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こんにちは、このかです。
今回は、宮沢賢治の俳句を、ご紹介します。
 
宮沢賢治といえば、童話作家で詩人というイメージが強いですね。
そのとおりなのですが、実は、俳句や短歌も少し作っています。
 
よく分からない感性をしているところが、面白いのですが、それが俳句にも表れています。
 
どんな風にわからないのかというと・・・
 
有名なオノマトペでは、
「雨がぱちぱち降ったり」
「クラムボンがかぷかぷ笑ったり」します。
 
詩の場合は、
「雲はたよりないカルボン酸
です。
 
わけが分からないでしょ?
 
私は、宮沢賢治のよさは、このわからないところ=「人によっていろんな解釈ができるところ」だと思っています。
 
えらい学者さんの解説でも、感性が違うと、それはちょっと違う!と納得できなかったりするのです。
 
自分の解釈が正しいのですよ、きっと。
 
ということで、今回は、宮沢賢治の、とある菊と星の俳句を、妄想解説を交えてご紹介します。

 

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宮沢賢治がなぜ「菊の俳句」を?

 

 
まずは宮沢賢治と俳句について。
 
彼は、俳句に関しては素人で、本人もそれを自覚していました。
 
なのに、なぜか16連作もの菊の俳句を作っているのです。
その理由は、すごくシンプルで、作ってほしいという依頼があったからなのでした。
 
宮沢賢治は本業は農学校の先生だったので、園芸に精通していました。
 
彼は、ものすごいオタク気質のコレクターだったので、園芸・天文・鉱石・スピリチュアル・クラシック・春画などなど、およそ興味のあることについての知識はプロレベルでした。
 
そして、園芸つながりで、賢治は「菊花品評会」の審査員をしていたのです。
当時は、「春と修羅」を出版した後だったこともあり、品評会の関係者が噂を聞きつけ、宮沢賢治の作った俳句を短冊にして「副賞の1つにしたい」と頼みに来たのでした。
 
それで、真面目な賢治は、なんども練習して推敲し、16個の俳句を作ったのでした。
 
「菊花品評会」の副賞なので、当然、「菊の俳句」となるわけですね。
 
でも、「菊」だけでなく、やっぱり宮沢賢治の世界観全開の俳句になっていて面白いですよ。
 
そのうちの1つを、ご紹介します。

 

「狼星」=「シリウス」をうかがう「菊」?

 

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  狼星を うかがふ菊の 夜更けかな (宮沢賢治)

 
こちらは、私が宮沢賢治らしいなと思う俳句の1つです。↑
 
狼(動物)と星(天文)
小説でも動物や星座をたくさん登場させている宮沢賢治らしく、楽しいですね。
 
この「狼星」という表現自体が、実に個性的なのです。
「狼星」=「「シリウス」なのですよ!
 
シリウスは、特別な星です。
この星は、太陽をのぞく星の中で「もっとも明るく見える恒星」なのです。
 
シリウスはラテン語で、「光輝くもの」「焼き焦がすもの」を意味します。
これには、吉凶混合の意味があり、「光り輝く」は「希望の光」に通じ、「焼き焦がす」は「怒りの猛火」に通じます。
そういう暗示を込めて、作品の中で使われることの多い「星」なのです。
 
 
 
ですから、余談ですが、私はジブリの「風の谷のナウシカ」を見たとき、
 
「ミト、シリウスに向かって飛べ!」
 
というナウシカのセリフに、うひょ~~~~っとなったのでした。
 
覚えていますか? あのセリフ。
終盤近く、酸の海の上を飛行中に、暴走中の王蟲(オウム)の大群を見つけて、ナウシカがミトに命じたセリフです。
 
このセリフ、すごくかっこいいですよね。
しかも、深読み妄想できて楽しいです。
 
 
私は、ナウシカのセリフの中の「シリウス」は、
 
「光り輝くもの」=「希望の光」
 
の意味がこめられていると勝手に思っています。
 
核戦争後のはるか未来設定の世界で、なぜか現代人が知っているこの星の名を、この切迫したシーンで出したのは、製作者側に何か深い意図があってのことと思うのです。
 
「シリウスに向かって飛べ!」は、
「(希望を捨てずに)光に向かって進め!」なのだと、私は受け取りました。
 
 

 
はい、それで、話を戻しますと・・・・

 
「狼星を うかがう菊の 夜更けかな」
 
狼星=シリウス=希望の光としても、「うかがう」という言葉が、またまた宮沢賢治の場合、ありきたりな意味ではないような気がしますね。
 
うーーーん・・・。
 
実は、宮沢賢治は、この俳句と一緒によく似たのを、もう一つ作っているのです。それが、こちらの俳句です。

 
「狼星を うかがう菊の あるじかな」
 
最後の言葉が、異なりますね。
 
この俳句では、シリウス(希望・期待の象徴)を、うかがっているのは、菊花展に出展する「菊を作った主」です。
 
そして、宮沢賢治は、菊花展の前夜に会場を見回して、この句を作ったといわれます。
 
ああ、なんだか納得できそうですね。
 
これは、菊花展前夜に自分が育てた菊を確認しに来た菊の製作者が、きっとよい評価を得られるだろう、得たいものだと思っている情景を、近くで見ていた賢治が俳句にして詠んだものだったのです。
 
主語がはっきり書かれているので、非常にわかりやすく写生のようになりました。
 
でも、私は、「主語は菊?」と思えるような、こちらの俳句のほうが好きです。
期待を込めて「菊」が願っているこちらのほうが、素敵だと思いませんか?

  ↓  ↓  ↓
「狼星を うかがう菊の 夜更けかな」
 
「お星さま、明日の品評会、私は優秀花に選ばれるかしら。選ばれたいわ。」
 
動物や花を人間のように作品に登場させる、宮沢賢治独特の世界になっていますね。よい感じです♪

 
 

 
 
この俳句は、他の菊の俳句とともに、花巻にある「宮澤賢治イーハトーブ館」裏の「宮澤賢治句稿碑」に、刻まれています。
 
 
宮沢賢治の小説の記事は、こちらにあります。ご一緒にどうぞ♪↓↓↓

 
宮沢賢治・5つの小説を紹介!ファンタジックなその魅力を紐解こう!
 
 

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