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今回紹介する「百人一首」3、4番の歌人は、万葉の歌人として、優れた歌を多く残しています。
しかし、下級官吏だったため、残念ながらどんな人物だったのかほとんど分かっていません。
しっとりとした自然の風情と心情とを見事に掛け合わせた歌ばかりです。
私は「万葉集」が好きなので、「百人一首」の中では平安時代の恋の歌よりもこれらの始めのほうの歌が断然好みです。3番は秋の歌、4番は冬の歌です。「小倉百人一首」の中で一番多いのは「恋の歌」、そして次に多いのは「秋の歌」です。

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3.柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)


柿本人麻呂は、持統、文武天皇に仕えた宮廷歌人、下級官吏です。生没年不詳ですが、石見の国(島根県)に国司として赴任し、その地で没したといわれます。
万葉集の代表的な歌人で三十六歌仙の一人でもあります。三十六歌仙とは、藤原公任(百人一首55番)が選んだ和歌の世界で特に優れた36人の歌人のことです。

 

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかもねむ

覚え方】 足ながなが

山鳥の垂れ下がった尾のように長い長いこの夜を、
僕はひとりで淋しく寝ることになるのだろうか。

 

届かぬ恋に悩みながら一人寝る秋の夜長を歌っています。
「あしびきの」は山鳥にかかる枕詞です。
「ながながし」は「長い山鳥の尾」と「長い秋の夜」にかけています。
また、「山鳥の尾の しだり尾の」と語尾を合わせて、音感をよくする工夫がみられます。
情感だけでなく技術的にも優れた歌といえます。

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4.山部赤人(やまべのあかひと)


聖武天皇時代の宮廷歌人、下級官吏です。紀貫之は古今集の序で、山部赤人を柿本人麻呂とともに「歌聖」と称えています。三十六歌仙の一人です

田子の浦に うち出(いで)てみれば 白妙の
富士の高嶺に 雪はふりつつ

【覚え方】 田子の浦の富士子ちゃん

田子の浦に出てはるか遠く見渡すと、真っ白な富士の高嶺に今も雪が降り続いていくんだ。

 

身分の低い役人でしたが、天皇の行幸にお供する宮廷歌人として重用されていた赤人は、道中たくさんの山を見てきました。駿河の国の田子の浦から見る富士の山は、それは壮観だったでしょう。

この歌は「万葉集」にも「雪は降りけり」という結びでのっている歌です。
定家はこの歌に「幽玄美」を感じ、結びを「雪は降りつつ」として、「新古今和歌集」にも選びました。
白く美しいベールをまとったような冬の富士の美しさを繊細に表現した抒情的な歌です。

 
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