この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

「凡河内氏」「壬生氏」という姓は、あまり馴染みがありませんね。
「おおしこうち氏」「みぶの氏」と読みます。
彼らは平安初期に淘汰されていく氏族です。

スポンサーリンク

「古今和歌集」(=古今集)の選者は、紀貫之(35番)・紀友則(33番)と、こちらの二人、凡河内躬恒(29番)・壬生忠岑(30番)です。
彼らはいずれも身分の低い役人です。
当時、宮中の主要ポストは、ほとんどすべて「藤原さん」が占めていました。
彼らのような家柄の人に与えられた仕事は、政事ではありません。

「古今集」は最初の「勅撰和歌集」で、醍醐天皇の命で編纂されました。
そして、天皇と彼らとのパイプ役の中心だったのが「右大臣」藤原兼輔(27番)でした。兼輔は彼らを後援し、文化の発展につとめます。
やはり上司は「藤原さん」でしたね。

この二人、どちらも身分の低い役人だったため、あまり史料が残っていません。生没年不詳です。

凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

凡河内躬恒は宇多天皇・醍醐天皇時代の下級官吏で、和泉大掾(いずみのだいじょう)、権掾(あわじごんのじょう)などの役職につきました。歌の才があり、宮中や高官の邸宅の歌会にたびたび招かれていました。
三十六歌仙の一人です。

心あてに 折らばや折らむ 初霜の
置きまどはせる 白菊の花

【覚え方】心あてに置き 

心のままに折ってみようか、あてずっぽうに。真っ白い初霜にまぎれて見分けがつかくなっている、白い菊の花を

とても寒い冬の朝、凍てつくような空気の中、縁側へでてみると、庭の白菊の上に真っ白の初霜が降りていた。その風景を詠んだ歌です。

倒置法を使って「白菊の花」を強調しています。
可憐な白菊と初霜の美しさが凛とした寒さの中で際立っています。

スポンサーリンク

素敵な歌だと思いますが、正岡子規は酷評しています。(「五たび歌よみに与ふる書」)「初霜が降りて白菊がわからなくなるなんてありえなーい」というのがその理由です。「写生」にこだわりすなのではないかと思いますが、融通がききません。ちなみに、子規は紀貫之も批判しまくっています。

壬生忠岑(みぶのただみね)

壬生忠岑壬生忠見(41番)の父です。
下級官吏ですが、六位摂津権大目(せっつごんのだいさかん)にまで出世しました。
「古今和歌集」の選者の一人で三十六歌仙です。

この人は、機転の利かせた歌を詠むのが得意です。
うまい言い回しで上司を助けたり、醍醐天皇に感心されてご褒美に絹をもらったりしています。

有明のつれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし

【覚え方】有明のあかつき

夜明けの空に残る月が冷たく浮かんでいたあの日のあなたとの別れから、ぼくにとって夜明けほどつらいものはないんだよ。

「有明の月」=十六夜以降の夜更けにでて明け方近くまで白く光る月は、寂しい心情を表すのに度々登場します。
この「百人一首」でも素性法師(21番)や坂上是則(31番)が用いています。

そっけない月と同じように、終わってしまった恋人との別れを惜しむ歌です。
寂しさを「有明の月」が物語っています。

 
「百人一首」全首の詳細はこちらから(´▽`)♪↓

「百人一首」まとめ記事~全首の意味・覚え方とおすすめ参考文献!


 

スポンサーリンク