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こんにちは、このかです。
 
『風の又三郎』は、宮沢賢治の代表作の1つです。
 
この話も、他の宮沢作品と同じく謎が残るのですが、この謎、気になる人は、すごーく気になるようですね。
 
そもそも宮沢賢治の作品は、本人が死んでから世に出たものがほとんどなので、中途半端なものや推敲途中のものなどが多く含まれます。
 
この作品も、登場人物「一郎」の名前が途中「孝一」になっていたり、人数がおかしかったりと、いろいろつじつまの合わない部分が残ります。
でも、本人が死去しているので、確かめるすべがないわけです。
 
今回は、そんな『風の又三郎』のあらすじを、お伝えします。
 
『風の又三郎』青空文庫

 

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背景

 
東北地方には、風の神様を「風の三郎」と呼びお祀りする風習があります。
「風の又三郎」は、宮沢賢治がその伝承をなぞったものといわれます。
 
転校生・高田三郎がやって来たのは、立春から数えて210日ごろ、東北地方に大きな台風がやって来るといわれる時期と重なります。
 
現実世界(大人の世界)と子供の精神世界から生み出された思い込みとの対比を感じながら読むと、おもしろいです。

 

あらすじ

 
ごくごく簡単にあらすじを紹介すると、こんな感じです。
 
全校生徒30名にも満たない田舎の学校に、9月1日、転校生がやって来ました。
転校生・高田三郎は、田舎の子とは異なる文化を持つ、標準語を話す少年です。
 
学校の子供たちは、彼をその地の風の神(悪霊に近い)「風の又三郎」ではないかと思います。
それから10日間ほど、みんなは転校生と遊びますが、やはり自分たちとは違う何かを感じます。
 
そして、9月12日、転校生は、別れの言葉もないまま、また転校していきます。
それを知ったみんなは、やっぱり彼は「風の又三郎」だったんだと思います。

 

9月1日・2日

 
 「どっどどどどうど どどうど どどう、
 青いくるみも吹きとばせ
 すっぱいかりんもふきとばせ
 どっどどどどうど どどうど どどう」
 
9月1日
長い夏休みが明けた9月1日に、谷川の村の学校に1人の転校生がやって来ます。名前は「高田三郎」
その子は、まるで熟したリンゴのように赤い顔で、まん丸で真っ黒な目をし、そして、標準語を話すので、言葉が通じません。
また、変てこな鼠いろのだぶだぶの上着を着、白い半ズボンをはいて、赤い革の半靴をはいています。
 
どうっという風とともにやって来た転校生を、嘉助は「風の又三郎」じゃないかと言います。
 
9月2日
三郎は「おはよう」とみんなにあいさつしました。
この学校では、先生以外に「おはようございます」という習慣がないので、みんな三郎に違和感を覚えます。
 
三郎が運動場を歩くと、風がざあっと吹きます。
やっぱり「風の又三郎」だと嘉助は言います。 
 
国語の授業のとき、佐太郎が妹の木ペンをとり、妹が泣き出します。それをみた三郎は、自分の木ペンをあげて自分は消し炭を使って書きました。
それを後方の席から見ていた孝一(一郎のこと)は、やはり違和感を覚えます。

 

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9月4日~9月6日

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9月4日
一郎や嘉助たちと一緒に、三郎は高原に遊びに行きます。
嘉助が牧場の柵を開けて、馬が2頭逃げてしまいます。1頭は一郎が捕まえますが、もう1頭を追った嘉助と三郎は、深い霧の中で道に迷います。そこは向こう側へ落ちれば命がないといわれる危険な場所です。非常に強い風が吹き、嘉助はとうとう倒れて眠ってしまいました。
 
そのとき嘉助は、いつかの鼠いろの上着の上にガラスのマントを着て、光るガラスの靴をはいている三郎の幻を見ます。
 
9月6日
嘉助や耕助たちと一緒にブドウ採りに出かけた三郎は、取ってはいけないタバコ畑の葉をむしってみんなに避難されます。
その後、三郎と耕助が「風」について言い争いをしますが、仲直りします。

 

9月7日~9月8日

 
9月7日
みんなで川へ泳ぎに行きます。
そこで、みんなは大人の仕掛けた発破漁にあいます。
また、三郎を捕まえに来た専売局の人らしい男から三郎を守ろうとします。
 
9月8日
また、みんなで川で遊びます。
夢中で遊んでいると、急に天気が悪くなってきます。
鬼ごっこをしていると、誰ともなく、
「雨はざっこざっこ雨三郎、
 風はどっこどっこ又三郎。」
とはやしたてます。
三郎は、淵からとびあがってぶるぶるふるえながら、今叫んだのはおまえたちかと追求しますが、みんなとぼけて答えません。

 

9月12日

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「どっどど どどうど どどうど どどう
 青いくるみも、吹きとばせ
 すっぱいかりんもふきとばせ
 どっどど どどうど どどうど どどう
 どっどど どどうど どどうど どどう」
9月12日
一郎は三郎から聞いた「風」の歌の夢を見て飛び起きます。
 
やってきた台風に一郎と嘉助は、三郎との別れを予感し、早めに登校します。
学校に着くと、2人は先生から三郎が前日(日曜日)に転校して、学校から去ったことを聞きます。
「やっぱりあいつは風の又三郎だったな」と嘉助が叫びます。
風はまだ止まず、窓ガラスは雨にうたれてガタガタと鳴っていました。

おわりに

 

「風の又三郎」は、子供の心の中にひそむ伝承の「自然神」への畏怖が生み出した幻です。大人から見れば、彼は、都会からの転校生・高田三郎くんでしかありません。
 
みんなと違う土地の文化を持った三郎は、子供の目には異世界から来たもののように映ったのでしょう。「みんな」が感じた違和感は、ここにあります。
 
この話は、三郎との12日間の遊びの体験をとおして、少年期から青年期への移行を示唆しているといわれます。
 
モノローグとエピローグに出てくる歌(詩?)の「青いくるみ」「すっぱいかりん」が「未熟な実」を連想させますね。
 
宮沢作品の中では、そんなに幻想的な話ではないので、私はあまり深読みせずに、さらっと読みたいです。

 

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