足は、まるでよぼよぼで、一間(いっけん)とも歩けません。
ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合(ぐあい)でした。
「起」みにくい鳥・「よだか」
「よだか」は、実にみにくい外見をしています。それで、他の鳥たちから、笑われ、馬鹿にされ、イジメられています。
めじろのヒナが巣から落ちたのを助けてあげたときも、助けてあげためじろの親は、子供を奪いとるようにして、その後「よだか」を馬鹿にして笑いました。
ある日、鷹に名前が似ているので「市蔵」という名に変えろと言われます。そして、「あさっての夜までに名前を変えなかったら、つかみ殺すぞ。」と脅されます。
「承」自己否定と「よだか」の決心
「よだか」が思いっきり飛ぶと、空がまるで2つに切れたように思われます。
そもそも「よだか」に「鷹」という名がついているのは、「よだか」の羽がとても強くて、風を切って飛ぶときなどは、まるで鷹のように見えたことと、もう1つは、その鋭い鳴き声がどこか鷹に似ていたためです。
1匹のカブトムシが「よだか」ののどに入り、ひどくもがきました。「よだか」はそれを飲み込んだとき、なんだか背中がぞっとしたように思いました。
「よだか」は自分が多くの虫の命を奪って生きていることが悲しくなり、もう星になってしまいたいと思います。
「転」星たちへの懇願
「よだか」は、弟の「かわせみ」に遠い所へ行くと別れを告げます。
まず、お日さまのところへ行って、自分もそこへ連れて行ってほしいと頼みますが、「よだか」はひるの鳥ではないから星に頼んでごらんと言われます。
夜になって、「よだか」は今度は星に頼みます。西のオリオン座、南の大犬座、北の大熊星、東の鷲の星へ。
でも、どの星も冷たく、星になるにはそれ相当の身分とお金がいるとまで言われ断られます。
「結」燃え続ける「よだかの星」
「よだか」は、すっかり力を落としてしまいます。
でも、「それからキシキシキシキシキシッと、まるで鷹のように高く高く叫びました。」
そして、どこまでも、どこまでもまっすぐに空へのぼっていき、やがて、もう自分がどちらの方向を向いているのかさえわからなくなってしまいます。
「よだか」のくちばしは、血がついて横に曲がってしまっていましたが、確かに少し笑っていたのでした。
目を開くと、「よだか」は、カシオペア座の隣で、自分が青い美しい光になって燃えているのに気づきました。
「よだか」は星になっていたのです。
そして、「よだかの星」は、今でもまだ燃えています。
解釈のポイント
★ 殺生は避けられない
「よだか」は、自分が生きるために他の虫の命を犠牲にしていることに、強い嫌悪感を抱きます。
この意識は、「食物連鎖」の否定という、全生命の宿命に対峙するものです。
生きている限り、殺生は避けられません。
宮沢賢治の作品には、(おそらく宗教心から)この課題をあげるものがいくつかありますが、「よだか」の選択は、もっとも純粋で残酷なものでしょう。
この連鎖から逃れるには、「星」になるしかありませんから。
★ 他力本願は叶わない
「よだか」は、星になりたいと思ったとき、始めはお日さまや星たちに懇願します。しかし、その願いは聞き入れられませんでした。
本当に自分が願うのならば、命を投げうってでも自力で獲得しなければいけないということですね。星になる前、「よだか」の死に顔は、「少しわらって居りました」。
「よだか」の願いは完全に成就し、「体」という「器」がなくなっても、いつまでもいつまでも燃え続けます。
「よだか」の決意は、「死」という残酷なものでしたが、同時に永遠に美しく輝くものでもありました。
切ないお話です・・・。(*´_`)
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