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お正月が終わり、普段通りの生活に戻ったなと思う頃、
今でも「七草粥(ななくさがゆ)」を食べる風習が残っています。
「春の七草」は食べられる野草なのです。

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覚え方は、そのまま短歌のように、
「セリ・ナズナ・オギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・
ナズナ・スズシロ・これぞ七草」
と、口ずさんで定着させます。
リズムがとりやすいので、テンポよく歌うように口ずさみましょう。

「若菜摘(つ)み」の風習


日本では古代から、新春の「子(ね)の日」に若菜を摘む風習がありました。
それに中国から伝わった風習が加わって、1月7日に「若菜摘み」が行われるようになったのです。

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「五節」の一つ「人日の節句」(1月7日)の「人日(じんじつ)」は、その字のとおり「人の日」を意味します。
六朝時代、中国では元旦から1日1日異なる動物を当てはめて占う風習があって、7日目が「人」に当たる日なので「人間」を大切にする(殺生しない)日と定められたのです。

日本ではこの日を「七草の節句」ともいいます。
「春の七草」は食べられる野草です。
これらの野草は、新春の厳しい寒さの中で一番初めに芽吹くので、その生命力を得て、邪気を祓い、無病息災、五穀豊穣を願うようになりました。

光孝天皇の「若菜摘み」

君がため 春の野に出(い)でて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ
「百人一首15番 光孝天皇」
この歌の中の「若菜」は「春の七草」を指しています。
「若菜摘み」は、はるか昔、万葉の時代から歌に詠まれてきました。
これは光孝天皇(平安初期)が若菜摘みをしながら、愛しい人の無病を願って詠んだ歌です。

この歌、すごく好きなんですよ。
激情ではない、ふんわり温かく包まれるような優しい愛情を感じます。
「古今集」にもおさめられている歌です。

光孝天皇の詳しい記事はこちら↓

枕草子の中の「若菜摘み」

清少納言「枕草子」の中で、こう表しています。

「七日、雪間 (ゆきま) の若菜摘み、青やかに、
例はさしもさるもの目近からぬ所に、もて騒ぎたるこそをかしけれ。」

「枕草子 第三段」

【ゆるーい訳】
1月7日は、雪の消えたところで「若菜摘み」をするのが楽しいわ。
(若菜が)青々としていて、普段そんなものを見慣れていないので、
「まあ、珍しいわ!」なんていって、大騒ぎするのが楽しいのよ。

(「枕草子」は、基本こういうゆるい訳がはまると思います。)

「春の七草」とは

それでは「春の七草」を確認していきましょう。

「セリ・ナズナ・オギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・
ナズナ・スズシロ・これぞ七草」

「春の七草」は「秋の七草」と異なり、語呂合わせで覚えるより、短歌を読むように、このままテンポよく口に出して覚えるのが定番です。
「5・7・5・7・7」で、うまく句切れができています。

オギョウはゴギョウともよばれます。
ナズナは蕪(カブ)のことでスズシロは大根のことです。
これらのものを軽くたたき、粥に入れて「七草粥」にします。

最近は、年明け早々、スーパーでも「春の七草セット」なるものが売られているので、手に入りやすくなりました。
縁起ものですし、お正月食で疲れた胃腸にもやさしいのでよいですね。