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こんにちは、このかです。
 
 
久しぶりに松下幸之助さんについて書かれた記事を読みました。松下幸之助といえば「経営の神様」と称えられ、今もその著書はベストセラーで、多くの人の参考になっていますね。
 
 
その中に、「和の心を忘れたら、日本の会社は潰れる」という彼の言葉があります。「経営の神様」が重んじた和の心とは、一体どういうものなのでしょう。
 
 
松下幸之助さんにとっての「日本のよさ」は、不変性、連続性をもった日本民族の本質に根ざしたものであったようです。
 
 
日本のよさというと、「美しい自然と共生する文化」「おもてなしの心」「礼儀礼節の尊重」などが思い浮かびますが、彼の考える「日本のよさ」は、大きく3つありました。
 
 
それは「衆知を集める」「主座を保つ」「和を尊ぶ」でした。

 
 

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(1)衆知を集める

 

 
日本人は、もともと農耕民族です。
農作物、特に米作りは天候に左右されるので、田植えや稲刈りをいつ始めるか、読み間違えると死活問題に直結したでしょう。
 
 
ですから、ずっと昔から、村の農民たちが集まって、上下の関係もなく、車座になって座り、相談していたと考えられます。
 
 
また、日本には唯一絶対の「神」が存在しませんでした。八百万の神々がいて、神様たちも談合で、いろんなことを決めていたのです。
 
 
このように、何か問題が起こったとき、1人の独裁者が決めるのではなく、みんなで相談して決める、知恵を出し合い助け合う、この精神は、日本社会の中に今も連綿として続いているのです。
 
 
松下幸之助さんは、日本の民主主義は、西洋のように革命によって奪ったものではなく、自然発生的な思想でできたものだったと考えていました。
 
 
戦って奪い取る自由ではなく、その根底には「衆知」「思いやり」が流れているというのです。

 
 

(2)主座を保つ

 

 
松下幸之助さんの考える日本の伝統精神の2つ目は、「主座を保つ」ということです。
 
 
彼は、聖徳太子の隋(中国)の皇帝宛ての手紙を取り上げて「聖徳太子さんな、偉い人やで。」と言っています。
 
 
「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す、つつがなきや…」というアレですよ。
 
 
完全に日本が世界の中心目線で、書いてますね。
 
 
当時の先進国・大国の中国に対して、けっして卑屈になることなく、独立国としての主座をもって、対等に友好親善を深めていこうとしていたのがわかります。確かに、すごいです。
 
 
また、日本はこれまで宗教、文化、言語、ありとあらゆるものを、外国から取り入れてきました。でも、そのすべてをそのまま取り入れるのではなく、日本人の魂に合う形にアレンジして取り入れているのです。
 
 
「神仏融合」なんてことを、平気でできる柔軟性があるのですよ。(←誉めてます)

 
 

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(3)和を貴ぶ心

 

 
聖徳太子が作った「十七条憲法」の第一条、「和を以て貴しとなす」は、義務教育で習うので、ほとんどの日本人が一度は目にしたことがある言葉だと思います。
 
 
これは、1300年前の宰相が、道徳として説いた言葉なんですね。それが、今も大切な事と多くの人に語り続けられているのです。
 
 
日本の伝統精神の「衆知」と「思いやり」を一言で表すと「和」となります。この「和」を考えないと、今日でもあらゆることが、うまくいかないでしょう。
 
 
日本人は、1300年もこうした「和の精神」を、民族の伝統としてDNAの中に育んできました。長い歴史を通じて受け継がれてきた「和を貴ぶ精神」を、はっきり認識して、その上で平和というものを求めていくことは、これからの国際化社会でも、非常に大切なことだと思います。
 
 
「和」というのは、単なる和合、談合ではありません。
「和」というのがどういうものか、こちらの記事で説明しています。
    ↓
⇒【関連記事】聖徳太子の「十七条憲法」は日本人の「和の心」の礎だった
 
 
松下幸之助さんは、経営するときにも「和」、「和の精神」を根底にして、進めていかなければいけないと考えていました。
 
 
社員の知恵を集め、尊重し、助け合う、思いやりのある会社にする、そういうことに「意」を用いなければならない、それを、日本の指導者、経営者が忘れたら、会社は潰れるのだと言っています。
 
 
そして、正しく反省することが大切だと言っています。正しく反省できれば、次に同じ失敗を繰り返すことがなくなります。つまり、正しく成長できるのです。
 
 
そして、反省の心からは、感謝謝恩の念がおのずと湧いてきます。自分が今こうしてあるのは、あの人のおかげだった、あの人がこうしてくれたからだったと思うことができるのです。
 
 
そして、彼はこう言っています。
「みんなが心掛ければ、世の中、もっともっとようなるわ」
 
 
まさに、そのとおりだなーと思うのでした。