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浮世絵と聞くと、あなたは何をイメージするでしょう。
一番ピンとくるのは、葛飾北斎の富岳百景?
喜多川歌麿の美人画でしょうか。

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今では、美術館で展示されているイメージがありますが、元々、浮世絵は「庶民の娯楽」でした。
 
江戸っ子たちは、現代人がアイドルのブロマイドを求めるのと同じような気持ちで、浮世絵師の描く「役者絵」を買い、お気に入りの絵師の「挿絵」目当てに本を買いました。
 
そして、売る側も商売ですから、町人の間でウケルものを題材に描くのは当然のことでした。
 
今回は、江戸で一大「妖怪ブーム」を巻き起こした「鳥山石燕」を紹介します。

 

浮世絵の発展

 
江戸時代は、大きく二つの文化が花開きます。
「元禄文化」と「化政文化」です。

この二つの文化は日本史の必須項目ですが、同じ江戸時代ということもあって区別しにくいですね。
簡単な違いを、まとめてみましょう。

●元禄文化
17世紀末~18世紀はじめ
「上方中心の町人文化」
浮世草子:井原西鶴 人形浄瑠璃:近松門左衛門 俳かい:松尾芭蕉
浮世絵:菱川師宣、歌舞伎の発展

●化政文化
19世紀前半
「江戸中心の町人文化」
小説:十返舎一九 俳諧:小林一茶・与謝蕪村
川柳、狂歌も流行←ここが江戸っ子らしい♪
浮世絵:喜多川歌麿・葛飾北斎・歌川広重

★「江戸」で花開くのは、後の「化政文化」です。

鳥山石燕が生まれたのは、そんな江戸の文化の成熟期でした。
「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの水木しげるも、大きな影響を受けた人です。

日本の妖怪伝説

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妖怪とは

 
鬼、天狗、河童、山姥、雪女、座敷童、姑獲鳥(うぶめ)、鎌鼬(かまいたち)、鵺(ぬえ)・・・。
 
日本には、たくさんの妖怪伝説が存在します。
 
東北発祥の雪女や座敷童は、なんとなく寂しげですし、姑獲鳥、鎌鼬などは、名前からしておもしろいです。
 
「鬼」や「天狗」などは、地方によって様々な言い伝えがあって、とても興味深いです。
 
妖怪は日本古来のアニミズム(自然崇拝)や八百万(やおよろず)の神の思想に深く根ざしたものです。
 
その思想は森羅万象に「神」の存在を見出すことになりましたが、一方で、それが否定的に把握された場合「妖怪」となりました。
 
「妖怪」とは、人間の理解を超える「奇怪で異常な現象」、あるいはそれらを起こす「不可思議な力を持つ非日常的・非科学的な存在」のことと定義されています。
 
それらは、「妖(あやかし)」「物の怪(もののけ)」「魔物(まもの)」ともよばれます。
 

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妖怪の歴史

 
妖怪の歴史は、古代にさかのぼります。
 
「鬼」や「大蛇」にいたっては、『古事記』や『日本書紀』にも登場します。
須佐之男命(スサノオノミコト)の八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の退治話などが、よく知られていますね。
 
平安時代になると、物語の中で鬼や妖(あやかし)の存在が大きく語られるようになります。
そして、それらが江戸時代に入って大流行するのです。

化政期の「江戸」

 
化政時代(文化・文政)の江戸は11代将軍・家斉が治める世でした。
在位50年と、最も長く将軍職にあった人です。
 
化政期の「江戸」は人とモノと情報が集まる巨大都市でした。
 
バブルのような好景気で、「町人」を中心とした華やかな消費文化が花開きます。
人口も世界トップレベルの100万人都市です。
それについては、こちらにも記載しています。↓

 

 

また、当時の江戸の「識字率」は世界に類を見ないほど高く、平凡な町人でも普通に「文字」を読むことができました。
これは、世界的にみて、すごいことですよ‼
 
そして、その頃の江戸っ子は、現代人のようにあくせく働かなくても充分生活できたそうです。なんともうらやましい話ですね。
 
夕方には仕事を終えて、毎日銭湯に行ってさっぱりし、長屋に帰って晩ごはんという、時間にも余裕のある生活でした。
 
文字が読めて時間があって経済的にも少し余裕がある、そうなると、人々は暇つぶしの余興を求めます。
このような背景の中で、歌舞伎などのお芝居や出版文化が花開きました。
(参考:『一日江戸人』杉浦日向子著 新潮文庫)

 

鳥山石燕の「百鬼夜行」シリーズ

 
鳥山石燕(1712年~1788年)は、浮世絵師であり狩野派の画家だった人です。
 
その人物像は謎に満ちていて、なぜ妖怪絵本を出したのかは知られていません。
ですが、かなり晩年になってから創作したものというのは、分かっています。
 
石燕の妖怪絵本は「百鬼夜行」シリーズとして4巻あります。
その1作目「画図百鬼夜行」で、彼は一躍、妖怪絵師として名をあげます。
 
その成功もあって、その後「今昔画図続百鬼」「今昔百鬼拾遺」「百器徒然袋」と8年間に4巻刊行します。
これら4巻の妖怪画集には200種類近くの妖怪が登場します。
 
今、私たちが知っている「妖怪」、またその「妖怪の姿形」のほとんどが、鳥山石燕の妖怪絵が元になっています。
 
今も昔も、未知の物について、人間はとても興味を惹かれる生き物ですね。(^o^)/

 
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