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こんにちは。
今回は、俳句の秋の季語で、「植物」を使った俳句を、ご紹介します。
花や草木の「和名」は、素敵なものが、たくさんありますよね。
植物は、その題材1つで「秋らしさ」を伝えられるものが、たくさんあります。
紅葉、秋の七草なんて、まさにそうですね。
季語は、伝統的なものから現代生まれのものまで、たくさんあります。
今回は、その1部を使った俳句を、ご紹介します。
秋の季語「植物」の代表的なもの
秋草・秋の七草・草の実・草の花・露草・紅葉・楓・秋桑・稲・蘭
菊・菊草・野菊荻・尾花・カンナ・鶏頭・猿の腰掛・朝顔・桔梗
男郞花(オトコエシ)・女郎花(オミナエシ・葛の花・サルビア
秋海棠・撫子(ナデシコ)・芭蕉・芙蓉・秋桜(コスモス)
青蜜柑・栗・オクラ・椎茸・生姜・梨・山椒の実・桃・柿・西瓜
麻の実・隠元豆(インゲンマメ)・秋茄子・南瓜・芋・胡麻・葡萄
舞茸・小豆・無花果・金柑・銀杏・林檎・檸檬・柚子・万年青の実
オリーブの実・胡桃・木の実・橙・橘・山梨・落花生
秋の季語の「植物」は、紅葉や秋草など、秋らしい風景が感じられるもの、菊、蘭、秋桜など、秋を代表する花があります。
また、実りの季節でもあるので、胡桃・栗などの木の実や、葡萄・林檎・桃などの果物が多いのも特徴ですね。
秋の季語「植物」を使った俳句
秋の俳句でよく詠まれる植物は、やはり、萩、菊、芒(すすき)ですね。
江戸三大俳人の俳句で、特にいいなと思うものを集めました。
萩や芒(すすき)は、姿かたちからしても、秋らしい風情を感じますし、「名月」と組み合わせて詠まれることも多いです。
菊は、重陽の節句で用いられるとおり、長寿延命の草花です。
朝顔は、夏らしいけど秋の季語ですよ。
(1)松尾芭蕉の秋の俳句
山中や菊はたおらぬ湯の匂
【季語】 菊
この句は、芭蕉が『奥の細道』の旅で、山中に寄ったときに詠んだものです。
薫り高い湯で寿命ものびそうだ~と、山中温泉の湯を賛美しています。「山中や」と地名を強調しているところから、この地の人へのあいさつの意味が深いのかなと思います。
菊は香高く、長寿延命の草花といわれているけど、この湯に入れば、もう菊を手折る必要はないよという意味です。
この山中で、同行していた門人・河合曾良がお腹を壊して倒れてしまいます。
それで、2人は仕方なく、別れてしまうのですよ。
山中温泉で、曾良が作った俳句がこちらです。
↓↓
行き行きて 伏(たおれ)ふすとも 萩の原
【季語】 萩
師匠を残して一人先に行く私は、病の身ゆえ途中で行き倒れるかもしれません。でも、こんな美しい萩の原で倒れるなら、それもまた本望です。
↓↓
『奥の細道』芭蕉の旅の道連れ・河合曾良は途中でリタイアしたよ!
菊の香や ならには古き 仏達
【季語】 菊
波の間や 小貝にまじる 萩の塵
【季語】 萩
道のべの 木槿(むくげ)は馬に 喰はれけり
【季語】
白露も こぼさぬ萩の うねりかな
【季語】 萩
(2)与謝蕪村の秋の俳句
柳ちり 清水かれ石 ところどころ
【季語】 柳ちる
(「柳」は春の季語だけど、「柳散る」で秋の季語になります。)
この俳句は、蕪村が西行法師の和歌を踏まえて、詠んだものです。
ここの柳は、西行が和歌に詠んだ柳なのでした。
↓
「道の辺に 清水流るる 柳陰 しばしとてこそ 立ちどまりつれ」
『新古今和歌集』
遊行柳(ゆぎようやなぎ)を訪れてみると、その葉はすでに散っていて、西行が「清水流るる」と詠んだ清水もかれはてて、川床にはところどころ石が姿を現しているなあ。
また、西行が訪れてるということは、そう、西行を尊敬していた松尾芭蕉も、「奥の細道」の旅で、ここに立ち寄っています。
そのとき詠んだ芭蕉の俳句がこちらです。
↓
「田一枚 植ゑて立ち去る 柳かな」『奥の細道』
朝顔や 一輪深き 淵の色
【季語】 朝顔
色の表現が、俳画家でもあった与謝蕪村らしく、素晴らしいです。
「深き淵の色」から、美しくてすごく深みのある紺色が思い浮かびます。
山は暮れて 野はたそがれの すすきかな
【季語】すすき
線香や ますほのすすき 二三本
【季語】 すすき
ほきほきと 二もと手折 る黄菊かな
【季語】 黄菊
うつくしや 野分のあとの たうがらし
【季語】 唐辛子
(3)小林一茶の秋の俳句
散る芒(すすき )寒くなるのが 目に見ゆる
【季語】 芒(すすき)
きりきりしゃんとして咲く 桔梗かな
【季語】 桔梗
夕暮れや 膝を抱けば 又一葉
【季語】一葉