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『学問のすすめ』は、明治初期、日本の新たな道しるべを模索していた時代に、福沢諭吉が日本の国民に向けて書いた啓蒙書です。
 
現代から見れば、儒教や日本の文化を軽んじていると感じないでもないですが、福沢諭吉の生きていた時代は世の中が大きくかわる日本の転換期でした。
 
新政府体制下で、これから日本はどのように進んでいくべきか、西欧に追いつくためにどうすればよいのか、国民一人一人がどのように生きるべきか、という諸問題について、新たな指針が必要な時代だったのです。
 
今回は、宮沢諭吉の『学問のすすめ』で語られる「学問」について考えます。

 

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『学問のすすめ』

 
1800年代後半は、西洋列強の世界進出によって、アジア諸国が次々と植民地となっていた時期です。
 
そんな時代、日本の近代化を目指して提唱された『学問のすすめ』は、当時の日本が「国家の自主独立」を維持しながら、社会革新をとげ、急速な近代化に成功するきっかけとなった書です。
 
全部で17冊の小冊子からなるこの書籍は、350万部という大ベストセラーとなります。↓ ↓

 
『学問のすすめ』青空文庫
 

 
福沢諭吉の生涯と時代背景は、こちらにあります。↓


 

天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといえり

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この有名な言葉は、断定ではなく、
 
「人はみな生まれたときは平等だというけれど」
 
という意味で、まだ先の言葉に続きます。
 
よく誤解されるのですが、福沢諭吉は断定していないということです。
 
人はみな平等だとは言うけれど、仕事や身分によって違いがあるのはどうしてだろうか。
 
その違いこそが、「学問が身についているかどうか」にあるのだといいます。
つまり、人の違いは生まれつきあるのでなくて、「学問に励んだか、励まなかったのか」によるということです。

 

「実学」は大切‼

 
福沢諭吉の解く「学問」というのは、ただ難しい字を知って、理解し難い古文を読み、和歌に親しんで詩を作るなどという「実のない文学」のことではありません。
 
学問とは「実学」のこと、つまり、机上の勉強ではなく、世渡りの勉強も、商売の帳簿をつけるのも、時代の流れを読むのも「学問」だと考えています。
 
専念すべきは「人間の日用生活に有用な実学」なのです。
 
そして、その「実学」は自分の利益だけでなく、世の中のためになる学問であるべきと考えています。

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学びて富み、富みて学ぶ

 
稼いだお金は消費に使ったり貯蓄に回すより、自己投資に使うべき(再投資)という教えです。
 
現代の投資家や実業家が、そろって口にする言葉ですね。
お金持ちほど、自分に投資する勉強熱心な人が多いです。
 
知識が増えれば増えるほど、お金も稼げるようになるし、人間としても成長できます。
 
そしてまた、より多くのお金が稼げるようになり、それを知識に投資する、そしてまた成長するというよいサイクルを作るのです。

 

一身独立して一国独立する

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国民は政府の政策を批判することが多いけれど、政治の停滞の一番の原因は「国民自身である」と述べています。
 
文明を起こすのは 民間人(国民)であり、それを保護するのが政府と考えます。
 
自民党の安倍首相が、第183回国会における施政方針演説で、この一説を引用しました。↓  ↓  ↓

「『強い日本』。それをつくるのは、他の誰でもありません。私たち自身です。『一身独立して一国独立する』。私たち自身が、誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で、自ら運命を切り拓こうという意志を持たない限り、私たちの未来は拓けません。」

 

男尊女卑・身分制度の批判

 
福沢諭吉は、下級氏族だったため、虐げられた経験を持ちます。
固定化された身分制度について、ひたすら卑怯で尊大なものと考えました。
 
また、当時虐げられていた女性の社会的地位向上に目を向け解放に努めます。

 

演説は大切

 
「speech」に「演説」という訳語を当てたのは福沢諭吉です。
 
「学問とは、観察・探求・読書によって知識を蓄積し、議論によって知識を人と取り交わし、著作・演説で自分の知見を人に広めること」と記しています。
 
演説して人の心を動かし、議論する事の必要性を主張したのです。

 

個人の心の持ちようを説く

 
17冊の小冊子の後半は、個人的な精神論を述べた内容が多いです。
 
例えば、嫉妬、妬みは人間最大の不道徳であって、諸悪の根源であると、例を挙げて批判しています。
 
また、懐疑的精神を持つことは大切で、西洋文化を優れたものと盲目的に考えず、日本の優れたところも認識するべきと説いています。
 
誠実さが大切で、言葉を選び、多くの人と交流しようとも言っています。

 

おわりに

 
『学問のすすめ』は、広い視野から見た「学問の重要性」を説き、個人がこれからどう歩むべきかの指針となった本なのですね。
 
だからこそ、日本の人口が3500万人だった時代に350万部も売れるベストセラーになったのです。
 
福沢諭吉が『学問のすすめ』で伝えた学問とは、「実学」です。
この考え方は、今の時代にも十分通用するものだと思います。
 
・・・現代でも優れたビジネス書として活用できると思います。

 
 

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